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「現実から逃げ出したい」大量の“鎮痛薬”を飲んだ20代女性→数日後、意識が朦朧とし始め…待ち受けていた事態に“後悔したワケ”

  • 2026.9.19
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。周術期管理や救急・全身管理において、多様な疾患をお持ちの患者さまの安全管理に携わっている麻酔科専門医の松岡雄治です。

「もう辛い現実から逃げ出したい」「深く眠ってリセットしたい」。押しつぶされそうなストレスの中での衝動に、Bさん(20代女性)は市販の鎮痛薬をたくさん飲みました。

「市販薬だし、少し吐き気がした程度で何も起きなかった」と過ごした数日後。突然意識がはっきりしなくなり、家族の救急要請で集中治療室(ICU)へ搬送されました。

集学的治療により幸運にも一命を取り留めて後遺症なく復帰できたものの、今では大変なことをしたと後悔しています。それにしても、一体なぜ数日も経ってからICUでの治療が必要になるほどの事態を引き起こすのでしょうか。

オーバードーズは肝臓への「時間差のダメージ連鎖」

市販薬の大量服用が、数日後にICUでの緊急対応を引き起こす背景には、肝臓の「解毒システムの限界」が存在します。

【時間差で肝臓に負担をかけるフロー】

  1. 解毒物質の枯渇:風邪薬や鎮痛剤に含まれる「アセトアミノフェン」を常用量を超えて大量に摂取すると、肝臓の解毒システムが追いつかなくなります。
  2. 有毒代謝物の蓄積と細胞へのダメージ:解毒しきれなかった有毒な代謝物質が肝臓内に蓄積し、肝細胞と結合して直接ダメージを与え始めます。
  3. 時間差(24〜72時間後)で訪れる劇症肝炎:飲んだ直後は無症状でも、数日後に肝機能の急激な低下や意識障害(肝性脳症)を起こし、ICUでの緊急治療が必要になります。

「身近な薬」の安心感と「集中治療を要するダメージ」の境界線

市販の風邪薬や鎮痛剤に含まれるアセトアミノフェンは、常用量の数倍服用すると重大なダメージにつながる可能性があります。

特に注意が必要なのが「症状の時間差」です。服用後24時間以内は軽い吐き気程度で「何ともなかった」と錯覚しがちですが、体内では着々と肝細胞へのダメージが進んでいます。24〜72時間後に突然、激しい腹痛や黄疸が現れ、血液透析といった人工肝補助療法など、ICUでの集学的治療を余儀なくされる恐れがあります。

もし早期(できれば8時間以内)に受診すれば、解毒剤を投与して肝臓へのダメージを防ぐことができる可能性が高まります。

重症化する前に確認すべき3つのサイン

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

もし大量に飲んでしまった場合や、身近な人が服用してしまった際は、症状の時間経過に合わせて以下のサインを見逃さず、直ちに行動してください。

1. 服用直後〜数時間の「軽微な悪心・食欲不振」

「大したことない」と思えても、すでに体内では解毒の不全が始まっている可能性があります。

2. 24〜48時間後に現れる「右上腹部の痛みと強いだるさ」

みぞおちから右肋骨の下あたりに痛みが出たら、肝臓が実際にダメージを受けている明確な証拠です。

3. 数日後の「皮膚の黄ばみ(黄疸)」や「会話が噛み合わない意識障害」

時間が経ってから現れる黄疸や、会話の不整合・深い眠気は、肝機能の著しい低下や脳への影響(脳症)が進んでいる極めて危険なサインです。

市販薬を多量に飲んでしまったときには

「辛くて逃げ出したい」と思うことは誰にでもありえます。しかし、過量内服は「楽になる」のではなく、時間差で集中治療を要するほどの深刻な事態をもたらしてしまいます。

もし規定量を超えて飲んでしまったら、「今は何ともないから」と放置せず、無症状でもすぐに救急相談窓口(#7119)や中毒情報センターへ相談し、病院を受診してください。早期に適切な治療を受ければ、大切な肝臓も命も守ることができる可能性が高まります。


※プライバシー保護のため、実際の症例をもとに一部の設定やエピソードを改変・再構成しています。

監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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