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「SNSで憧れてつくった」2畳のランドリールーム、真夏に洗い直しの毎日…3,600万円の家で誤算【一級建築士は見た】

  • 2026.8.23
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「SNSで憧れてつくった2畳のランドリールームが、真夏は生乾きの部屋になるんです。夜に干して朝さわると、まだ湿ってにおう。タオルは洗い直しの毎日で…洗う・干す・畳むが1部屋で済む、理想の家事室のはずだったのに」

そう話すのは、2年前、郊外の住宅地に地元の工務店で注文住宅(4LDK・延床約99㎡/土地約135㎡、約3,600万円)を建てたSさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。

脱衣室の隣の2畳が、そのランドリールーム。カウンターと物干しバー2本を備えた、お気に入りの空間です。設計時、工務店から「干す量が多いなら、換気扇か除湿機を」と提案されましたが、庭に物干し場をつくる計画だったため「夏は外に干せば済む」と見送りました。窓のない北側の壁は、収納棚を優先した結果です。ところが共働きの洗濯はもっぱら夜。外の物干し場は使われないまま、汗をかく夏、洗濯物はこの2畳にぶら下がることになったのです。

生乾き臭は「菌」と「時間」の掛け算

生乾きのにおいの正体は、洗っても衣類に残る菌です。花王の研究で、雑巾のようなにおいのもとになる成分と、それを生み出す「モラクセラ属細菌」という原因菌が解明されています。菌は湿った状態が長く続くほど増え、においも強くなる。

つまり勝負は、乾くまでの時間です。部屋干しでも5時間以内に乾けば、生乾きのにおいは発生しにくいとされています。

2畳の密室は、湿気の行き場がない

干した洗濯物の水分は、蒸発して部屋の空気へ移ります。窓も換気扇もない2畳では、その湿気に出口がありません。部屋の湿度が上がるほど蒸発は進みにくくなり、乾きはさらに遅くなる悪循環。湿度の高い部屋を想定したライオンの実験では、除湿機を使わない部屋干しは、乾燥までに7時間以上かかっています。5時間の壁は、閉め切った小部屋では簡単に越えてしまうのです。

Sさんの家でいえば、夜10時に干して、朝7時になってもまだ湿っている状態でした。去年の夏にも気配はありましたが、今年は子どものプール用品や汗をかいた着替えで洗濯の量が一段と増え、ごまかしがきかなくなったのです。ドアを閉めた2畳は、干すほど湿気のたまる部屋になっていました。

Sさん夫婦はどう対応したのか

浴室乾燥機はなく、乾燥機付き洗濯機への買い替えは十数万円。まずは今の部屋を活かすことにしました。選んだのは、衣類乾燥除湿機(約3万円)とサーキュレーター(約3,000円)です。

除湿機は洗濯物の下から風を当て、サーキュレーターで部屋の空気を回します。風の当て方しだいで乾燥時間はさらに縮むとされています。干し方も、「洗い終わったらすぐ」「こぶし1つ分空けて」「厚手は外側へ」と見直し、干している間はドアを閉め切り、小さな空間の湿度を一気に下げるようにしました。夜10時に干した洗濯物は夜明け前に乾くようになり、朝のタオルはにおわなくなったそうです。換気扇の後付け(数万円から)は、次の点検で工務店に相談する予定です。

ランドリールームは「箱」より「風」の設計

洗う・干す・畳むが1部屋で完結し、天気や時間を気にせず干せるランドリールームは、共働きの強い味方です。急な雨にも夜の洗濯にも動じない。SNSで人気が続くのには、それだけの理由があります。

一方で、干す部屋は湿気の生まれる部屋でもあります。箱をつくるだけでは不十分で、風と除湿の設計がそろって完成します。以下を確かめてみてください。

・室内干しの部屋には湿気の出口(窓・換気扇・除湿機のいずれか)を計画する
・洗濯物は洗い終わったらすぐ、間隔を空けて干し、5時間以内に乾かすことを目安にする
・除湿機は洗濯物の下から風を当て、サーキュレーターで空気を回すと時短につながる
・設計時に見送った設備は後付けという手も(換気扇の増設は工務店に相談を)

風の通り道を整えれば、ランドリールームは、真夏の夜洗濯の味方に戻ります。

参考:
「白く」から「ニオイまで落とす」洗濯へ 洗濯行動に見る家族への思いやり(花王)
除湿機の上手な使い方!部屋干しのコツは置き方にあった(ライオン)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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