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野球観戦へ向かう車内で女の子が突然ぐったり…現役鉄道員が実際に遭遇した“現場のリアル”

  • 2026.8.16
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役鉄道会社社員の福本明文です。

夏休み期間に入り、お子様を連れて家族で旅行やレジャーに出かける方も多い季節となりました。しかし、連日のように続く危険な猛暑により、鉄道の現場でもお客様が熱中症とみられる症状で体調不良を訴え、救護されるケースが増えています。

駅員や乗務員として数々のお客様に対応する中で、特に神経を使うのが子どもの体調不良への対応です。今回は、筆者が実際に現場で遭遇した事例を交えながら、子どもの体調不良に対する現場のリアルな対応と、ご家族にぜひお願いしたい鉄道旅での暑さ対策についてご紹介します。

車内で突然起きた体調不良

ある夏の日の車内でのことです。筆者はその日、乗務員としてではなく、業務の移動のために列車に添乗していました。車内には野球観戦に向かうと思われる家族連れのお客様が横並びで座席に座っていました。

ご両親が会話をしている横で、小学生くらいの女の子は会話に加わることなく、じっと俯いて座っていました。すると次の瞬間、顔を真っ赤にした女の子がぐったりと母親の膝の上に倒れ込みました。突然の出来事にご両親も大変驚かれた様子で、慌てて女の子の身体を支えていました。

状況から熱中症の疑いが強かったため、筆者も直ちに介入し、次に到着する駅に連絡し、駅員の応援を要請しました。駅に到着後、女の子を安全に車外へ運び出し、冷房の効いた駅の事務室へ移動させるとともに、駅側から救急車の出動を要請しました。

この時、当該列車は女の子を車内からホームへ安全に運び出す作業や駅員への確実な引き継ぎと状況説明、そして、他に体調を崩されているお客様がいないかどうかの車内確認を行う必要があったため、本来の停車時間を超えて駅に留まることになりました。その結果、後続の列車にも遅れが生じ、車内や駅構内では「急病のお客様の救護活動を行っているため、列車に遅れが出ています」という案内放送が繰り返し流れることとなりました。

なぜ子どもは特に危険なのか

連日の異常な暑さにより、大人でも体調を崩す人が後を絶ちません。しかし、とりわけ注意が必要なのが、身体が小さく、体温調節機能がまだ十分に発達していない子どもたちです。

地面に近い位置を歩く子どもは、アスファルトからの照り返しを直接受けるため、大人が感じている気温よりもさらに高い温度環境にさらされています。暑さへの耐性も低く、大人が「今日は少し暑いな」と感じている時点で、子どもの身体はすでに危険な状態に陥っていることも少なくありません。夏休みのレジャーで長時間の外出が続くこの時期は、特に熱中症のリスクが跳ね上がります。

鉄道移動ならではの注意点と対策

外出時の基本的な対策として、こまめな水分補給や涼しい服装を心掛けることはもちろんですが、鉄道での移動においては鉄道ならではの環境にも注意が必要です。

まず気をつけたいのが激しい寒暖差です。夏の鉄道の車内は、多くのお客様が乗車しても快適に過ごせるよう、冷房が強めに設定されていることが少なくありません。猛暑の屋外から汗だくのままキンキンに冷えた車内に入ると、急激な温度変化によって自律神経が乱れ、体調を崩す原因になります。対策として、薄手の羽織るものを一枚カバンに用意しておき、車内でこまめに温度調節ができるようにしておくことをおすすめします。また、冷えが苦手なお子様の場合は、車両によって設定されている「弱冷房車」を選んで乗車するのも有効な手段です。

次に直射日光への対策です。窓際の座席は景色が見えて子どもにも人気ですが、長時間座っているとガラス越しに直射日光を浴び続け、冷房が効いた車内であっても想像以上に熱中症のリスクが高まります。近年の鉄道車両では日光の紫外線や熱線をカットする機能を持った窓ガラスを採用している車両が増えていますが、日差しが強い時間帯は、日よけのブラインドがある場合は下ろすか、直射日光を避けられる通路側の席や、立つ位置を選ぶなどの工夫が大切です。

さらに、夏休み特有の生活リズムの乱れにも要注意です。夜ふかしをして睡眠不足のまま電車に乗ると、熱中症のリスクが高まるだけでなく、電車の揺れによる乗り物酔いも引き起こしやすくなります。お出かけの前日はしっかりと睡眠をとるよう心掛けてください。

誰もがツラい暑さだからこそ注意を

子どもが体調を崩してしまうと、ご本人が苦しいのはもちろんのこと、熱中症は重症化すれば命に関わる取り返しのつかない事態にもなりかねません。また、ひとたび車内で体調不良の方が発生すれば、鉄道会社としては人命第一で適切な対応を行うため、列車の遅延などを含め、周囲の多くのお客様にもご協力をいただく事態となります。

体調不良は誰にでも起こり得ることであり、近年の災害級の暑さは、子どもに限らず健康な大人であってもツラいほどです。だからこそ、お出かけの際には余裕を持ったスケジュールを組み、事前の準備を怠らず、子どものわずかな顔色や様子の変化を決して見逃さないようお願いいたします。


参考:みんなで見守り「こどもの熱中症」を防ぎましょう!(こども家庭庁)


ライター:福本明文
大学卒業後、鉄道会社に総合職として入社し、同業界に15年以上従事。鉄道部門だけでなく、タクシーやバス、小売りといった関連事業にも幅広く携わる。現在はWebライターとしても、広報を担当した経験を活かし、コラム記事の執筆からSNSへのコンテンツ提供まで多岐にわたって活動中。


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