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深夜11時半、トンネル出口で「血の気が引いた」29歳男性…ボンネットに現れた“まさかの同乗者”

  • 2026.8.23
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出典:PIXTA(※画像はイメージです)

小雨が降る深夜のトンネル出口で、突然鈍い音とともに車体が大きく揺れました。落石かと思い前を見ると、助手席側のボンネットには1頭の鹿が乗っていたそうです。今回は、29歳の知人男性から聞いた、信じがたい動物との衝突事故についてお話しします。

なぜ鹿がボンネットに乗っていたのか、そして愛車はどうなったのでしょうか。奇妙で恐ろしい体験の全貌をお伝えします。

トンネル出口で消えたはずの鹿が空から降ってきた

2024年の3月ごろ、時刻は午後11時30分を回った深夜のことでした。知人のAさんは仕事を終え、愛車の軽ワゴン車でいつものようにいつものように帰途についていました。外は小雨が降っており、周囲には人通りも車通りもほとんどない、ひっそりとした暗い道が続いていたといいます。日々の疲れを癒やすための静かな帰り道でしたが、トンネルの出口付近に差し掛かったとき、事態は急変します。

ふと前方に目をやったAさんは、道路の中央に鹿が立ち止まっていることに気づきました。そこで、衝突を避けるためにすぐ車を徐行させ、注意を促す意味で軽くクラクションを鳴らしたそうです。すると鹿の姿は見えなくなり、無事に山へ逃げたのだろうと安堵して、再びトンネルの出口へ向かってアクセルを踏み始めました。

ここで安全を確認したはずだったのですが、トンネルを出ようとしたまさにその瞬間の出来事です。突然、聞いたこともないような大きく鈍い音が響き、車体が激しく揺れたとのことです。Aさんは一瞬、崖からの落石が直撃したのではないかと思い、あまりの衝撃に血の気が引いたといいます。ところが、衝撃のあとに恐る恐る前を見ると、そこには予想だにしない光景が広がっていました。

驚くべきことに、助手席側のボンネットの上に、大きな鹿が乗っていたのです。

ボンネットの上で鹿と見つめ合う時が止まったような時間

通常、動物が道路脇から飛び出してきたのであれば、車の側面や前方にぶつかることが多いはずです。しかし、その鹿はまるで空から降ってきたかのように、上からボンネットへと落ちてきたといいます。具体的にどこから足を滑らせたのか、なぜ落ちてきたのかは今でも分からないそうですが、フロントガラスのすぐ目の前に大きな鹿が横たわっている状況は、あまりにも現実離れした光景だったといいます。

ボンネットの上に鎮座する鹿と、運転席でパニックになるAさん。フロントガラス越しに、両者はしっかりと目が合ってしまいました。時間が止まったかのようなその状態は、体感にしておよそ10秒ほど続いたそうです。極度の緊張と恐怖で頭が真っ白になる中、Aさんの心には、落石ではなく鹿であることへの混乱と、鹿はそのまま元気に帰っていけるのかという疑問が交錯していたといいます。

信じられないような光景に息を呑むばかりでしたが、長い見つめ合いの末、ついに鹿は身を翻してボンネットから飛び降りました。足取りもしっかりしており、幸いにも目立った外傷はない様子で、そのまま自力で暗い山の方向へと走り去っていったそうです。

動く車と消えない恐怖を抱えながらの帰路

招かれざる客が去った後、残されたAさんは呆然としながらも、エンジンがまだ動いていることに気づきました。そこで恐る恐るアクセルを踏んでみると、車はゆっくりと前へ進んだそうです。ひとまず自走できることが分かったため、すぐに警察と保険会社へ連絡を入れて状況を説明し、指示を仰いだ上で、自宅まで帰ることにしたといいます。

帰れるかもしれないというわずかな希望は見えましたが、帰宅中の車内は決して安心できる空間ではありませんでした。もしあと少し落下位置がずれてフロントガラスを突き破っていたら、自分は生きていたのだろうかという恐怖が、波のように押し寄せてきたそうです。

さらに、大きく凹んだボンネットを見るたびに、このまま煙や火が出てこないだろうか、途中で急にエンジンが止まってしまわないだろうかという不安に苛まれました。事故直後に車が動いているからといって、車が無事である保証はどこにもありません。見慣れた帰り道がまるで別世界のように恐ろしく感じられ、生きた心地がしないまま、祈るような気持ちでハンドルを握り続けたといいます。

翌朝の沈黙と愛車への唐突な別れ

なんとか無事に帰宅できたとはいえ、翌朝になって事態はさらに深刻な展開を迎えます。明るい場所で改めて車体を確認すると、助手席側のボンネットは無残にも大きくひしゃげていました。よくこんな状態で自宅までたどり着けたものだと、Aさん自身もぞっとしたそうです。

その後、保険会社の担当者と状況を確認しつつ、昨日までは動いていたエンジンを再びかけようとしました。しかし、今度は何度キーを回しても、車は全く反応しなかったといいます。念のため近くの車屋にも状態を見てもらったところ、修理をするとなれば、中古の軽自動車がまるまる1台買えてしまうほどの費用がかかると告げられました。

そのため、長く連れ添った愛車は修理されることなく、残念ながら全損扱いとなることが決まりました。毎日のように活躍してくれた愛車との別れは、あまりにも突然で、到底すぐには受け入れられないショッキングなものだったそうです。

恐怖の体験が職場の鉄板ネタになるまで

愛車を失ったショックも冷めやらぬまま、事故から1週間ほどが経ちました。Aさんは職場の同僚たちから車はどうしたのかと度々尋ねられるようになり、そのたびに事のてん末を説明したそうです。しかし、周囲は一様に信じられないといった反応を示すばかりでした。飛び出してきたのではなく上から落ちてきたことや、あまりにも映画のような展開に、誰もが作り話ではないかと疑うほどだったといいます。

それでも、周囲の驚く顔を見ているうちに、Aさんの中でも少しずつ心境の変化が生まれました。あんなに恐ろしかった記憶を、「これほど奇妙な経験はなかなかできるものではない」と、どこか前向きに捉えられるようになっていったのです。今では、車や動物の話題が出たときに披露する、彼にとっての定番の話題に変わったといいます。とはいえ、この事故を機に、Aさんは昼夜を問わず道路上に動物がいる場合は、無理に動かそうとせず十分な距離を取って待つなど、より慎重に対応するようになったそうです。

あの夜、鹿は自分の足で山へと帰っていきました。一方で、恐怖に震えるAさんを自宅まで送り届けてくれた愛車が、再び道路を走ることはありませんでした。怪我がなかったからこそ少し笑える話になった今でも、トンネルの出口で鹿と目が合ったあの時間は、彼にとって決して忘れられない記憶として刻まれているそうです。



ライター:Masaki.N
自動車メーカーで車体開発エンジニアとして設計・先行開発に携わった後、マーケティング/市場リサーチ領域で商品導入・訴求設計にも従事。さらに自動車サブスク系ITベンチャーでマーケティングを担当し、ユーザー視点のコミュニケーション設計を経験。現在は自動車ライターとして、新車情報、技術解説、モデル比較、中古車相場、維持費、業界動向まで幅広く執筆。SEO記事・コラム・インタビューなど媒体横断で制作し、専門知識を生活者の言葉に翻訳して「買う/持つ」の判断を支援します。加えて、カスタムを含む実車取材・体験を通じて得た一次情報を記事に落とし込み、机上の知識にとどまらない“現場感”のある解説を強みとしています。


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