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藤原かんいちのドリーム・ジャーニー|vol.04 前人未到の挑戦――電動バイクで世界一周できるのか

  • 2026.7.16

世界5大陸走破を果たした藤原かんいちが次に選んだ挑戦は、発売されたばかりの電動バイクだった。航続距離はわずか20km。誰も成功したことのない乗り物で世界を走る――。夫婦による前人未到のチャレンジが始まった。

前人未到!電動バイクでの世界一周

2002年。次のチャレンジを模索していた私の元に、ヤマハが電動バイク『パッソル』を発売するというニュースが飛び込んできました。排気ガスを出さず、音も静かで、環境に優しい電動バイク。「次の旅はこれだ!」と直感しました。

やるなら、世界一周をしてみたい。しかし、当時のバッテリー1本で進める距離はわずか20km。どうすればこの非力な乗り物で長い旅ができるのか?

試行錯誤の末「ヒロコにサポートバイクで同行してもらう」という作戦にたどり着きました。パッソルだけでは運べない交換バッテリー5本(総重量30kg)や、重い変圧器、充電器などを彼女のバイクに積んでもらうのです。

それでも前例のない未知の旅。本当に達成できるのか、出発前は期待と不安でいっぱいでした。

2004年、電動バイクの旅はサンフランシスコから幕を開けました。

目指すはニューヨーク。

バッテリー合計6本で進める距離は、1日わずか120km。まるで自転車のようなスローペースで旅は進んでいきます。

想像以上に過酷だったのは、サポート側に回ったヒロコの運転でした。荷物が重すぎて、バイクを支えきれないのです。最初の1か月ほどは、ふたりで交代しながら運転をつなぎました。

さらに、「向かい風になると電力消費が一気に悪化する」「遅いスピードで走り続けると、サポートバイク(マジェスティ)の調子が悪くなる」など、次々と電動バイク旅ならではの課題が浮き彫りになっていきました。

ある日、強烈な向かい風のため予定地にたどり着く前にバッテリーがゼロになってしまいました。

近くの民家に「充電させてほしい」とお願いしてみましたが、見知らぬ東洋人の不審人物に見えたのか、次々と断られます。

途方に暮れかけましたが、最終的にはガソリンスタンドのスタッフが快く助けてくれ、なんとか窮地を脱することができました。

5か月をかけてアメリカ大陸を横断し、ニューヨークの高層ビル群が見えたときは、言葉にできない嬉しさでした。

そしてこの瞬間、「電動バイクで世界一周ができる!」と確信しました。

その後、オーストラリア横断、ヨーロッパ横断をクリア。いよいよアフリカ大陸へ上陸します。

ヒロコにとっては初めてのアフリカ。最初は不安でいっぱいだった彼女も、南アフリカの近代的な街並みを見てホッとしたようでした。

電動バイクを初めて見るアフリカの人々は、音もなく静かに走る姿を見て大興奮。

「おおっ! 日本のバイクはみんなエレクトリックなのか!?」

そんな反応に苦笑しながらも、日本の技術を誇らしく感じたことを覚えています。

心配していた充電環境ですが、モザンビークで「1日3時間しか電気が通らない」という状況があった以外は、辺境の地でも発電機などを借りながらなんとか充電をつなぐことができました。

大きな病気や事故もなく、ケニアまで無事に走り抜けることができたのです。

藤原かんいちのドリーム・ジャーニー|vol.04 前人未到の挑戦――電動バイクで世界一周できるのか
電動バイクの旅で訪れたアメリカ。長い歴史を持つルート66には古き良き時代のアメリカを感じる建物がたくさん残っていた。
藤原かんいちのドリーム・ジャーニー|vol.04 前人未到の挑戦――電動バイクで世界一周できるのか
アフリカ東部のマラウイ。道端にバイクを止めると、学校帰りの元気な子どもたちにあっという間に囲まれた。アフリカはエネルギーに溢れていた。

ケニアからギリシャへ戻ると、ここからアジア横断の旅が始まります。

トルコではラマダン(断食月)を体験。自ら空腹や渇きを経験することで、貧困や飢餓に苦しむ人々の痛みを理解するという文化は、私にとって貴重な人生の学びとなりました。

パキスタンでは緊急事態宣言が発令されており、物々しい警察の護衛付きでの緊迫した移動となりました。

そしてインドでは、行く先々で質問攻めに遭います。

「どこから来た?」
「何CCだ?」
「最高速度は?」

最後には「そのバイクを売ってくれ!」と言い出す人まで現れました。

世界中の人たちが興味を持ってくれたことも、この旅の大きな財産でした。

足かけ5年に及ぶ電動バイク世界一周は、いよいよゴールへ向かっていきます。

そして、その先には新たな旅のステージが待っていました。

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