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「使い方が下手なのかな…」フロスが毎回同じ歯で切れる40代男性→3ヶ月後、歯医者を受診すると…発覚した“意外な原因”とは?

  • 2026.8.26
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。歯科医師の鷹巣多紀です。

デンタルフロスが毎回同じ歯で引っかかったり、毛羽立ったりすると、「使い方が下手なのかな」と思うかもしれません。しかし、場所がいつも同じなら、歯や詰め物の状態を確認するきっかけになります。

今回は、診療でみられる経過をもとに構成したAさんの事例から、フロスが切れる場所に隠れていた古い詰め物の段差について紹介します。

Aさんに起きたこと

Aさんは40代の会社員です。夜にフロスを使い始めると、右下の奥歯だけ途中で引っかかり、抜いた糸が細かくほつれていました。

「力の加減が悪いのだろう」と考え、ワックス付きの製品や持ち手のある製品も試します。それでも同じ場所で引っかかるため、最後は強く引き上げて外すようになりました。

3ヶ月ほどたつと、その部分の歯茎から出血する日が増えます。Aさんは傷を広げたくないと思い、右下の奥歯だけフロスを避けるようになりました。

定期検診の日、歯科医師に場所を伝えると、実際にフロスを通して引っかかる場所を確認しました。さらに、歯と歯の接触、歯石や虫歯の有無、歯茎の腫れや出血なども調べ、古い詰め物の境目を器具で確認します。

レントゲン写真では明らかな虫歯や、歯を支える骨の減少は認めませんでした。一方、古い詰め物にはオーバーハングと呼ばれる、歯の輪郭より外側へ張り出した部分があり、その周囲には歯垢と歯茎からの出血がみられました。

歯科医師は、張り出した詰め物の境目によって歯垢が残りやすくなり、その部分に局所的な歯肉炎が起きていると判断しました。修復物のオーバーハングは歯垢がたまりやすくなる要因となり、周囲の歯肉の炎症と関連することが知られています。

フロスのほつれも、張り出した境目に糸が擦れることで起きたと考えられました。

詰め物の小さな段差が清掃を難しくする

歯と歯の間にある詰め物の形や接触は、フロスの通り方を確認する手がかりの一つです。境目が張り出していたり、表面が粗かったりすると、歯垢が残りやすくなり、周囲の歯茎の炎症と関連することがあります。

ただし、フロスがほつれるという情報だけでは、詰め物の不具合とは断定できません。糸の種類や動かし方のほか、歯石、虫歯、歯と歯の接触が強い部分などでも引っかかることがあります。

歯医者では、見た目や器具による確認だけでなく、フロスの通り方や歯茎の状態も合わせて調べます。必要に応じて、目では見えにくい歯と歯の間をレントゲン写真で確認することもあります。

すべての古い詰め物を交換するわけではない

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

Aさんの場合は、張り出した部分が小さく修正可能だったため、詰め物全体を外さず、その部分の形を整えて研磨しました。修復物の状態によっては、形を整える処置や部分的な修理で対応できる場合がある一方、交換が必要になることもあります。

周囲の歯垢を除去したあと、歯茎を傷つけにくいフロスの動かし方も確認しました。

フロスは歯茎へ勢いよく押し込まず、歯と歯の間へゆっくり通したあと、歯の側面に沿わせるように動かします。引っかかる場所では無理に力をかけず、歯科医院で原因を確認することが大切です。

次の受診時にはフロスのほつれがなくなり、その部分の歯茎からの出血もみられませんでした。局所的な歯肉の炎症も改善しています。

しばらくフロスを使っていなかった場合などには、使い始めに歯茎から出血することがあります。ただし、出血が続く場合や、毎回同じ場所から出血する、痛みや腫れがある、フロスの引っかかりが続く場合は、一度歯科医院で相談してください。

強く通し続けたり、その場所だけ清掃を長く避けたりせず、「どの歯で」「どの方向に」「どのように引っかかるのか」を伝えると診察の手がかりになるでしょう。

同じ場所の引っかかりを記録する

Aさんでは、古い詰め物のオーバーハング周囲に歯垢が残り、その部分に局所的な歯肉炎が起きていました。毎回同じ場所で続くフロスの引っかかりと出血が、異変に気づくきっかけになったのです。

フロスがほつれたときは、製品名だけでなく、場所、引っかかる方向、出血や痛みの有無も覚えておきましょう。同じ場所で繰り返す変化は、歯医者で状態を確認するための具体的な情報になります。


執筆・監修:鷹巣 多紀

大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。
歯科医師ママkiki|note:https://share.google/uUYsDiSMnkNKZCrOw X:https://x.com/kikimama0405

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