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『認知症になりやすい人』は“歯”に共通点があった。歯科医が明かす、脳の健康にも影響する「意外な特徴」とは?

  • 2026.9.17
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

噛み合わせや歯の健康が、将来の脳の健康や認知症のリスクに影響を与えるかもしれない、という話を聞いたことはありませんか?

「最近、お肉が噛みにくくなった」「片側の歯ばかりで噛んでしまう」「寝ている間の歯ぎしりが気になる」といった、日々の小さなお口の違和感。実はこれらが、私たちの体や脳の未来に深く関わっている可能性があります。

なぜ噛み合わせが脳にとって大切なのでしょうか。また、私たちが無意識に行っている噛み癖や食いしばりには、どのように対処すればよいのでしょうか。

今回は、歯科医師の鷹巣多紀さんに、噛み合わせと脳の健康の関係、そして今すぐ始められるお口のケアについて詳しくお話を伺いました。

歯並びの見た目よりも大切!「無理なく噛めること」と脳の健康の関係

---噛み合わせが良いことは、脳の健康とどのように関係しているのでしょうか?また、歯を失うと認知症のリスクが高まるというのは本当ですか?

鷹巣 多紀さん:

「噛み合わせと脳の健康を考えるうえで大切なのは、歯並びの見た目よりも、食べ物を無理なく噛めることです。 奥歯を失い、上下の歯が噛み合う場所が少ない人では、認知症の発症が多い傾向がみられます。

噛むと、歯の根の周りやあごの筋肉から、神経を通じて脳へ刺激が届きます。脳はこの情報を受け取り、食べ物の硬さに合わせて噛む力やあごの動きを調整しているのです。りんごを食べるときと豆腐を食べるときで、自然と力の入れ方が変わるのも、このやり取りがあるためです。噛んでいる間には、感覚や運動を担う脳の部分で血流も増えます。

歯を失うなどして噛む機能が低下すると、このような刺激が減ることが、脳の健康に影響する可能性があります。もう一つ考えたいのが、食事の変化です。肉や繊維の多い野菜を食べづらく感じて避けるうちに、選ぶ食品が限られ、たんぱく質やビタミンなどが不足することもあるでしょう。口と脳の関係では、噛む刺激だけでなく、こうした日々の食事を通じた影響も考えられています。

ただし、噛み合わせの治療による認知症の予防効果は、まだ明らかになっていません。今できることとして大切にしたいのは、痛みなくいろいろな食品を食べられる口を保つことです。『前より肉を噛みにくい』『硬いものを避けるようになった』と感じたら、歯医者に相談してみてください。歯が抜けたままの場所も、治療が必要かどうかを確認しましょう。噛みにくさの原因に対処することは、これからの食事を楽しむためにも役立ちます。」

片側噛みや歯ぎしりは危険?無意識の「お口の癖」への正しい対処法

---片側だけで噛む癖や、歯ぎしり・食いしばりといった癖は、噛み合わせを悪くして脳に影響を与えますか?私たちはどう対処すべきでしょうか?

鷹巣 多紀さん:

片側でばかり噛んでいると気づいたら、『悪い癖を直さなきゃ』と思う前に、反対側で噛みにくい理由がないか確かめてみてください。 歯の痛みや奥歯の欠損などがあると、無意識にその側を避けて食べることがあります。つまり、癖が噛み合わせを悪くしたのではなく、もともとの噛みにくさが片側噛みにつながっている場合もあるのです。反対側で噛むと痛いときは、左右均等に噛もうと頑張るより、原因を調べてもらうことを優先しましょう。

一方、歯ぎしりや食いしばりで気をつけたいのは、歯やあごに繰り返しかかる力です。強い負担が続くと、歯がすり減ったり、欠けたり、ひびが入ったりすることがあります。あごの筋肉にも負担がかかるため、朝起きたときのだるさや痛みにつながる場合があるのです。歯やあごの痛みが続くと、食事のときに十分に噛めなくなることもあります。『歯の先が欠けてきた』『朝はあごが疲れている』『家族に歯ぎしりを指摘された』といった変化は、歯医者に相談する目安にしてください。

対処するときは、日中の食いしばりと、寝ている間の歯ぎしりを分けて考えます。日中なら、集中しているときなどに歯を噛みしめていないか気づくことが第一歩です。一方、睡眠中の歯ぎしりは、自分の意思では抑えにくいものです。歯医者で歯の傷みを確認し、必要に応じてマウスピースを使います。これは、歯同士が直接こすれ合うのを防ぎ、歯を保護するためのものです。無意識のことなので、『気をつけてもやめられない』と一人で悩まずに相談してください。

こうした癖が噛み合わせを悪化させ、認知症を引き起こすという関係までは、はっきりしていません。大切なのは、癖の有無だけで将来を心配するより、今の歯やあごに負担が出ていないかを確かめることです。」

明日から始められる!一生「噛める歯」を守るための日常ケアと生活習慣

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

---自分の歯を守り、無理なく噛み続けるために、私たちが明日から生活の中で取り組める具体的なケアや習慣を教えてください。

鷹巣 多紀さん:

明日から試しやすいのは、日中、気づいたときに上下の歯を離すことです。 リラックスしているときは、唇を閉じていても、上下の歯の間に少し隙間があるのが自然な状態です。スマートフォンを見ているときや仕事中に噛みしめていたら、あごの力を抜いて歯をそっと離しましょう。ずっと意識し続けるより、机に『歯を離す』と書いたメモを貼るなど、思い出すきっかけをつくると取り組みやすくなります。

合わせて、噛むための歯を守るケアも続けてください。フッ素(フッ化物)入りの歯磨き粉を使い、寝る前を含めて1日2回、丁寧に磨きましょう。磨いたあとは歯磨き粉を軽く吐き出し、うがいをするなら少量の水で1回にとどめると、虫歯を防ぐフッ素を口に残しやすくなります。

歯と歯の間には歯ブラシが届きにくいため、1日1回、フロスや隙間に合った歯間ブラシも使ってください。歯周病が進むと、歯を支える骨が減り、歯がぐらつく原因になります。毎日の清掃は、口をさっぱりさせるだけでなく、食べ物を噛める状態を守るためのものでもあるのです。歯磨きで出血する、歯ぐきが腫れるといった変化があれば、歯医者で確認してもらいましょう。

食事は、無理なく噛める大きさや硬さにして、急がずに味わってください。あごに痛みがあるときは、硬いものや長時間のガムで鍛えようとせず、原因を調べてもらうことを優先しましょう。

認知症のリスクを下げる習慣としては、適度な運動や禁煙、偏りのない食事が勧められています。『寝る前にフロスを使う』『近所への買い物は歩いて行く』など、お口と体の両方をいたわる習慣を、一つずつ増やしていけるとよいですね。」

お口と体の両方をいたわり、いつまでも噛みしめる喜びを

痛みなく「無理なく噛める」状態を維持することが、豊かな食事だけでなく、脳への刺激や栄養バランスの維持にもつながっているのですね。日々の食いしばりに気づいて力を抜くことや、丁寧な歯磨きやフロスといった日々のケアの積み重ねが、私たちの将来の健康を守ることにつながります。

まずは、明日から「お口の力をふっと抜く」「夜のフロスを習慣にする」など、できることから一歩ずつ取り組んでみませんか。もし少しでも噛みにくさやあごの痛み、不調を感じたら、我慢せずに歯医者さんへ相談してみましょう。


監修者:鷹巣 多紀

大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。

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