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お盆に義父母の車を「門の前の帯」に寄せた30代夫婦、幅3.6mの道沿いの家で知った“想定外の事実”【一級建築士は見た】

  • 2026.8.24
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「お盆に来た義父母の車を、門の前の帯に停めただけなんです。うちの土地のはずなのに、『そこは道路』だと言われて」

そう話すのは、昨年、昔ながらの住宅街に中古の一戸建て(築21年・4LDK・延床約91㎡/土地約115㎡、約3,900万円)を買ったMさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。

前面の道路は、幅3.6mほどの狭い道。購入時の重要事項説明では「前面道路は2項道路。この家は前の建て替えで、敷地の後退(セットバック)を済ませています」と聞いていました。図面上では説明されたものの、その後退した部分が門の前のどこなのかまでは、理解していませんでした。

門の前には、境界ブロックのない舗装の帯。お盆に訪ねてきた義父母の車を、その帯に寄せて停めたところ、夕方、宅配トラックの運転手さんに教えられたのです。

「ここ、道路なので停められないんですよ」

「自分の土地」が道路として扱われる仕組み

建築基準法では、幅4m以上の道路に2m以上接していない敷地には、原則として家を建てられません。ただ、昔ながらの街には幅4m未満の道が残っています。こうした道のうち、市などが道路として指定したものは「2項道路(みなし道路)」と呼ばれ、建て替えの際に、道路の中心線から2m後退した線を道路との境界とみなします。これがセットバックです。

そして後退した部分は、登記上は自分の土地のままでも、道路として扱われます。Mさんの家も、前の持ち主が建て替えたときに後退済み。門の前の舗装の帯は、Mさんの土地であり、同時に道路でもあったのです。

停められない、置けない…後退部分のルール

後退用地は道路のため、植木鉢などを置くことや、駐車場・駐輪場としての利用はできません。塀や生垣も作れません。理由は明快で、狭い道を4mへ広げていくのは、人と車がすれ違い、消防車や救急車が入れる幅を確保するためです。後退部分まで使って車を停めれば、その通り道はふさがれてしまいます。「自分の土地なのに」という戸惑いはもっともですが、所有権が残ることと、使い方が決められていることは、別の話なのです。

Mさん夫婦はどう対応したのか

義父母の車は、その日のうちに近くのコインパーキングへ移しました(1日数百円)。後日、市役所の狭あい道路の窓口で自宅前の後退の範囲を確かめ、はみ出していた植木鉢も敷地の内側へ移動させました。

以来、来客には最初から近くの駐車場を案内しています。費用は駐車場代だけでした。

狭い道の家は「後退の線」を知って住む

昔ながらの住宅街の落ち着きと、手の届きやすい価格。狭い道の家には、その道ならではの良さがあります。一方で、門の前の細い帯には、見た目では分からない線が引かれています。以下を確かめてみてください。

・前面道路が4m未満なら、重要事項説明で「2項道路かどうか」と後退部分の範囲を確認する
・後退部分は自分の土地でも道路扱い――駐車場・塀は設置できない
・来客の車は、近くの駐車場を最初から案内する
・帰省や旅行で狭い道の家を訪ねるときも同じ――車は最初から近くの駐車場のあてをつけておく
・範囲や扱いが分からないときは、市区町村の狭あい道路担当や建築指導の窓口へ

後退の線さえ分かっていれば、狭い道の家は、落ち着いたいい住まいであり続けます。

参考:狭あい道路の解消について(練馬区)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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