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【60代エンタメ】スーパー歌舞伎『もののけ姫』でアシタカを演じる市川團子が感じる作品との縁とは?〈好奇心の扉・後編〉

  • 2026.7.7

【スタジオジブリの名作が舞台に甦る!】
スーパー歌舞伎『 もののけ姫』
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スピード感とスペクタクル、そして力強い物語性によって、演劇の新しい地平を切り開いてきたスーパー歌舞伎。
この夏、『もののけ姫』がその新作として東京・新橋演舞場で上演されます。
「タタリ神」により呪いを受けた少年アシタカを演じるのは市川團子さん。
人間と自然の相剋を壮大なスケールで描き、世代を超えて多くの人々の心に刻まれた原作にどう挑むのか。
「俳優として、一層の覚悟を決めるタイミングとなる作品に出合えた」團子さんが語る言葉には、新作にかける思いが逬ります。

アシタカは言葉ではなく姿勢で己を語る人

原作では、アシタカがタタリ神と戦い、呪いを受けて村を離れることになるまでの冒頭の展開がとてもスピーディ。こうした場面が、どのように舞台化されるのかも気になるところです。

「歌舞伎においては、物語の運び方が原作とは変わってくることになるでしょう。原作を歌舞伎に落とし込むうえで、どうしても変化が出てくる部分もあると思いますが、そうした物語の波は、演出の横内さんが作ってくださいます」

團子さんは『もののけ姫』を、「正しさ」について問い直す物語だと捉えています。

「アシタカ、サン、エボシには、それぞれの正義があり、その思いを貫いたときに、大きくすれ違ってしまうことになる。物語をご覧になるお客様に歌舞伎の面白さを感じていただくのと同時に、『正しさとはなんだろう』と考えていただけるような舞台になったらと思っています」

物語のクライマックスでは、人間が作ったものも自然もすべてが破壊され、ひとつの時代が終わり、そこから新しい形で再生が始まります。

「僕が演じるアシタカは、バタフライエフェクトを起こす存在なのだと思います。アシタカは自分の求める道と、サンとエボを探そうとして全力であがきますが、運命は変えられなかった。でも、ひたむきに行動するアシタカの姿を見て感動する人がいて、その人のなかできっと変化が起きる。そこから何十年何百年の単位で見通したときに、アシタカの行動が未来において影響力を持ち、なにかを変えていくのではないか、そんな気がしています」

アシタカの生き方について、自分の軸を問い直される作品だとも團子さんは感じています。

「呪いを受けて村を追われ、孤独な人生が始まるわけですが、アシタカは一切腐らないんですよね。それどころか、自分にかけられた呪いの真実を確かめに旅に出る。運命を静かに受け入れて、その運命を見定めるために一所懸命に生きる。アシタカは姿勢で語る人なのだと思います。

私の憧れである祖父は『上手いか、きれいか、一所懸命か、役者はこの3つのうちのどれかがないと見ていられない。僕はとにかく一所懸命にやるんだ』と、よく言っていたそうです。僕はこの言葉を大切にしたい。僕はなにもできないので、とにかく一所懸命に挑みたいんです。アシタカのひたむきな姿勢に少しでも近づけるよう努めます」

舞台で演じるうえでとても大切な風景の記憶

「(サン役の)中村壱太郎さんは、後輩とも分け隔てなくディスカッションの場を設けてくださる。常に気にかけてくださる本当にやさしい先輩です」


作品にゆかりのある場所にはなるべく訪れるという團子さん。『もののけ姫』の舞台のモデルとなった屋久島にも――。

「屋久島の山中で1泊しました。初日に、屋久島のなかの『太鼓岩』という、高い高いところに登ったときに、ガイドの方が『こんなに遠くまで見通せることは滅多にない』と教えてくださるくらい天気に恵まれたんです。高祖父が祖父に『本物の景色を見て感動した心があれば、舞台上で同じ目、同じ気持ちになれるから、いいものを見てたくさん感動しなさい』と教えたそうですが、僕も風景の記憶というのは、演じるうえでとても大事だとあらためて実感させられました」

『もののけ姫』には、縁を感じることが多いとも言います。

「祖父が亡くなったことを知らされた日に、偶然『アシタカせっ記』(※1)を聴いて、悲しみのなかで希望をもらったこともそのひとつです。そしてアシタカという役は、自分が演じさせていただいた『ヤマトタケル』のヤマトタケルや、『天守物語』(※2)の姫川図書之助と、多少の違いはありますが、精神が似ている部分があると思っています。その経験はアシタカに生かしたいです。『もののけ姫』が初めて歌舞伎になるときに自分がアシタカというお役を勤めさせていただけることに、ありがたいお導きを感じております」

※1 『もののけ姫』のなかの重要なテーマ曲。
※2 白鷺城(姫路城)の最上階に異形の者たちが棲むという伝説に由来した、泉鏡花屈指の名作戯曲。美しい異界の人、天守夫人・富姫と、この世の人間である鷹匠の姫川図書之助との恋物語である。2024年12月歌舞伎座において、富姫=坂東玉三郎さん、姫川図書之助=市川團子さんという配役で上演された。  

スーパー歌舞伎『もののけ姫』

スーパー歌舞伎らしく清新なイメージの、市川團子さん演じるアシタカ。©松竹

1986年、歌舞伎の伝統に現代的なスペクタクルを融合させ、日本の演劇界に新たなジャンルを確立したスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』。その初演から40周年を迎える2026年、スーパー歌舞伎に待望の新作が誕生する。
原作となる『もののけ姫』はスタジオジブリの宮﨑駿監督が原作・脚本・監督を手がけ、アニメーション作品として初めて日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞するなど、国内外から絶大な評価を受けた名作。
アシタカとサン、タタラ場に生きる人々と森に棲む神々――それぞれの運命が絡み合い、人間と自然の壮絶な衝突と共生への願いを描き出す物語が、舞台作品として新たな歴史を刻む。

あらすじ

アシタカは、村を襲ったタタリ神に応戦し、右腕に死に至る「呪いの痣」を受ける。掟により村を去ることになるが、ヒイさまに「タタリ神がやってきた西の国に赴き、曇りなき眼で物事を見据えるなら、呪いを断つ道が見つかるかもしれない」と告げられ、相棒のヤックルとともに旅立つ。

偶然に知り合ったジコ坊から聞かされた、西の奥深くにあるシシ神の森を目指す道中、谷底で山犬に育てられた少女・サン(もののけ姫)と出会う。そこで甲六を助けたアシタカは、女たちや難病を抱えた患者たちが鉄や石火矢を作るタタラ場にたどり着き、その場の指揮を執るエボシ御前の存在を知るのだった―。

スーパー歌舞伎『 もののけ姫』

原作/宮﨑 駿、オリジナル音楽/久石 譲、脚本/丹羽圭子・戸部和久、演出/横内謙介、協力/スタジオジブリ、製作/松竹

【出演】
アシタカ/シシ神:市川團子、サン:中村壱太郎、エボシ御前:中村時蔵、ジコ坊:市川猿弥、モロの君:市川笑三郎、甲六:市川青虎 、猩々:市川寿猿 、ヒイさま/トキ:市川笑也 、ゴンザ:市川門之助 、乙事主:市川中車

◎上演期間:2026年7月3日(金)~8月23日(日)
◎場所:新橋演舞場(東京都中央区銀座6-18-2)
◎チケット発売/7月公演 発売中・8月公演 2026年6月25日(木)10:00 〜
◎チケット料金:1 等席 17,000円、2等A 席 10,000 円、2等B 席 6,500円、3階A 席 6,500 円、3階B 席 3,000 円、桟敷席 18,000円 ※満4歳以上は1人につき1枚チケットが必要
◎購入方法はスーパー歌舞伎『もののけ姫』公式サイトにてご確認ください。

公演詳細はこちらの二次元コードから公式サイトでご確認ください。

お話を聞いた方

市川團子(いちかわ だんこ)さん

2004年1月16日生まれ。父は市川中車、祖父は二世市川猿翁。屋号は澤屋。2012年6 月・7 月新橋演舞場『ヤマトタケル』のワカタケルで五代目市川團子を名乗リ初舞台。2024 年は新橋演舞場· 御園座· 大阪松竹座・博多座と4 劇場でスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』に出演。『新·三国志 関羽篇』『義経千本桜』など澤屋ならではの演目で活躍。2024年第41回浅草芸能大賞 新人賞。2025 年10 月には『義経千本桜』「鳥居前」「吉野山・川連法眼館」にて、佐藤忠信実は源九郎狐を演じ、喝采を浴びた。

スタイリング/中西ナオ ヘア&メイク/森 智聖 撮影/川村恵理 構成・文/杉村道子

※素敵なあの人2026年8月号「スタジオジブリの名作が舞台に甦る!スーパー歌舞伎『 もののけ姫』に挑む 市川團子さんの「一所懸命」【好奇心の扉】」より
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売を終了している場合があります。
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この記事を書いた人 素敵なあの人編集部

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