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「排水口は毎日洗っているのに…」タワマン29階で、30代夫婦を悩ませた“使わなかった設備”【一級建築士は見た】

  • 2026.8.21
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「シンクのまわりが、夏になってからにおうんです。排水口は毎日洗っているのに、取れなくて」

そう話すのは、今年の春、都心の大規模タワーマンション(築6年・3LDK・78㎡、約9,500万円)の29階に住まいを買ったFさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。

入居のとき、管理会社からはディスポーザーの使い方冊子を受け取り、流してはいけない物の説明も受けていました。ただ、Fさん夫婦は前の住まいからの習慣で、生ゴミは三角コーナーに集めて袋へ。「生ゴミを機械に流すのは、かえって不衛生な気がして」と、ディスポーザーはほとんど使っていませんでした。冊子で確かめたのは流せる物のことまで。使わない選択がどうなるかは、気に留めていませんでした。

ディスポーザーは「マンション全体の設備」

ディスポーザーは、シンク下の粉砕機で生ゴミを水と一緒に細かく砕いて流す設備です。東京都下水道局の解説によると、粉砕した生ゴミを含む排水は、専用の排水管を通って排水処理装置で処理されてから下水道へ流されます。

処理装置とセットでないディスポーザー単体の設置は、下水道管の詰まりや悪臭の原因になるため、東京23区など認めていない自治体もあります。つまりディスポーザーは、各家庭の家電ではなく、専用の配管と処理槽まで含めた「マンション全体の設備」なのです。

使わないほうが、においやすい

意外に思えますが、この設備は「使うたびに、水で内部が洗い流される」前提で作られています。そしてディスポーザーは、シンクの排水の通り道そのもの。使っていなくても食器洗いの水は粉砕室を通り、皿に残った細かな食べかすや油分が、内側やゴムぶたの裏に付いていきます。

毎日使っていれば水流と粉砕でまとめて流れていく汚れが、使わない日が続くと残ったまま。夏の室温で傷んで、においの元になっていきます。Fさんが「毎日洗っている」のは、ふたの表側とシンクまわりのこと。においの出どころは、その奥の粉砕室でした。管理会社に相談して、初めてその仕組みに気づいたといいます。

Fさん夫婦はどう対応したのか

管理会社から教わったとおり、使い方を本来の形に改めました。生ゴミは三角コーナーにためず、その都度ディスポーザーで水と一緒に処理し、使用後は数秒長めに水を流す。あわせて週に1回、氷を5〜6個入れて運転する掃除を習慣にしたところ、数日で、キッチンのにおいは気にならなくなりました。

ディスポーザーの製造・販売を手がけるテラル株式会社は、砕けた氷が破砕室の汚れを落とし、においの軽減に効果的と案内しています(漂白剤は部品を傷めるため使わず、加えるなら中性洗剤を数滴)。ただし、手入れの方法や使える洗剤は機種によって異なるため、ご自宅で試す前に機器の取扱説明書を確かめてください。

設備は「使い方ごと」引き継ぐ

生ゴミの出ないキッチンは、夏のゴミ出しの負担を軽くし、コバエの心配も減らしてくれます。ディスポーザーは、タワマンの暮らしやすさを支える設備です。一方で、それは「正しく使われること」まで含めての話。以下を確かめてみてください。

・ディスポーザーは「使うことが手入れ」――生ゴミはためず、その都度水と一緒に
・週1回の氷洗浄などの手入れは、機種によって方法が異なります――自宅の機器の取扱説明書で確認を
・旅行などで長く使わない前後は、水を流しながらの運転をひと回し
・それでもにおいが取れないときは管理会社へ――処理槽はマンション全体の設備です

使い方さえ身につけば、ディスポーザーは夏のキッチンの頼もしい味方であり続けます。

参考:
「ディスポーザ排水処理システム」の設置について(東京都下水道局)
ディスポーザーが臭い原因は?対策やお手入れするときの注意点も解説(テラル株式会社)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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