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突然『脳梗塞』で倒れた50代男性→3日前から、視界に起きていた“恐ろしい異変”に「あのとき、無視しなければ…」

  • 2026.8.25
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

周術期管理において、多様な疾患をお持ちの患者さまの安全管理に携わっている麻酔科専門医の松岡雄治です。

「片目の視界が数分だけ真っ暗になったけれど、すぐ治ったから疲れのせいかな」。そう言って目薬を差してやり過ごしたAさん(50代男性)。受診を勧める不安げな妻に「今はなんともないから大丈夫さ、今日は早めに寝るよ」と応えていました。

しかしそのわずか3日後、Aさんは自宅で突然倒れました。病名は「アテローム血栓性脳梗塞」。

一命は取り留めたものの、右半身に麻痺が残り、大好きだった仕事から離れ、リハビリと薬に向き合う生活が始まりました。かつてのように自分の足で立ち上がり、何気ない日常を楽しむ時間は、大きく変わってしまいました。「あのとき、無視しなければ…」と深い後悔を口にしています。

なぜ、目が数分見えなくなった数日後に、深刻な脳梗塞を招いたのでしょうか。

一過性黒内障は忍び寄る脳梗塞のサイン

なぜ、一時的な目の不調が脳の病気のサインなのでしょうか。それは、首の太い血管にできたプラーク(脂肪の塊)が剥がれ、目の血管に一時的に詰まったことを意味しているからです。Aさんの体内では、以下のような事態が進行していました。

【一時的な視界不良から脳梗塞を招いたフロー】

  1. 頸動脈のプラーク形成:首の太い血管(頸動脈)の壁にコレステロールなどが溜まり、プラークという脆い塊が作られていました。
  2. 目の血管の突然の閉塞:プラークの破片が血流に乗って剥がれ落ち、目の網膜に栄養を送る細い血管(網膜中心動脈)に突然詰まります。
  3. 視力の回復と隠れた危険:数分のうちに詰まりが解消し視力が回復しましたが(一過性黒内障)、これは「首の血管から血栓が脳へ向かって流れ始めている」ことのサインだったのです。

「ただの疲れや立ちくらみ」と「一過性黒内障」に潜む危険な境界線

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「視界が急に消えてもすぐに戻ったから病院に行かなくて大丈夫」「ただの眼精疲労や立ちくらみだろう」。忙しい毎日を一生懸命に生きる皆さんが、目の不調を疲れのせいにして様子を見てしまうのは、無理もないことです。

しかし、本件を通してお伝えしたい「境界線」があります。通常の立ちくらみや貧血であれば、脳全体の血流が一時的に下がるため「両目」の視界が全体的に暗くなります。

一方、一過性黒内障は、血栓が詰まることが病態の根幹です。両側の血管が同時に詰まることは基本的にはないため、「片目」に起こるのです。つまり、片目だけが真っ暗になり、数分でスッと視界が戻るのが特徴です。

一過性脳虚血発作(TIA)のひとつとされるこの症状は、発症後の脳梗塞リスクが高いことが分かっています。目の不調を疲れの問題として片付けるのはありがちなことですが、それが脳梗塞という重大な病気のサインを見逃すことになるかもしれないのです。

見過ごさないために、確認すべき3つのサイン

重大な事態を未然に防ぐために、目に起きた以下の異変を「体からの緊急アラート」として捉えてください。

1. 「片目だけ」に起こる数分間の視界不良

両目ではなく片目だけが真っ暗になるのは、頸動脈から血栓が流れ始めているサインかもしれません。

2. 数分から十数分で何事もなかったかのように視力が戻る

症状が完全に消えたからこそ「治った」と安心しがちですが、水面下で次の血栓が脳へ流れる危険性が高まっている可能性があります。

3.高血圧や脂質異常、喫煙の習慣を長年続けている

LDL(悪玉)コレステロールや血圧が高い、あるいは喫煙習慣がある方は、首の血管にプラークを蓄積させやすく、動脈硬化のリスクを抱えている状態といえます。受診の上、適切なコントロールを行うと安心です。

「いつもと違った」という違和感を大切に

「いつもと違ったけど、もう治ったから大丈夫」と自分を納得させてしまうことは、普段健康な方ほどしてしまいやすいものです。

重症になることを防ぐ第一歩は、「片目だけの数分間の視界不良」を経験したら、決して一人で抱え込まず、すぐに神経内科や脳神経外科、あるいは救急外来を受診することです。一過性脳虚血発作は、発症から数日以内の対応次第で結果が変わってきます。

突然の不安を取り除き、再び大切な人と食卓を囲む日常をこれからも安心して楽しむために、少しでもおかしいと感じたら、ぜひ医療を活用してください。


監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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