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「音大出たのにピアノ教室?もったいないね」と同級生に見下された私→教え子の活躍で評価が一変した日

  • 2026.5.8
ハウコレ

音大時代の同級生と再会した同窓会。懐かしさの中で投げかけられた一言が、じわじわと胸に刺さり続けた話です。

8年ぶりの再会

卒業から8年後の同窓会で、同じゼミだった同級生と再会しました。大学時代から演奏の腕が際立っていた彼女は、卒業後に一般企業へ就職したと聞いています。「今何してるの?」と聞かれ、「地元でピアノ教室を開いてるよ」と答えると、彼女は一瞬きょとんとしてから言いました。「音大出たのにピアノ教室?もったいないね」。悪気のなさそうな口調が、かえって深く刺さりました。「子どもたちに教えるの、楽しいよ」と返すと、「でもさ、あれだけ弾けたのに」と笑いながら続けたのです。

揺らいだ足元

帰り道、あの言葉がずっと頭を離れませんでした。もったいない。自分でも考えなかったわけではありません。コンクールで入賞した経験もあり、演奏家の道を勧められたこともありました。それでも私は教えることを選んだのです。生徒が初めて一曲を弾き通したときの顔が好きで、あの瞬間のために日々を重ねることに誇りを持っていました。なのにたった一言で足元が揺らぐ自分が情けなくて、唇を噛みました。

教え子が届けてくれたもの

同窓会から3カ月後、教室に通う中学2年生の生徒が全国コンクールで入賞しました。小学3年生から一緒に歩んできた子です。その知らせが広まったのか、あの同級生からメッセージが届きました。「生徒さんが全国大会で入賞したんだって?」。そして「すごいじゃん。ちゃんと育ててるんだね」と。あの日とは違う言葉の温度に、目頭がじんわりと熱くなりました。

そして...

彼女に認められたから嬉しかったのではありません。あの子が重ねてきた時間が実を結んだことが、ただ嬉しかった。そしてその時間のそばにいられた自分の選択を、ようやく胸を張って肯定できた気がしたのです。もったいなくなんかない。そう思えたのは、誰かに評価されたからではなく、教え子の晴れやかな顔を思い出したからでした。

(30代女性・ピアノ教室の先生)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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