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「かわいくなったね」と手のひらを返す同級生→ある男子がさらっと言った一言

  • 2026.7.20
ハウコレ

手のひらを返す同級生に一言だけ返した直後、聞き覚えのある声が後ろから聞こえました。

あの教室で誰も言ってくれなかった言葉が、10年越しに届いた日のことです。受付で渡された名札には、卒業アルバムから切り取った丸い頬の写真が貼ってありました。

名札の写真と、あの頃の教室

卒業から10年、1度も同窓会には出ていませんでした。中学時代の私は、同級生たちの中でいじられる側でした。「ブス」。廊下ですれ違うたびにそう呼ばれ、周りの笑い声が聞こえてきました。中心にいたのは、いつも爪の長い、声の大きい同級生です。その子が口にすればみんなが笑う。それが教室のルールでした。高校に入ってからは関わりがなくなりましたが、鏡を見るたびにあの声が重なる時期が続きました。社会人になって自分なりにメイクを覚え、服を選ぶようになり、鏡の中の自分を好きだと思えたのは、ここ数年のことです。同窓会の案内が届いたとき、すぐに欠席に丸をつけました。でも、このまま避け続けるのは、あの教室にまだ座っているのと変わらない気がして、出席に書き直しました。

斜め向かいの視線

会場のテーブルについてグラスを手にしたとき、斜め向かいから視線がありました。あの同級生でした。ネイルの施された指でグラスの縁をなぞりながら、こちらを見ています。数秒後、席を立ってこちらに来ました。私の名札に目を落としてから、目を丸くしました。「久しぶり」「かわいくなったね」。隣の椅子を引いて、当たり前のように腰を下ろしました。「ありがとう」と返すと、「昔と全然違うじゃん」と笑いました。あの頃とは別の人に話しかけるような顔でした。周りの同級生たちも口々に「変わったね」と声をかけてきます。斜め後ろのテーブルから軽く手を上げた男子がいましたが、こちらには来ませんでした。名札がなければ通り過ぎていたかもしれないその反応が、不思議と嬉しくはありませんでした。

変わったもの、変わらなかったもの

2杯目のグラスに手を伸ばしたとき、同級生がまた隣に来ました。「ねえ、今度みんなでごはん行こうよ」。迷いのない声でした。返事を考えていると、同級生は少し離れたテーブルのほうを見て、声を落としました。「あの子、昔から変わらないね」。別の参加者の外見のことでした。笑う横顔が、教室の廊下で私を指差していたときと同じ角度をしていました。グラスを置いて、同級生のほうを向きました。「ありがとう。でも私、あの頃の私にも声をかけてくれる人と一緒にいたいかな」。同級生はグラスに目を落としたまま、自分の席のほうへ戻っていきました。

そして...

同級生が席に戻ったあと、後ろから声がかかりました。「何言ってんの、昔からかわいかったじゃん」。振り向くと、さっき手を上げていた男子がグラスを片手に立っていました。中学のとき隣の席だった子です。あの教室で、この人だけは「ブス」と呼ばなかった。それを、そのとき初めて思い出しました。「ありがとう」と返すと、彼は軽くグラスを上げて自分のテーブルに戻っていきました。帰り道、名札の丸い頬の写真を指先でなぞりました。捨てずに、財布のポケットにしまいました。あの子にも、ちゃんと気づいてくれていた人がいた。それだけで、10分でした。

(20代後半女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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