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「もうお腹いっぱい」夕食を残す70代母→“年齢のせい”だと見過ごしていたが…3ヶ月後、娘が気づいた“口の中の異変”とは?

  • 2026.8.27
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。歯科医師の鷹巣多紀です。

夕食のたび、母の皿には肉や野菜が残るようになりました。「もうお腹いっぱい」と笑う母を見て、娘は年齢のせいだと思っていたそうです。

ところが、食欲が落ちたように見える変化の裏に、入れ歯の痛みが隠れている場合もあります。Aさん親子に何が起きたのでしょうか。

母が食事を残した本当の理由

Aさんは70代で、上下の総入れ歯を使っています。3ヶ月ほど前から、食事中に下の入れ歯が浮き、その下へ食べ物が入るようになりました。

そこで使い始めたのが入れ歯安定剤です。初めは少量で落ち着いたものの、日がたつにつれて使う量が増えていきます。

実は、Aさんは噛むたびに歯茎が痛み、硬い物を避けていました。「娘に心配をかけるほどではない」と考え、入れ歯のことは話さなかったのです。

ある夜、洗面所で入れ歯を外した母の口を娘が見ると、歯茎の一部が赤くなっています。そこで初めて痛みを聞き、上下の入れ歯と使用中の安定剤を持って歯医者へ向かいました。

歯医者で見つかったのは、入れ歯の縁が繰り返し当たった場所にできた傷でした。入れ歯を口に戻して噛んでもらうと、左右の当たり方にもずれが見られます。

安定剤を厚く重ねたため、入れ歯が本来とは少し違う位置に収まっていたのです。Aさんは「動かなくなれば合っていると思っていました」と振り返りました。

入れ歯は変わらなくても、口の形は変わる

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

歯を失った後の顎の骨や歯茎は、時間とともに少しずつ形が変わります。一方、入れ歯は作ったときの形のままです。その差が大きくなると、以前は合っていた入れ歯でも、浮いたり擦れたりすることがあります。

入れ歯安定剤が悪いわけではありません。口の状態に合う製品を適量使えば、入れ歯のぐらつきを抑え、食べ物が入りにくくなる場合もあります。

ただ、安定剤は合わなくなった入れ歯を直す材料ではありません。量を増やし続けると、入れ歯の高さや噛む位置が変わったり、口や入れ歯に材料が残ったりすることもあります。

「前より多く必要」が見直しの合図

Aさんは傷の治り方を見ながら、入れ歯の当たる部分と噛み方を調整してもらいました。入れ歯と口の中の洗い方も教わり、安定剤は必要なときだけ、決められた量を使います。

調整後、Aさんは痛みを気にせず噛める物が増えました。娘も「食欲はある?」と聞くだけでなく、入れ歯が痛くないかも尋ねるようになったそうです。

同じ場所の赤みや傷、入れ歯の浮き、噛みにくさが続くときは、安定剤を足すだけで済ませないでください。受診時には入れ歯と使用中の製品を持参すると、種類や量、落とし方まで相談できます。

食べ残しは入れ歯を見直すきっかけにもなる

Aさんの食べ残しは、食欲の低下ではなく、入れ歯の痛みが理由でした。本人が我慢していると、家族も年齢による変化だと受け止めてしまうことがあります。

「安定剤が前より多く必要」「同じ場所が痛い」という変化は、入れ歯を見直すきっかけの一つです。使っている入れ歯と安定剤をそのまま歯医者へ持っていきましょう。


執筆・監修:鷹巣 多紀
大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。
歯科医師ママkiki|note: https://share.google/uUYsDiSMnkNKZCrOw X: https://x.com/kikimama0405 

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