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「他人事ではない…」豪雨のニュースを見て“車両保険”を追加しかけた50代女性、プロに相談して知った事実に“拍子抜けしたワケ”

  • 2026.9.21
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPで自動車保険を含む保険の見直し相談を数多く受けてきた柴田です。

大雨のたびに流れる、水に浸かった車の映像。「うちの車もこうなったら…」と不安になった方は多いのではないでしょうか。

今回は、そんな不安から車両保険に駆け込もうとした50代のAさんのお話です。

水没した車の映像を見て、保険の窓口へ

Aさん(50代女性)は、豪雨で冠水した道路と、屋根近くまで水に浸かった車の映像をニュースで見て、「他人事ではない」と感じたようです。ご主人名義の自動車保険は、対人・対物の賠償だけで、車両保険は付けていません。「このままだと、うちの車が水没したら丸損になる...」。

自動車保険の代理店に電話すると、車両保険を付けた場合の見積もりが届きました。年間の保険料は、今より数万円アップ。それでも「安心には代えられない」と申し込む寸前で、念のため私のところへ相談に来られました。

「その保険は、本質からずれています」

見積もりと家計の資料を拝見して、私はこうお伝えしました。「Aさんのご家庭の場合、その車両保険は保険の本質からずれていますよ」。Aさんはきょとんとされていました。

誤解のないように言うと、車両保険そのものは、台風や洪水による水没をきちんと補償します。一般型でもエコノミー型でも水災は対象になるのが一般的で(地震・噴火・津波による損害は対象外)、補償の中身に問題があるわけではありません。

問題は、保険の役割とのズレです。保険の本質は、「起きたら家計が立ち行かなくなるほど大きな損失」に備えることにあります。たとえば自動車事故で相手を死亡させたり、重い後遺障害を負わせたりしたときの賠償は、裁判で5億円を超える額が認められた例もあります。これは多くの家庭にとって貯金ではどうにもならないので、対人・対物賠償は無制限にしておくべきです。

一方、Aさんの車は購入から8年が経ち、車の価値はすでにかなり下がっていました。車両保険で受け取れるのは、原則としてその車の価値の範囲まで。そして、もし水没して買い替えが必要になっても、ご夫婦の貯蓄で十分に対応できる金額でした。つまりAさんは、貯蓄で吸収できる損失に、毎年保険料を払おうとしていたのです。

保険料と「使ったあと」を試算してみると

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

私が試算してお見せすると、Aさんはさらに驚いていました。車両保険の保険料を年に数万円ずつ払い続けると、数年分の合計が、補償される車の価値に近づいてしまうのです。

しかも車両保険は、使ったあとにも負担が残ります。台風や洪水で車両保険金を受け取ると、翌年の等級が1つ下がり、一定期間は割引率の低い「事故あり」の料率が適用されます。つまり、保険料がさらに上がるわけです。「保険に入るより、その分を貯めておいたほうがいいんですね」と、Aさんは拍子抜けした様子でした。

大切なのは、「ニュースで不安になったから」ではなく、「その損失を自分の貯蓄で吸収できるか」を先に考えることです。そのうえで、水害への備えとしては、住んでいる地域のハザードマップを確認し、大雨の予報が出たら車を高台のパーキングへ移しておくことも、立派な対策です。

まとめ

保険は「不安を減らすため」ではなく、「自分では払いきれない損失に備えるため」に入るものです。多くの家庭では、対人・対物の賠償は無制限にする一方で、車両保険は不要で問題ありません。

保険の本質を知っておくだけで、報道のたびに保険料が膨らむことはなくなります。Aさんはその後、車両保険は付けずに、浮いた保険料を「車の買い替え用」として積み立て始めました。


執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,500記事以上の執筆実績あり。

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