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「妻が65歳になれば年金が増える」安心していた72歳夫→しかし、振込通知を見て青ざめた…夫婦を襲った“40万円”の誤算

  • 2026.8.2
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 IFAの石坂です。

「夫の年金に毎年約40万円の加給年金が上乗せされているから、老後も安心」と思っていませんか?さらに、妻が自分の年金をもらい始めれば、世帯収入はもっと増えて安心だろうと思い込んでいる人は少なくありません。

実は、加給年金は妻が65歳を迎えた瞬間にピタリと終了し、年金は「上乗せ」ではなく「差し替え」になります。今回は、これを見落として老後の生活設計が崩れてしまった夫婦の例を取り上げ、加給年金のしくみについて解説します。

7歳下の妻が65歳になった日、夫の通知書を見て絶句

相談に来られたAさん(仮名)は、7歳年下の妻と二人暮らし。

Aさんが65歳になったとき、厚生年金に20年以上加入していた実績から、妻が65歳になるまでの期間限定で「加給年金(※現在の支給額で年約40万円)」が上乗せされていました。

Aさんは「妻が65歳になって自分の年金(年約100万円)を貰い始めれば、今の夫の年金にそのまま100万円がプラスされて、世帯収入が大きく増えるはずだ」と安心し切っていました。

しかし、Aさんが72歳、妻が65歳を迎えたときに届いた振込通知を見て、Aさんは言葉を失います。

妻の年金(年約100万円)が新たに支給開始された一方で、それまでAさんの年金に付いていていた「年約40万円」の加給年金が消えていたのです。

世帯全体の収支としては「100万円増えて40万円減る」ため、差し引き+60万円の増額にはなっています。しかし、「100万円まるまる上乗せされる」と思い込んでいたAさんにとっては、期待していた増額幅より40万円も少なく、「思ったほど世帯収入が増えていない」と強い落胆を感じる結果となってしまったのです。

年金は「単純な足し算」ではなく「構造の差し替え」

妻が65歳になったタイミングでは、制度上、世帯収入の内訳が以下のように「差し替わる」仕組みになっています。

  • 夫の「加給年金(年約40万円)」が原則終了する
  • 妻自身の「老齢基礎年金・老齢厚生年金」の受給が始まる
  • 条件を満たせば、妻の年金に「振替加算」が上乗せされる

制度を正しく理解していれば想定内の変化ですが、仕組みを知らないと「期待していた収入より大幅に少ない」というギャップに陥ってしまいます。

現在の50代以下が直面する「振替加算ゼロ」の現実

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

ここで最も注意しなければならないのが、3つ目の「振替加算」です。

これは夫の加給年金が終了した後、妻自身の老齢基礎年金に少額の上乗せを行う救済措置ですが、誰にでも支給されるわけではありません。

振替加算の金額は生年月日が若くなるにつれて段階的に減額される仕組みになっており、「昭和41年4月2日以降生まれ(2026年現在で50代以下となる世代)」の方は、振替加算の支給額がゼロになります。

つまり、現在の40代〜50代の妻を持つ年の差夫婦の場合、「夫側の手当(40万円)が消え、妻側へのカバー(振替加算)も一切ない」という、Aさんよりもさらにシビアな変化を迎えることになります。

年金の「終了時期」を見落とさないためのチェックリスト

夫婦それぞれの年金額を個別に見るだけでは、将来の収入変化を正確に予測できません。以下のポイントをあらかじめシミュレーションへ組み込んでおきましょう。

  1. 妻の厚生年金加入期間を確認する:妻自身が厚生年金に20年以上加入し、老齢厚生年金の受給権を得ている場合(60代前半の特別支給の老齢厚生年金を含む)、夫の加給年金は妻が65歳になる前であっても全額支給停止となります(※2022年4月改正ルール)。
  2. 「年の差」の年数を把握する:年の差があればあるほど加給年金を受け取れる期間は長くなりますが、その分、終了したときの「期待していた増額幅とのギャップ」が大きくなります。
  3. 妻が65歳になった時点の「世帯合計額」を時系列で試算する:「現在の夫の年金 + 妻の年金 = 将来の世帯収入」と単純計算するのではなく、途中で40万円が引かれることを前提に、ライフプランを作成しましょう。

老後の年金減額で後悔しないために

年金は「一度受給が始まればずっと定額」ではなく、配偶者の年齢や就労履歴によって構造が変化します。特に年の差夫婦では、妻が65歳になった瞬間に夫の加給年金(約40万円)が消え、現在の50代以下の妻(昭和41年4月2日以降生まれ)は振替加算もつきません。

「夫の年金+妻の年金=ゴール」と単純な足し算で捉えず、「夫65歳時点」「妻65歳時点」の各ステージで世帯収入がどう変化するかを時系列で試算することが不可欠です。ねんきん定期便で夫婦の加入期間を確認し、早めにマネープランの整理を進めていきましょう。


※本記事は一般的な制度の仕組みを説明したものであり、個別の受給額や条件は、年金加入歴、配偶者の就労状況、生年月日などによって細かく異なります。具体的な試算については、年金事務所や専門家にご相談ください。
※年金制度は法改正により変更される可能性があります。最新の情報は、日本年金機構の公式サイトでご確認ください。

執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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