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「ここだと邪魔になるので…」お盆のSAで愛車をぶつけた相手が取った“まさかの行動”→30代男性が絶句したワケ

  • 2026.8.24
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出典:PIXTA(※画像はイメージです)

「一度は車から降りて、一緒に傷を見てくれたんですけどね」

契約者のAさん(30代・男性)は、電話口でそう話しました。

お盆の帰省中、立ち寄ったサービスエリアの駐車場で車をぶつけられたとのこと。相手も車から降りてきて、謝罪もあったといいます。しかし、結果としてAさんは当て逃げ事故に遭ってしまったのです。

今回は、損害保険会社で事故対応を担当していた私が相談案件として受けた、お盆のサービスエリアでの当て逃げ事故のお話です。

豹変した相手の態度

帰省ラッシュのサービスエリアは、どこも混み合っていました。Aさんが車を停めたのは、区画に対して余裕のない駐車場。同乗していた家族が売店へ向かい、Aさんは車のエンジンを切って運転席で待っていたそうです。

そこへ隣の区画に入ってきた車が、Aさんの車の右前方に接触しました。

「飲み物を飲んでいて、目を離していたためクラクションを鳴らす暇もありませんでした」

Aさんは事故当時の様子を振り返りながら、話を続けます。相手はすぐに車から降りてきたそうです。二人で傷の状態を確認し、相手は謝罪もしたといいます。

「ここだと邪魔になるので、車を動かします」

相手はそう言って、運転席に戻ろうとします。

サービスエリアはお盆の時期もあって混雑しており、確かに他の車の交通の妨げになることは間違いありません。Aさんも同意し、車の外で相手が車を移動させるのを見ていました。

しかし、相手はそのまま出口へ向かって加速し、走り去ってしまったのです。

「裏切られた気持ちでした」

Aさんは、当時をそう振り返っていました。

やるべきことに集中した

このとき、Aさんは相手を追いかけていません。同乗者を待っている最中であり、仮に高速道路上で追跡を試みていれば、それ自体が重大な事故につながる可能性があると判断したからです。

「その場では戸惑いと怒りしかありませんでした。ただ、今はやるべきことに集中しようと思ったんです」

Aさんはそう話していました。まずは目の前の手続きに意識を向けていたそうです。その場で警察に通報し、続けて保険会社へ事故の受付を行いました。

この時点で、相手の詳細は分かっていません。それでもAさんが保険会社に連絡をしたのは、相手が判明した後を見据えてのことでした。

相手が判明した場合、警察からその旨の連絡が入ります。ただし相手が任意保険に加入していなければ、対物賠償を受けることはできず、相手本人へ直接請求することになります。

契約者に過失のない事故では保険会社が交渉に入ることはできません。相手との話し合いは、自分で進めることになります。そのため、弁護士費用特約を使うことも検討したいとの考えがありました。

待つことしかできなかった、2週間

Aさんの車には、ドライブレコーダーが備えられていました。映像には、相手の車両のナンバーと、車外に出てきた相手の姿が記録されており、Aさんはこれを警察に提出しています。

しかし、ナンバーが分かれば必ず相手にたどり着ける、というものではありません。

車の登録情報を調べ、相手に連絡を取る権限を持っているのは警察です。保険会社にその権限はなく、契約者本人にもありません。つまり映像を提出した時点で、Aさんにできることはなくなります。あとは警察からの連絡を待つだけです。

Aさんに警察から連絡が入ったのは、事故からおよそ2週間後でした。

「相手の車は、逃げた後に別の場所で速度違反として検知されていたそうです。それも重なって、確認が進んだと聞きました」

Aさんは、警察からそう説明を受けたといいます。当て逃げの捜査とは関係のない、まったく別の出来事です。相手は任意保険に加入しており、Aさんの車の修理費は、相手の保険会社を通じて賠償されることになりました。

「相手の行動に対して落胆する気持ちは消えませんが、賠償を受けられるのはホッとしました」

Aさんは、そう話していました。

Aさんの場合はあくまでも「幸運なケース」

今回のケースで相手が判明したのは、2つの要因が重なった結果です。

1つは、ドライブレコーダーに相手のナンバーと姿がはっきり記録されていたこと。

そしてもう1つは、相手が別件で速度違反としてオービスに検知されていたことです。だからこそ、確認が比較的早く進んだと、Aさんは警察から聞いています。

当て逃げ事故では、相手が判明せず自己負担のまま終わることも少なくありません。その点のみで言えば、Aさんはかなり幸運だったといえます。

もし、車両保険に加入していたら

Aさんは、車両保険に加入していませんでした。相手が見つからなかった場合や、見つかっても無保険だった場合には、修理費を自分で負担することになっていました。

車両保険には2つのタイプがあります。補償範囲を限定していない一般型は、相手が分からないままの当て逃げでも対象となります。エコノミー型(車対車+A)は、相手が確認できれば対象となるタイプです。ただしいずれの場合も、保険を使用すれば原則として等級は下がります。

免責金額(自己負担額)の設定も含めて、自身の契約がどうなっているのかをあらかじめ確認しておくことが大切です。

事故前だけでなく事故後にも備えることが大切

今回のケースでは、Aさんは自身の「2つの備え」によって幸運を引き寄せました。

事故前の備えとしては、ドライブレコーダーを用意していたことです。

当て逃げでは、相手の車両を特定できる情報が残っているかどうかが重要になります。事故が起きてから用意できるものではなく、普段から備えていたことが結果を左右しました。

そして事故後の備えとしては、警察と保険会社への連絡をその日のうちに済ませたことです。

警察への届出は、捜査の起点となります。事故の記憶が確かなうちに、速やかに警察に連絡しましょう。また、相手が分からない段階であっても保険会社へ連絡しておけば、判明した後に使える補償を早い段階で確かめることができます。

相手が見つかるかどうかには、自分ではどうしようもできない要素が含まれます。だからこそ、自分でやれることをあらかじめ進めておくことが、当て逃げに対する現実的な備えとなるのです。


ライター:スライカズヤ
保険・自動車分野を専門とするライター。損害保険会社で事案担当者として10年間、示談交渉・損害査定・自動車修理の協定業務に携わり、数多くの事故対応の現場に立ってきた。初級技術アジャスター、3級ファイナンシャル・プランニング技能士、損害保険事業総合研究所 本科講座修了。専門性の高い知識を、正確に、分かりやすく伝えることを信条とし、「当事者にならないとわからない」事故と保険のリアルを読者に届ける。


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