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帰省した妻の実家の掲示板で、“貼り紙”にドキッ…義父母が20年ずっと物置きにしていたのは…?【一級建築士は見た】

  • 2026.8.24
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「帰省した実家の掲示板で、貼り紙にドキッとしたんです。ベランダの四角いふた、20年ずっと物置きだったので」

そう話すのは、この夏、妻の実家である郊外の大規模団地(築44年・3DK・58㎡、5階建ての4階)へ家族で帰省したNさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。

義父母がこの部屋を買ったのは約20年前で、価格は約1,500万円でした。広いベランダの床には四角い金属のふたがあり、その上には20年来の収納箱とプランター。お盆の帰省の初日、エントランスの掲示板に貼り紙が出ていました。

「消防設備点検のお知らせ:ベランダの避難ハッチを点検します」

避難ハッチ? 義父母に聞くと、「ああ、あのふたね。点検の日は、上の物をどかしてるよ」とのこと。気になったNさんが箱をずらしてふたを開けてみると、中には折りたたまれた金属のはしごが眠っていたのです。

床のふたの正体は、下の階への「避難はしご」

あのふたは、避難ハッチ。廊下側が火事で通れないとき、ベランダから下の階へ降りるための設備です。団地やマンションのベランダは、その部屋の人が専用に使える「共用部分」であると同時に、建物みんなの避難経路。実家のふたは、20年間ただの台ではなく、逃げ道の入り口だったのです。「点検の日だけどかす」では、いざという時に間に合いません。

上だけじゃない。「下の階」と「隣の板」も避難のうち

消防点検で指摘されるNGの代表格は、ハッチのふたの上に物を置くこと、降下地点(下の階のベランダ)に障害物があること、そして隣戸との隔て板の前に荷物を置くことです。はしごは下の階へ伸びて使う設備ですから、自分の階のふたの上を空けても、下の階の同じ場所に物があれば降りられません。避難ハッチは、下の階へと連続して使う設備なのです。

そして、隣戸との薄い仕切りの板。実家のものには、小さくこう書かれていました。

「非常の際は、ここを破って隣へ避難できます」

義父母が隔て板の前に置いていた棚も、どける必要がありました。

Nさんたちはどう対応したのか

帰省中に、家族みんなで手を動かしました。収納箱とプランターは、ハッチと隔て板から離れたベランダの端へ整理。隔て板の表示は義父母と一緒に読み、「点検の日だけでなく、ふだんから空けておく場所」と共有しました。

そして帰宅したNさん夫婦は、その足で自宅マンションのベランダも確かめました。わが家のハッチの上は、幸い何もなし。隔て板の前の物干し台だけ、少し横へずらしました。

帰省は、親の家の「置き場所」を見直す機会

親の家は、「昔からこう」が年単位で積もりやすい場所です。奥行きのあるベランダの気持ちよさはそのままに、置き場所だけ整える。以下を確かめてみてください。

・避難ハッチの上と、そのまわりに物を置かない:下の階への避難はしごです
・隣戸との隔て板の前も空けておく:破って避難するための板です
・帰省したら、実家のベランダを確認する:ふたと隔て板のまわりが空いているか
・気づきは、わが家にも:帰省から戻ったら、自宅のベランダも同じ目で確認

20年の習慣も、ひと目の気づきで変えられます。帰省は、親の家の安全をそっと確かめる機会でもあるのです。

参考:
避難ハッチの設置基準とは?消防法・点検・交換まで解説(関西システムサポート)
避難ハッチから避難ができない!降下空間に障害物が置かれるリスクとは?(消防設備点検ストア)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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