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退職金1,800万円を受け取った60代男性→「税金は会社がやってくれる」と思いきや…後日、判明した痛恨のミスに“青ざめたワケ”

  • 2026.9.19
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

定年時に受け取る退職金。「会社員なら、税金の手続きも会社がやってくれる」と考えている人もいるかもしれません。

ただし、退職金を受け取る前には、勤務先へ提出する大切な書類があります。この書類を出していないと、退職金から20.42%の所得税・復興特別所得税がいったん差し引かれます。

今回は、退職金1,800万円を受け取る予定だった60歳男性のケースから見ていきましょう。

「38年勤めた会社だから、税金も全部やってくれる」と思っていた

Fさんは60歳。大学卒業後に入社した会社で38年間働き、定年退職を迎えることになりました。
退職金は1,800万円です。住宅ローンはすでに完済。退職金のうち500万円ほどは生活費や自宅の修繕費として残し、それ以外は老後資金として管理する予定でした。

退職後は現役時代より収入が減ります。そのためFさんは、「1,800万円をできるだけ減らさずに使っていきたい」と考えていました。

退職の約1か月前、会社から何枚かの書類が渡されます。その中にあったのが「退職所得の受給に関する申告書」です。しかし、Fさんは書類の意味をあまり気にしていませんでした。

「38年も同じ会社で働いているし、給与も勤続年数も会社が分かっている。退職金の税金も会社が計算してくれるだろう」
そう考えて、申告書を机の引き出しに入れたままにしていました。

後日、退職金の使い方についてFPに相談したときのことです。Fさんはこう話しました。
「退職金は1,800万円です。税金は会社がやってくれると思うので、あとは使い方だけ考えればいいですよね」

そこで、「退職所得の受給に関する申告書」を会社へ提出したか確認しました。すると、まだ手元に残っていることが分かりました。
「その申告書を出さないまま退職金を受け取ると、支給額の20.42%が所得税・復興特別所得税としていったん差し引かれます」

Fさんは青ざめました。

1,800万円の20.42%は、367万5,600円です。

「367万円も引かれるんですか?」

会社員時代は、給与の税金について自分で手続きをする機会がほとんどありませんでした。そのためFさんは、退職金についても同じように会社がすべて処理してくれると思っていたのです。

ただし「367万円が税金」という意味ではない

ここで注意したいのは、367万5,600円が最終的な税金になるわけではない点です。退職金には「退職所得控除」という、一定額まで税金の対象から外せる仕組みがあります。

Fさんは勤続38年です。この場合、退職所得控除は2,060万円になります。
一方、受け取る退職金は1,800万円です。つまり、「退職金1,800万円 < 退職所得控除2,060万円」となります。ほかの退職金との調整などがない前提なら、Fさんの退職金には所得税・復興特別所得税がかからない計算です。

申告書をきちんと提出していれば、今回の事例では約367万円を差し引かれる話にはなりません。

出し忘れても、確定申告で精算できる

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

では、申告書を出し忘れたら約367万円を失ってしまうのでしょうか。
そうではありません。申告書を出さずに差し引かれた税金は、確定申告によって本来の税額と精算できます。

Fさんのケースでは、ほかの退職金との調整などがなければ、本来の所得税・復興特別所得税は0円です。そのため、確定申告によって源泉徴収された税額を精算することになります。

ただ、退職直後に約367万円が手元から減る影響は小さくありません。自宅の修繕や車の買い替えなどを予定していれば、一時的に資金計画がずれる場合もあります。

退職金は「いくらもらえるか」だけで見ない

退職金というと、「1,800万円もらえる」と支給額に目が向きやすいものです。ただ、実際に確認したいのは、税金などを差し引いたあとにいくら手元へ入るのかです。

そのためには、退職金の金額だけでなく、必要な書類を提出しているかも確認する必要があります。「退職所得の受給に関する申告書」は、退職金を受け取る時までに勤務先へ提出します。

今回のFさんのように、「会社員だから税金はすべて会社任せ」と思い込んでいると、思わぬところで大きな金額がいったん差し引かれる場合があります。退職が近づいたら、「退職金はいくらか」と合わせて、「出していない書類はないか」まで確認しておきたいところです。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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