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『肺がんの可能性がある人』には“咳の仕方”に共通点があった。“ただの風邪”と見落としがちな「3つの危険なサイン」とは?

  • 2026.8.25
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

季節の変わり目や乾燥する時期に、多くの人が経験する「咳」。風邪の引き始めだと思い、市販の咳止め薬を飲んでやり過ごそうとする方も少なくないでしょう。

しかし、その長引く咳の裏には、もしかすると「肺がん」が隠れているかもしれません。ただの風邪だと思い込んで薬で症状をごまかしているうちに、がんが静かに進行してしまうおそれがあります。

なぜ肺がんになると激しい咳が出るのでしょうか?そして、市販薬で咳を抑え続けることにはどのようなリスクが伴うのでしょうか。今回は麻酔科専門医である松岡雄治さんに、肺がんと咳の関係性や、受診すべき危険な咳のサインについて詳しく解説していただきました。

なぜ肺がんで激しい咳が出るのか?そのメカニズムと要因

---風邪でもないのに激しい咳が出ることがあるそうですが、肺がんが原因で起こる咳にはどのようなメカニズムがあるのでしょうか?また、どのような要因が関係していますか?

松岡雄治さん:

「肺がんによる特徴的な咳は、大きくなった腫瘍が空気の通り道である気道の粘膜を物理的に刺激することで発生します。

肺がんは、気管や気管支、肺胞の細胞が何らかの原因でがん化したものです。腫瘍が空気の通り道である気道を物理的に塞いだり、気道の粘膜を直接刺激したりすることで激しい咳が誘発されることがあります。さらに、がんが気管支を完全に塞いでしまうと、その奥に粘液や細菌が溜まりやすくなります。これにより、高熱を伴う『閉塞性肺炎』などの深刻な炎症を引き起こし、持続する咳や痰の原因となることもあります。

がんの背景要因として、喫煙習慣は切り離して考えることはできません。煙に含まれる数十種類の発がん物質が、気道のバリア機能を低下させ、細胞の遺伝子に慢性的なダメージを与え続けるためです。タバコの煙を吸い込む受動喫煙であっても、肺がんリスクを高めてしまうことがわかっているため、喫煙する方もしない方もタバコの煙には要注意です。

また、空気中のアスベストや、調理中に生じる煙などの環境要因も肺がんを引き起こす要因となります。」

市販の咳止め薬で様子を見るのは危険?放置が招くリスク

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

---咳が出るとき、まずは市販の咳止め薬を飲んで様子を見る人も多いと思います。なぜ薬で咳を抑え続けることが危険なのでしょうか?

松岡雄治さん:

「市販の咳止め薬で症状を一時的にごまかして放置すると、がん細胞が全身の他の臓器を含めて静かに広がっていく猶予を与えてしまうおそれがあります。

市販の咳止め薬には、脳にある咳の司令塔(咳中枢)に作用して、咳をする反射を一時的に抑え込んでいるものがあります。がんが原因の場合、気道の中にある腫瘍という根本原因を治療しているわけではありません。例えるなら、火災報知器が鳴り響いているときに、アラートだけを消して火元を放置している状態なのです。

薬で咳を抑えている間にも、がん細胞は周囲の健康な肺組織に深刻な影響を及ぼしながら増殖を続けます。肺がんは進行するにつれて血液やリンパの流れに乗り、全身へと転移しやすくなります。

また、咳止め薬が一時的に効いてしまうことで、ただの風邪だと思い込んでしまう『正常性バイアス』が働きます。薬の効果が切れるたびに服用を繰り返し、数ヶ月後にようやく受診したときには、がんが周囲の太い血管を巻き込んで手術が難しい状態に進行しているケースもあります。発見が遅れるほど、体への負担が少ない治療のルートが狭まってしまうおそれがあるのです。咳止め薬を飲むときには、対症療法という認識をもっておき、症状が続く場合には受診を検討しましょう。」

見逃してはいけない!肺がんを疑う「危険な咳」のセルフチェック

---ただの風邪による咳と、肺がんが疑われる危険な咳はどうすれば見分けることができますか?セルフチェックの方法を教えてください。

松岡雄治さん:

「危険な咳を見極めるコツは、咳が続く『期間』と、声のかすれや血痰などの『呼吸器以外の警告サイン』を観察することです。

普通の風邪による咳であれば、喉の粘膜修復とともに通常は1〜2週間程度で自然に軽快していきます。肺がんの疑いがある危険な咳を見極めるためのセルフチェック項目は、以下の3つです。

  • 2〜3週間以上、休まずに長引く、または徐々に悪化する咳:既存の咳(喫煙や慢性気管支炎によるもの)が明らかに悪化している場合も同様です。
  • 乾いた甲高い金属音のような咳、または痰に糸状の血が混じる血痰:がんが気道を狭めることで特有の甲高い咳が出たり、血管に影響を及ぼして血が混じったりします。
  • 咳と前後して、声がかすれる、あるいは背中や肩に重苦しい痛みが続く:がんが神経や周辺組織に影響を及ぼしている重大な危険信号です。

もちろん上記の特徴に当てはまらないケースもあるため、当てはまらないからと安心し切ることもできません。

もし、2週間を超えても咳が治まらない場合、あるいは血痰や声枯れが見られる場合は、我慢せずに『呼吸器内科』を受診してください。胸部CTやレントゲン検査、気管支鏡検査などにより、小さながんの段階で発見できる可能性が高まります。」

長引く咳には早めの受診を。対症療法に頼らない正しい対策

ただの風邪だと思って市販の咳止め薬を飲み続けることは、一時的に症状を抑えて安心してしまうことで、結果的にがんの発見を遅らせてしまう深刻なリスクをはらんでいます。「火災報知器のアラートを消すだけ」のような対応を避け、薬はあくまでも対症療法であると正しく認識することが重要です。

長引く咳の期間や、声のかすれ、血痰、背中や肩の痛みなどの警告サインをセルフチェックし、少しでも異変を感じたら、正常性バイアスにとらわれることなく速やかに呼吸器内科を受診しましょう。我慢せずに検査を受けることが、小さながんの段階で早期に発見するための大切な一歩となります。


監修者:松岡雄治
麻酔科専門医。総合病院、大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じ、幅広い周術期管理に従事。現在は急性期病院で麻酔科医として勤務する。日々、美容領域を含む各診療科の手術に携わっている。医師としての知識と経験を活かして医療系ライターとしても活動し、医療・健康・美容分野の記事執筆、医学論文の解説、商品監修、AI技術開発関連プロジェクトへの参加などの実績を有する。睡眠コンサルタント、睡眠検定1級の資格も保有。

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