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「雨は地面に流れるんだから」カーポート設置時に追加工事を断った30代夫婦、3年後に気づいた“垂れ流し”の代償【一級建築士は見た】

  • 2026.8.17
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「今年は夕立が多くて、気づいたら土間コンクリートに黒い筋と泥はねの跡がくっきり。カーポートに雨樋は付いているのに、なぜ…と思ったら、樋の出口から先が、ただの垂れ流しだったんです」

そう話すのは、3年前、郊外の住宅地に、地元の工務店で注文住宅(4LDK・延床約94㎡/土地約152㎡、約4,100万円)を建て、あわせてカーポートを設置したYさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。

外構の打ち合わせで、業者から「竪樋(たてとい。柱に沿わせた雨水の通り道)の排水を、雨水枡(うすいます。敷地の雨水を集めて排水溝や地中へ流すための枡)につなぐ工事もできます」と追加費用の説明を受けていました。「雨は地面に流れるんだから、そのままでいい」。そう答えて見送った選択が、この夏に響いてきました。

屋根を掛けるとは、雨を「一点に集める」こと

カーポートの屋根は、雨をよけると同時に、雨を集める装置でもあります。1台用カーポートの屋根は、おおむね幅2.5m×奥行き5m前後。1時間に10ミリのまとまった雨なら、集まる水はおよそ125L、2Lのペットボトル60本分超。それが竪樋の出口ひとつに落ちてきます。

住宅の樋は排水先へつながるのが前提ですが、カーポートの標準的な工事では、竪樋の出口から先が敷地任せになっている場合が少なくありません。Yさん宅も、出口は土間コンクリートの上。同じ一点に水が落ち続けた結果、出口のまわりには泥はねの跡や丸い黒ずみができ、湿りがちな箇所にはカビや苔が定着していました。

一方、土間に線を引いたような黒い筋の正体は、屋根の縁からの雨だれです。樋から雨水があふれる原因の多くは排水口のゴミ詰まりで、放置すると、部材の劣化や周囲への泥はねの原因になるとされています。Yさん宅の雨だれも、集水部にたまった落ち葉が一因でした。

Yさん夫婦はどう対応したのか

まず、集水部の落ち葉掃除です。取扱説明書の手順で詰まりを取り除くと、屋根の縁からの雨だれは止まりました。次に外構業者へ相談し、竪樋の出口に延長パイプを付けて雨水枡へ接続。部材と手間賃で2万円台の小工事でした。仕上げに、黒ずんだ土間は外まわり用の洗剤とデッキブラシでこすり、残った筋はレンタルの高圧洗浄機(1泊数千円)で洗い流しました。

カーポートは「水の出口」までが設計

夏の車内温度を抑え、雨の日の乗り降りを楽にするカーポートは、満足度の高い設備です。一方で屋根は雨を集める装置でもあり、水の行き先まで決まってはじめて完成します。以下を確かめてみてください。

・カーポートの見積もりでは、竪樋の排水先(雨水枡につなぐか、地面に流すか)まで確認する
・樋のあふれの多くはゴミ詰まり。落ち葉の季節の後に集水部の掃除を(高所は無理せず業者へ)
・同じ一点に水が落ち続ける場所は黒ずみやすい。気づいたら早めにこすり洗いを
・出口の垂れ流しは、延長パイプで雨水枡へつなぐ小工事という手がある

集めた雨の行き先まで整えれば、カーポートは夏も雨の日も、頼れる屋根であり続けます。

参考:
カーポート・テラスの雨樋から雨水が溢れてうまく流れない(LIXIL)
台数に合せたカーポートの最適な開口・高さの選び方(YKK AP)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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