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「そのうち治る」“足の赤み”を放置した50代男性→しかし、高熱で救急搬送され…告げられた病名に「すぐに病院に行けばよかった…」

  • 2026.8.26
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

周術期管理において、多様な疾患をお持ちの患者さまの安全管理に携わっている麻酔科専門医の松岡雄治です。

「またいつもの水虫だよ。そのうち治るさ」と足の赤みを放置していた50代男性のOさん。

しかし、赤みは一晩で足全体に広がり、彼は高熱と強いだるさで救急搬送されました。病名は、皮膚の奥の脂肪層に炎症が広がる「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」と、細菌が全身を巡る「敗血症」でした。事なきを得たものの、リンパ管がダメージを受け、今も強いむくみと再発の不安に悩み、「あの時、すぐに病院に行けばよかった…」と深い後悔を口にしています。

なぜ、小さな傷が重大な事態を招いたのでしょうか。足の違和感に隠された「蜂窩織炎」のサインについて解説します。

蜂窩織炎は皮膚の奥深くで起こる「細菌の急激な広がり」

なぜ、小さな傷が足全体を脅かす事態を招くのでしょうか。皮膚のバリアが低下し、奥深くへと感染が広がるメカニズムは、以下のように進行します。

【足の奥深くに細菌が広がるフロー】

  1. 侵入(皮膚バリアの低下):水虫による皮むけや靴擦れが、黄色ブドウ球菌やレンサ球菌といった細菌を招き入れる「入り口」になります。
  2. 定着(組織での増殖):細菌が皮膚の深い部分から皮下脂肪の層に侵入します。ここは血流が乏しいため、免疫の守りが弱く、細菌にとって増殖しやすい環境です。
  3. 進行(炎症の拡大):細菌が皮下の組織に沿って、炎症を拡大させます。
  4. 波及(全身への影響):炎症が進行して細菌が血管へ侵入し全身に回ると、多臓器に深刻な影響を及ぼす「敗血症」を引き起こす恐れがあります。

「ただの水虫」や「ただの虫刺され」と「危険な感染症」に潜む境界線

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「水虫なんて誰にでもある」「痒ければかいてしまうのは当たり前」

忙しい毎日を生きるみなさんが、足の違和感をささいなことと捉えてしまうのは無理もありません。

しかし、本件を通じてお伝えしたい「危険な境界線」があります。実は、足(下肢)は全身の中でも蜂窩織炎が起こりやすい部位です。特に糖尿病や慢性的なむくみがある方は、皮膚の免疫力が低下しているため、細菌にとって絶好の温床となってしまいます。

蜂窩織炎は、足に広がりやすい特徴があります。これは、脂肪組織の層に広がるためです。
脂肪組織の層は、血流が豊富でないために、免疫の観点から守りが薄く、抗菌薬なども効果を発揮しにくい場所です。また、組織自体が疎なため、広がり始めると、スピーディーに広範囲に達してしまうのです。

見過ごさないために、確認すべき3つのサイン

「ただの水虫の悪化」と侮り、細菌が全身に広がってしまう前に、以下の3つの初期サインをご自身で確認してください。

1. 境界がぼやけた「赤い腫れ」が、時間単位で広がっていく

通常の虫刺されは赤みの境界がくっきりしていますが、蜂窩織炎は境界が曖昧な赤みがじわじわと周囲に拡大します。

2. 患部を指で軽く押すと「強く痛む(強い圧痛)」

皮膚の奥深くの脂肪組織に強い炎症が起きているため、触れると飛び上がるような強い痛みが生じます。

3.「赤い腫れとともに「38度以上の急な高熱や悪寒」がする

細菌が血流に入り込み、全身の免疫系が戦っているサインです。敗血症を発症する前の危険な兆候の可能性があります。

いつもと違うと感じたら

「水虫を少しかいただけで、まさか重大な病気になるなんて」と思われるのは無理もありません。それまでは紛れもなく何気ない日常の一コマだったはずです。

足に赤みが出て腫れているかもしれないと感じたら、まずは「赤い腫れの縁を、油性ペンでぐるりとマーキング(線引き)してみる」という、簡単な一歩から始めましょう。ただし、高熱や強い痛みを伴う場合、または明らかに急速に赤みが広がっている場合は、マーキングをして様子を見ることなく、直ちに医療機関(皮膚科や救急外来)を受診してください。

重症化を防ぐカギは実は身近にあります。「いつもと様子が違う」という違和感を軽くみないでください。その直感が健康な毎日を守ってくれるかもしれません。


監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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