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70代男性「ネットで入出金を確認できなくなった」相談しに銀行へ→担当者が履歴を確認したところ…判明した“恐ろしい事実”

  • 2026.8.8
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関勤務のおがわ163です。20年間、金融機関の窓口で資産運用や家計相談に携わってきた経験をもとに、お金にまつわるリアルなエピソードをお届けしています。

「被害に遭ってから考えればいい」そう思っているうちに、いざというときの手続きに追われることがあります。今回は、私が窓口で見守った、父親の特殊詐欺被害に奔走する40代女性Aさんのエピソードをご紹介します。

「口座の取引を止めさせていただきました」

はじまりは、70代の男性が娘のAさんとともに来店されたことでした。「ネットで入出金を確認できなくなった」とのこと。

聞けば、その男性は銀行関係が苦手で、お金の管理は数年前に亡くなった妻(Aさんの母)に任せきり。ただ、母の死後、入出金の確認方法だけはAさんに教わり、時々スマホで残高を見ていたそうです。

「その確認が急にできなくなったと父から聞いて。ちょうど実家に寄ったときで、おかしいと思い一緒に来ました」とAさん。

窓口で確認すると、不審な取引の兆候があったため、被害拡大を防ぐために口座の一部の取引を一時的にお止めしていたことが分かりました。記帳すると、身に覚えのない出金が並んでいます。100万円の振り込みが日を置いて2回、合わせて200万円が、すでに引き出されていました。

父親に聞くと、経緯が見えてきました。数週間前、「息子を名乗る電話」があったといいます。Aさんには弟がいて、海外で暮らしているのです。

「父は『息子は慣れない土地で大変な目に遭っているのかも』と思い込んでしまって。電話の声がいつもと違っても、疑いませんでした。信じきって、言われるまま無人のATMから振り込んでいたんです」

相手を疑うこともなく、父は一人でATMへ向かっていたのです。

「未払いのお知らせが、次々と届いて」

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

その後、Aさんはキャッシュカードの再発行などで、何度も窓口に足を運ぶことになりました。来店のたびに、少しずつ経過を伺いました。

父親の口座は、年金の受取口座であり、電気やガス、水道などの引き落とし口座でもありました。取引が止まっている間、それらの支払いも止まってしまったといいます。

「実家に、未払いのお知らせが次々と届いて。現金も引き出せないので、当面の生活費は私が立て替えるしかなくて」

取引を元に戻すには、本人が来店して経緯を確認する必要があります。ただ、父は順序立てて説明するのが難しく、Aさんが付き添うほかありません。

「フルタイムで働いているので、平日に何度も足を運ぶのがこたえました。実家までは片道数時間。有給を使い切りそうになりながら、警察への届け出、書類の準備、カードの再発行と、ひとつずつ進めました」

口座まわりがひととおり落ち着くまで、2か月ほどかかったといいます。

「父が気に病んでしまって」

大変だったのは、手続きだけではありませんでした。被害に遭ったショックはもちろんですが、それ以上にAさんの心に残ったのは、父がすっかり元気をなくしてしまったことでした。

「『自分がしっかりしていれば』『お前に迷惑をかけて』と繰り返して。母の死後、お金のことを一人で抱えていた負い目もあったんだと思います」

気持ちを立て直すには、手続き以上に時間がかかったといいます。

一連の来店が落ち着いたころ、私はAさんに、いくつかの備えをお伝えしました。
「日ごろから通帳の残高やお金の動きを、ご家族でときどき見ておくこと。今回のような出金に早く気づけます。あわせて、ご家族が代理で取引できる『代理人カード』を登録しておく方法もあります。利用条件は銀行によって異なりますので、取引先にご確認ください」

Aさんが漏らした一言も印象に残りました。
「お金の管理は母が一人で担っていて、亡くなったあと、その役目を誰も引き継いでいなかったんです」

管理する人が一人だけだと、その方がいなくなったとき、残された家族が困ってしまうことがあります。ふだんから少しでも家族で共有しておくことが、いざというときの備えになります。

「被害に遭って、本当に大変だと身をもって知りました。父を責めず、これからは一緒に整理していこうと思います」とAさんは前向きに話してくれました。

【特殊詐欺の被害と、その後の備えのために知っておきたいこと】

  • 「家族を名乗る電話」で急にお金を求められても、その場で振り込まず、いったん切って本人がいつも使っている番号にかけ直して確認する
  • 普段と声や様子が違っても、思い込まずに確認する
  • 振り込む前に、家族や警察(#9110)、銀行に相談する
  • 振り込んでしまったお金は取り戻せないことが多く、「振り込む前に防ぐ」ことがなにより大切
  • 不審な取引があった場合、被害拡大を防ぐために口座の取引を一時的に止める対応をとる銀行もあり、再開には本人の来店や経緯確認が必要で時間がかかることがある
  • 年金受取や公共料金の引き落とし口座が止まると、未払いや現金不足など生活に影響が及ぶことがある
  • 日ごろから残高やお金の動きを家族で確認し、代理人カードの登録なども検討しておく(条件は銀行により異なる)
  • お金の管理を一人に任せきりにせず、家族で少しでも共有しておく

「被害に遭ってから」では、手続きにも気持ちの立て直しにも時間がかかります。元気な今だからこそ、家族でできる備えがあります。親のお金の管理に不安がある方は、ぜひ早めに取引先の金融機関にご相談ください。


執筆:おがわ163
金融機関勤務(勤続20年)。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。窓口業務・資産運用相談の現場経験をもとに、生活に役立つお金の知識をわかりやすくお届けしています。

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