1. トップ
  2. マンガ
  3. 「ひとりのほうが落ち着く」と彼に決められ、物置の隣の部屋へ→引き戸の向こうで聞いた一言

「ひとりのほうが落ち着く」と彼に決められ、物置の隣の部屋へ→引き戸の向こうで聞いた一言

  • 2026.7.20
ハウコレ

彼の「1人のほうが落ち着くタイプだから」の一言で、私は鍵のかかる奥の部屋で1人過ごすことになりました。けれど短い相談のあと、引き戸を叩いたのは彼でした。

引き戸の向こうから届く5人分の笑い声に、ふいに私の名前が混じりました。

私の布団だけ、なかった

学生時代の友人4人と私たちカップル、合わせて6人で泊まりに来た宿でした。受付を済ませると、みんなは大広間にぞろぞろと荷物を運び込みました。布団を6組きれいに並べるはずが、見渡すと5組しか敷かれていません。

お菓子の袋が開けられ、缶ビールが回り、もう笑い声が上がっています。その輪のどこにも、私のぶんの布団はありませんでした。みんなが楽しそうに支度を進める横で、私だけ手持ち無沙汰に立ち尽くしていました。

「ひとりのほうが落ち着くタイプだから」のひとこと

部屋割りの話になったのは、ひと息ついたタイミングでした。「えっと、もう一部屋あるんだっけ?」と友人の1人が首をかしげ、私の名前が挙がります。「1人で平気?」と別の子が気づかうように声をかけてくれました。けれど私が答えるより先に、彼がみんなのほうを向いて言いました。

「1人のほうが落ち着くタイプだから」

何人かが、納得したようにうなずきます。私のことを、私より先に決められてしまったようでした。彼は鍵と毛布を手渡し、「奥の部屋、鍵かかるから」とだけ付け加えました。

毛布を膝に、ひとりきりで

引き戸の向こうから、5人分の声が途切れずに届いてきました。グラスの当たる音、誰かの笑い声、彼の相づち。私は1組だけ敷かれた布団に座り、渡された毛布を膝にのせていました。

手を伸ばせば、物置の段ボールに届く距離です。私は、荷物のように端へ寄せられただけなのか。それとも、ただ気が回らなかっただけなのか。どちらでも、さみしさは同じでした。

そして...

どれくらい経った頃でしょうか。「やっぱり呼ぼうよ。1人だけ仲間外れはよくないよ」と、誰かが私の名前を口にしました。「断られたらそっとしておこう。一声だけかけよう」と、別の声も続きます。

短い相談のあと、引き戸を叩く音がしました。立っていたのは彼でした。「やっぱり一緒に飲まない?」と差し出された手に、私は毛布を抱え直してうなずきました。

大広間に戻ると、座布団が1つ足され、5つだったグラスが6つに増えます。私もみんなと一緒に笑い、誰も腰を上げないまま朝を迎えました。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ