1. トップ
  2. ヘルスケア
  3. 健康診断で『血圧が高い』と指摘された50代女性→薬を飲んでも改善せず再検査するが…その後、発覚した“恐ろしい病気”

健康診断で『血圧が高い』と指摘された50代女性→薬を飲んでも改善せず再検査するが…その後、発覚した“恐ろしい病気”

  • 2026.8.8
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「健康診断で血圧が高いと言われたけど、年齢的なものだろうし薬さえ飲んでいれば大丈夫」

会社の健診で高血圧を指摘されたとき、多くの方がそう考えるのではないでしょうか。血圧は加齢とともに上がりやすくなるものですし、動脈硬化など血管の老化が原因の生活習慣病、というイメージを持つ方も少なくありません。でも、薬を飲んでもなかなか下がらない高血圧の裏に、思いがけない原因が隠れていることがあります。

こんにちは。泌尿器科専門医の小内友紀子です。今回は、薬を飲んでも下がらなかった血圧の原因が、副腎(ふくじん)にできた腫瘍だったというエピソードをご紹介します。

※本エピソードは複数の患者さんの経験をもとに再構成した架空のものです。特定の個人を指すものではありません。

会社の健診で指摘された高血圧

50代の女性、Aさんは、会社の健康診断で「血圧が高い」と指摘されました。それまで血圧を意識したことはなく、少し戸惑いながらも近所のクリニックを受診し、血圧を下げる薬を処方してもらいました。

ところが、薬を飲み始めても血圧はなかなか落ち着きません。用量を調整してもらったり、薬の種類を変えてもらったりしましたが、思うように下がらない日が続きました。

「私の飲み方が悪いのかしら」「もっと運動しなきゃいけないのかも」

Aさんはそう考え、減塩や運動など生活習慣の見直しにも取り組みましたが、数値は思うように改善しませんでした。

かかりつけの医師から「一度、詳しく検査ができる病院で調べてもらいましょう」とすすめられ、Aさんは大きな病院を紹介してもらうことになりました。

副腎の腫瘍が血圧を上げていた

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

紹介先の病院で行われたCT検査で、Aさんの左側の副腎(腎臓の上にある小さな臓器で、血圧や代謝に関わるホルモンを作っています)に1cmほどの腫瘍が見つかりました。

続いて行われたホルモンの検査では、カテコラミンというホルモンの数値が高いことがわかりました。カテコラミンは血圧や心拍数を上げる働きを持つホルモンで、通常は体が必要とするときに少しずつ分泌されます。ところが、副腎にできる褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ)という腫瘍があると、このホルモンが過剰に、しかも不規則に分泌されてしまうことがあります。

高血圧の多くは、加齢や塩分の摂りすぎ、肥満といった生活習慣が関係していますが、褐色細胞腫による高血圧はまれなケースです。それでも、薬を使ってもなかなか血圧が下がらない場合や、動悸や頭痛、発汗を伴い、発作的に血圧が急上昇するような場合には、こうしたホルモンの異常が背景にある可能性も考えられます。

年齢を問わず起こりうる病気ですが、比較的若い年代で見つかることも珍しくありません。「若いのに血圧が高い」「薬を変えても効果が乏しい」といった場合には、一度ホルモンの検査を検討してみるのもよいかもしれません。

腹腔鏡手術で腫瘍を摘出

検査の結果を受けて、Aさんには手術がすすめられました。ただし、褐色細胞腫の手術では、腫瘍を押したりした際に血圧が急激に上昇することがあるため、事前に血圧の変動を抑える薬を一定期間飲んでから手術に臨む必要があります。Aさんも手術の数日前から入院し、体調を整えたうえで手術当日を迎えました。

手術はお腹に小さな穴をあけて器具を挿入する腹腔鏡(ふくくうきょう)手術で行われ、無事に終了しました。開腹手術に比べて体への負担が少ないため、術後の痛みもそれほど強くなく、経過は順調でした。血圧も手術後は落ち着き、退院する頃にはほぼ正常な値に戻っていました。手術後は血圧を下げる薬もほとんど必要なくなり、「あんなに苦労して薬を調整していたのは何だったのかと思うくらい、今は血圧を測るのが怖くありません」とAさんは話してくださいました。

薬が効かない高血圧に気づいたら

高血圧の治療というと、薬を飲み続けることを思い浮かべる方が多いかもしれません。けれど、Aさんのように薬の効果が乏しく、なかなか改善しない場合には、その背景に副腎の病気が隠れていることもあります。

若い頃から血圧が高い方や、発作的に動悸や頭痛、発汗を伴う血圧上昇がある方は、一度、内分泌の専門外来を受診してみるのも一つの方法です。血圧の数字だけでなく、その裏にある体からのサインにも、耳を傾けてみてください。


執筆・監修:小内 友紀子
公益財団法人ときわ会 常磐病院 泌尿器科 診療副部長、東京女子医科大学病院 泌尿器科 講師、医師、医学博士
女性泌尿器科医師として、普段は女性によくある尿もれから、男性の前立腺癌をはじめとする泌尿器科領域の癌診療まで診療しております。
【資格】医師 / 医学博士 / 泌尿器科専門医・指導医 / 透析医学会専門医・指導医 / 排尿機能学会専門医

の記事をもっとみる

注目コンテンツ