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“月4.5万円”の生命保険に加入→「満期金600万円が振り込まれる」はずが…10年後、50代夫婦を直撃した“82万円”の大誤算

  • 2026.8.8
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、家計・資産形成・相続など、お金に関するご相談をお受けしている、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

生命保険の満期保険金にかかる税金は、「誰が受け取るか」だけでは決まりません。

実際に保険料を負担した人と、満期保険金を受け取る人が同じかどうかによって、所得税になる場合と贈与税になる場合があります。

今回は、妻が受け取る満期金600万円を「妻の一時所得になる」と考えていた50代夫婦の事例から、満期前に押さえておきたいポイントを解説します。

※事例はプライバシー保護のため、内容の一部を変更しています。

「増えたのは60万円」のはずが税額82万円 満期直前に知った思わぬ違い

会社員のNさん(仮名・55歳)と、パート勤務の妻(52歳)は、10年前に貯蓄を目的とした生命保険へ加入したそうです。

保険の契約者と保険の対象となる人は夫、満期保険金の受取人は妻になっていました。

Nさんは「満期になったら、妻が自由に使えるお金にしたい」と考え、妻を受取人にしたといいます。

毎月の保険料は4万5,000円でした。夫が自身の収入から全額を負担し、夫名義の口座から10年間支払っていたそうです。

10年間に払い込んだ保険料は合計540万円です。満期を迎えると、妻の口座へ600万円が振り込まれる予定でした。

Nさん夫婦は、満期保険金を受け取るのが妻であるため、妻の「一時所得」として扱われると考えていたそうです。

一時所得とは、満期保険金など、一時的に受け取った一定の所得を分けるための区分です。

仮に、保険料を負担した人と満期保険金を受け取る人が同じであれば、一括で受け取った満期保険金は、原則として一時所得になります。

今回の満期保険金は600万円、払込保険料は540万円です。差額は60万円でした。

一時所得には最高50万円の特別控除があるため、その年にほかの一時所得がない場合は、次のように計算します。

  • 600万円-540万円-50万円=10万円

さらに、この10万円の全額が所得税の計算に加わるわけではありません。2分の1にあたる5万円を、給与などの所得と合算して所得税を計算します。

そのため、Nさん夫婦は「実際に増えたのは60万円なので、税金はそれほど大きくならないだろう」と考えていたとのことです。

ところが、満期が近づいて税金の扱いを調べると、重要なのは妻が受け取ることではなく、夫が保険料を負担していたことだと分かったそうです。

夫が保険料を負担し、妻が満期保険金を受け取る場合、税金の計算では、妻が夫から満期保険金に相当する金額の贈与を受けたものとして扱われます。

つまり、今回の600万円は妻の一時所得ではなく、贈与税の対象になるのです。

贈与税は、満期保険金600万円と払込保険料540万円の差額である60万円だけを基に計算するわけではありません。原則として、妻が受け取る600万円を基に計算します。

妻がその年に受け取った贈与が、今回の満期保険金600万円だけである場合、600万円から年間110万円の基礎控除を差し引きます。

  • 600万円-110万円=490万円

夫から妻への贈与には、一般の贈与税率が使われます。基礎控除を差し引いた後の490万円に対する税率は30%で、控除額は65万円です。

  • 490万円×30%-65万円=82万円

夫が保険料の全額を負担し、妻がその年に受け取った贈与が今回の600万円だけという前提では、計算上の贈与税は82万円となります。

「増えた60万円に対して税金がかかる」と思っていたNさん夫婦にとって、82万円という金額は想定外だったそうです。

受取人だけ見ては危ない 税金を分ける3つの立場

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

生命保険にかかる税金を考えるときは、次の3点を分けて整理する必要があります。

  • 保険を契約した人は誰か
  • 実際に保険料を負担した人は誰か
  • 満期保険金を受け取る人は誰か

契約者とは、保険会社と契約を結び、契約内容の変更などを行う人です。

ただし、税金の種類を判断するときに特に重要なのは、「実際に保険料を負担した人」と「満期保険金を受け取る人」です。

この2人が同じで、満期保険金を一括で受け取る場合は、原則として所得税の一時所得になります。

一方、この2人が異なる場合は、保険料を負担した人から受取人への贈与として扱われ、贈与税の対象になります。

夫婦なら非課税とは限らない 110万円控除の正しい見方

夫婦間の贈与でも、暦年課税では年間110万円の基礎控除を利用できます。

ですが、贈与を受けるたびに110万円を差し引けるわけではありません。

その年の1月1日から12月31日までに受け取った贈与をすべて合計し、その合計額から110万円を差し引きます。

同じ年に夫や親などから別の贈与を受けている場合は、その金額も含めて計算しなければなりません。

満期直前では遅い 保険料の負担者まで見落とさない

妻を満期保険金の受取人にすること自体が問題なのではありません。

注意したいのは、受取人を決めるときに、誰が保険料を負担するのか、満期時にどの税金がかかるのかまで考えていないケースです。

生命保険は、契約から満期まで10年、20年と長くなることがあります。満期が近づいた頃には、加入時の説明や、誰のお金で保険料を支払っていたのかが曖昧になっていることもあるでしょう。

まずは保険証券を見て、契約者と受取人を把握します。あわせて、通帳や口座の履歴から、実際に誰が保険料を負担してきたのかも整理しておきましょう。

生命保険の税金を考えるときは、「誰が受け取るか」だけでなく、「誰のお金で保険料を支払ったか」まで押さえることが大切です。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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