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「正直なところ意外に感じた」なかなか子どもを授からない30代夫婦、泌尿器科で検査すると…判明した“予想外の原因”とは?

  • 2026.8.28
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。泌尿器科専門医の小内友紀子です。

今回は、不妊治療を通じて夫の精索静脈瘤が見つかり、手術によって精子の状態が改善したご夫婦のエピソードをご紹介します。

※本エピソードは複数の患者さんの経験をもとに再構成した架空のものです。特定の個人を指すものではありません。

妻ではなく、夫に原因があった

30歳の妻と35歳の夫のJさんご夫婦は、なかなか子どもを授からず、不妊治療を検討し始めました。

まず妻側の検査から進めましたが、特に大きな異常は見つかりませんでした。「それなら次は」と勧められたのが、夫の精液検査です。

検査の結果、精子の数や運動率があまり良くないことがわかりました。妻は正直なところ意外に感じたそうですが、「思い返せば、夫は長時間立ち仕事をした日に、左の陰嚢のあたりが重だるいと言うことがありました」と振り返ります。それまでは疲れによる違和感だろうと、あまり気に留めていなかったそうです。念のため泌尿器科クリニックで精巣の超音波検査を受けたところ、左の精索静脈瘤と診断されました。

より詳しい説明と治療を受けるため、病院の泌尿器科を紹介され、Jさんご夫婦で一緒に説明を聞くことになりました。

男性不妊の多くは精子を作る機能の問題

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

不妊の原因のうち、男性側に原因があるケースは半数近くを占めるといわれています。その男性不妊のなかでも、約8割を占めるのが、精子を作る働きそのものが低下する「造精機能障害(ぞうせいきのうしょうがい)」です。

精索静脈瘤は、この造精機能障害の代表的な原因のひとつです。精巣の近くを通る静脈の弁がうまく働かず、血液が滞って静脈がこぶのように拡張してしまう病気で、立ち仕事や長時間の起立で悪化しやすいという特徴があります。静脈にたまった血液の熱によって精巣周辺の温度が上がり、精子を作る働きに悪い影響を与えると考えられています。左側にできやすく、陰嚢の重だるさや軽い痛みを感じることもありますが、自覚症状がほとんどない方も少なくありません。診断には、精巣周辺の血流を確認する超音波検査が用いられ、比較的短時間で調べることができます。

精索静脈瘤そのものは命に関わる病気ではないため、症状がなければ経過をみることもあります。ただし、お子さんを望んでいて、精液検査で数値の低下がみられる場合には、手術による改善が期待できるため、比較的積極的に手術がすすめられる病気です。手術によってすぐに結果が出るわけではなく、精子が作られてから成熟するまでの期間を考えると、効果を実感できるまでに数か月ほどかかることも知っておくとよいでしょう。

手術後、精子の状態が目に見えて改善

Jさんご夫婦の場合、拡張した静脈を糸で縛って血流を止める、腹腔鏡下の手術を受けることになりました。顕微鏡を使用する手術もありますが、受診した病院にはその設備がなかったそうです。入院期間も数日程度で、仕事への復帰も早かったといいます。

手術からしばらく経ったあとに受けた精液検査では、精子の濃度も運動率も、以前より改善していることがわかりました。「数字で改善が見えたことが、何よりの励みになりました」と妻は話してくださいました。ご夫婦は今、希望を持って治療に取り組んでいるそうです。

不妊治療は、夫婦そろって向き合うもの

不妊というと、つい女性側の問題として捉えられがちですが、原因の一部は男性側にあることも珍しくありません。精索静脈瘤のように、検査を受けてはじめてわかる病気もあり、手術によって精子の状態が改善する可能性もあります。——ぜひ夫婦そろって検査を受けることを考えてみてください。


※手術の効果には個人差があります。また、治療にはリスクや併発症を伴う場合があるため、主治医とご相談ください

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