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「本当に良かった…」父の死後に“消費者金融から督促状”が届いた50代娘、弁護士に相談して胸をなでおろした“意外な法律ルール”

  • 2026.9.21
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

今回ご紹介するのは、父の借金を相続放棄しようとしていた50代女性Aさんの体験談です。手続きの前に届いた督促状に、思わず対応してしまったAさんが知った境界線とは。

父の死後、消費者金融から届いた督促状

Aさんは52歳、主婦です。夫と子供のいる4人家族です。

一人暮らしをしていた父が亡くなり、遺品を整理していたところ、消費者金融からの借入があることが分かりました。金額は200万円ほど。父の預貯金は、葬儀費用を払えばほとんど残らない程度でした。

実家の土地と建物はありましたが、この不動産には事情がありました。道路に接していない奥まった土地で、生前から父に「うちは売るのが難しい」と聞かされていたのです。長年、近所の方の好意で敷地を通らせてもらっていましたが、そうした土地は買い手がつきにくく、売却には手間も時間もかかります。

不動産を引き継いでも、処分に苦労したうえに借金だけが残るかもしれない。Aさんはきょうだいと相談し、相続放棄をする方向で話を進めることにしました。

家庭裁判所への申述には戸籍謄本などの書類が必要で、そろえるのに少し時間がかかりそうでした。そんな折、消費者金融から督促状が届きます。宛名は父のままでしたが、電話番号が記載されていました。

「このまま放置していいのだろうか」
Aさんは不安になり、電話をかけてしまいました。

「少しずつなら払えます」と言いかけて

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

電話口で、Aさんは父が亡くなったことを伝えました。相手からは、相続人が返済義務を引き継ぐことになるといった説明があり、返済の意思を確認されたといいます。

そのときAさんの頭をよぎったのは、実家の不動産のことでした。時間はかかっても、売却できれば返済に充てられるかもしれない。

「まとまった額は無理ですが、少しずつなら」
そう言いかけたところで、ふと不安になり、「家族と相談してから折り返します」と言って電話を切りました。

後日、実家の口座の相続手続きで銀行を訪れたAさんは、この話を担当者にしてみました。

担当者からは、督促への対応の仕方によっては、相続放棄に影響する場合があると聞いたことがあるという話がありました。ただ、具体的な判断は法律の専門家の領域になるため、相続放棄を検討しているなら早めに弁護士や司法書士に相談したほうがよいと案内されました。

返事をしただけでは承認にならないが、言い方次第だった

Aさんは弁護士に相談し、詳しい説明を受けました。
まず、督促状に返事をしたり、亡くなったことを伝えたりする行為そのものは、相続放棄ができなくなる「法定単純承認」にはあたりません。法定単純承認となるのは、相続財産を処分した場合、熟慮期間である3か月が過ぎた場合などに限られます。

ただし、危ないのはその先でした。実家の不動産を売却して返済に充てるという行為は、まさに相続財産の処分にあたります。父の預貯金から返済した場合も同様で、金額の多少は関係なく、少額の支払いでも単純承認とみなされます。

また、電話口で返済を約束することにも注意が必要でした。債務があることを認める行為は「債務の承認」にあたり、消滅時効が更新されてしまう可能性があります。父の借入が古いものであれば、時効を主張できた可能性もあったのに、その道を自ら閉ざしてしまうことになりかねません。

「あのとき『少しずつ払います』と言い切らなくて、本当によかったです」
Aさんはそう胸をなでおろしました。弁護士からは、相続放棄を検討している間は、督促があっても「相続放棄を検討中です」とだけ伝え、返済の話には応じないこと、可能であれば弁護士から債権者へ連絡してもらうのが安全だと案内されたそうです。

相続放棄を検討中に督促が届いたら確認したいこと

Aさんのように、督促への対応を誤ると、相続放棄そのものができなくなる可能性があります。以下の点を押さえておきましょう。

  • 督促状への返事や死亡の連絡だけでは単純承認にならない
  • 相続財産を売却して返済に充てると単純承認になる
  • 少額の支払いでも同じ扱いになる
  • 返済を約束すると債務の承認となり時効が更新される可能性がある
  • 督促には「相続放棄を検討中」とだけ伝える
  • 可能であれば弁護士から債権者へ連絡してもらう
  • 相続放棄の期限は原則3か月なので早めに専門家へ相談する

「返事をしただけだから大丈夫」と自己判断する前に、どこまでが安全でどこからが危ないのかを確認しておくことが、相続放棄の権利を守る第一歩です。相続放棄を検討しているときに督促が届いたら、早めに弁護士や司法書士に相談してみてください。


執筆:おがわ163
金融機関勤務(勤続20年)。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。窓口業務・資産運用相談の現場経験をもとに、生活に役立つお金の知識をわかりやすくお届けしています。

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