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故郷・秋田にも還元していきたい 琉球アスティーダ代表・早川周作氏に聞く(後編)

  • 2026.5.1

沖縄県にあるプロ卓球クラブ「琉球アスティーダ」の運営会社代表をつとめる早川周作氏は、サロン事業を軸に据えたこれまでにないビジネスモデルを構築している。経営者としても注目を集める同氏だが、同時に抱くのが、中学までを過ごした故郷・秋田県に対する想いだ。

「秋田を盛り上げたい」熱烈オファーを受けての衆院選出馬

今回のインタビューは2026年2月末に実施したものだが、実は一度延期をしている。
多忙な早川氏相手というのもあるが、大きな要因となったのは1月23日に実施された「第51回衆議院議員総選挙」。実は早川氏は、故郷の秋田1区から中道改革連合の推薦のもと、立候補者として出馬した。

画像: 「秋田を盛り上げたい」熱烈オファーを受けての衆院選出馬

「まず僕は25歳で羽田孜さんの秘書になりました。そこから 28歳で衆議院選挙にチャレンジ(出馬)して、すっからかんになった経験があります」

羽田孜氏というのは、1994年4月~6月という短期間ながら総理大臣をつとめた政治家。元々は自民党に所属し、1993年に小沢一郎氏らとともに離党し新生党を立ち上げ。その後民主党立ち上げにも関わり、2009年の政権交代時にも議員として所属した。

「国会議員でSPを引き連れて歩いてたところを、『これだ!』と思い左(側)に抱きついて、『お願いします!』と懇願したことが僕の政治の始まりですね。
で、秘書時代に一度秋田一区から出馬しないかって話があったんです。今から23年前(2003年)です。ただ色々あってそれが叶わず、鳥取から出馬することになりました。
僕みたいな縁もゆかりもない人間は、『知事の息子』『大臣の息子』とやり合って勝っていけなかったら、バッジをつけれないなという考えがありました。
そして対立候補が石破先生(石破茂氏)※で、まさにそれだったんです。相手に申し分はないと、乗り込みました」
※石破茂氏の父である石破二朗氏は、鳥取県知事や鈴木善幸内閣で自治大臣をつとめた

過去の流れもあって出馬した早川氏だが結果は落選。後付けにはなるが、仮にもし「推薦」が別なら、現在の“勤務先”が異なっていた可能性も大いにありえた。

「明確なバランスの中で、政権交代実現の社会を作っていくことが僕は理想と考えています。
アメリカやイギリスといった先進国って、みんな二大政党じゃないですか。
例えばAとBの政党があったとして、A間違ってればBに、Bが間違ってればAに変わる。適正な野党与党が必要ですね」

同時に抱くのが故郷への想い、それに対する周囲の期待も大きい。
実は早川氏、2025年に実施された「秋田県知事選挙」に際しても、立候補を検討している。この時は最終的に見送ったが、改めて機会を得たときに出馬という選択をした。

「やっぱり秋田の人間ですから。秋田人として盛り上げたいという考えがあり、熱烈なオファーでしたから、思いを実行に移しました。
いまの秋田は、『少子高齢化ナンバーワン』『消滅都市ナンバーワン』という環境下にあります。一方で、『スポーツ立県』って名乗ってもいます。
今後の目標として、資金調達を行っていくつかスポーツチームの買収を検討していますが、それを軌道に乗せて、琉球アスティーダ以外でも仕組みづくりが成功したら、秋田にも持っていきたいです。実際来年6月に、秋田でサロンイベントを開催します。スポーツを通じて秋田を元気にしたいんです」

「琉球アスティーダ」が長く応援され続ける存在に

“第二の故郷”ともいえる沖縄のさらなる盛り上がりも忘れていない。一環として、ホームページトップにも掲載されている「トークン」を活用するという。

「スポーツの応援の形を、短期消費から長期のものに変えていきたい考えからきています。
例えばお孫さんとじいじがね、試合を見に来て、『琉球アスティーダすごいさ!』って言っていただくとします。
スポーツって、単にチケットを買ってからのファンクラブ会員として2・ 3人いるんじゃなくて、そのチームが育っていくことによって、クラブを代々応援してくれた方々にも価値を提供していきたい。短期消費の概念から、長期産生のものに僕は変えていきたいっていうのがあって、それがトークンであり、株式になりますね。
『経済合理性』を求めて買うものがトークンだと今の時代言われていて、多くの方が参入されていますが、純粋にスポーツを応援するといった非経済合理性もおられる。そこを資本として見ています。イメージとして一生スポーツをやる方をサステイナブルにする。長期で応援していただける環境を作り、そこに対してリターンを出していきます」

画像: 「琉球アスティーダ」が長く応援され続ける存在に

沖縄独特な地理条件にも、率直な印象を抱いている。

「沖縄の強みっていうのは…大きく良かった!っていうのはそこまでないかもしれません。もしコロナがなかったら、インバウンドですごく活性したと思うんですが、そこで一度、人の流れが落ち着いたのもありますね。
やっぱりホーム戦から何から呼ぶのもあれですし、人口が150万ほどしかいないわけですよね。『応援される沖縄のチーム』ってことで当然施策をしていますし、それで熱狂的なファンがつきやすいですが、大きなメリットというのはそこまで感じてこなかったです」

アスティーダのビジネスモデルを他競技に

今後アスティーダはどのような展開を見せていくのだろうか。

「6月に野沢温泉(長野県)でアスティーダサロンイベントを実施します。
昨年はエスコンフィールド(北海道)でやりましたが、やっぱりその陸路で来れるのは大きい。 もちろん沖縄も12月に開催します。

画像: アスティーダのビジネスモデルを他競技に

今後はスポンサーさんを全国で3000社ぐらい増やし、次の方法に鞍替えできたら資金調達ができて、 B(リーグ)とかJ(リーグ)のチームを買う。で、そこでアスティーダサロンと同じような仕組みをそれぞれの地域で作って、我々の成功モデルを展開していこうと考えています」

仮に買収が実現したとして、そのチームに「アスティーダ」の冠をつけることにはこだわってないという。

「郷に入っては郷に従えですので。
アスティーダという名前のIPを高めるというよりも、我々が『ホールディングスカンパニー』として、総合的に価値を高めていく手段として、チームを買って、そのチームの地域内で経営者たちがスポーツを応援できて、学べて、ビジネスにつながる。そういったものを横展開していきたいです。

僕は弱いチームをあえて変えたいんですよね。強いチーム、出来上がってるチームを買ったとしても、つまんないじゃないですか?」

方法はいくつか考えているという早川氏。株式の過半数を取得してだけではなく、まず一定比率を取得して、小口から参画するのも選択肢。それも琉球アスティーダというビジネスモデルが、著名な経営者から非公式に“打診”を受けるなど、注目を集めているのもある。最終的に早川周作個人ではなく、いち経営者として、経済合理性を鑑みたうえで判断するとのことだ。

スポーツには普遍的な価値がある

スポーツを通じて社会構造を解決し、さらに社会的な意味を付与することに取り組んでいる早川氏。スポーツはどういった存在なのだろうか。

「中世の時代から気持ちが動かされるもの。普遍の価値があるものですね。芸術と同じです。今後いくらAIが進化しても、そこは変わらないと思っています。まだまだ価値が見出されていないので、再定義していきたいです。
僕は世の中を変えたい、社会構造を変えていきたいっていう特殊な想いを持ってるんで、今スポーツで取り組みをしています」

様々な角度から語っていただいた早川氏だが、根底にあるのが卓球が持つポテンシャルに対する期待だ。
インタビューでもあった日本人の骨格にもマッチした有望競技もあるが、トッププロの繰り出す技巧から“ホンモノ”を感じてほしいという想いも同時にある。
実際に、アフターパーティーでも、サロンが実施する様々なサークル活動のひとつに、会員同士で試合を見に行く活動も盛り込まれている。

画像1: スポーツには普遍的な価値がある

スポーツビジネスにおいて、まず「観戦」が主語が置かれているが、アスティーダでは時にそれを接続詞や助詞といった活用をしている。
しかし不可欠な存在であることは同じだ。敢えてきっかけや触媒に位置づけることで、競技が持つ魅力を伝播させる。

画像2: スポーツには普遍的な価値がある

明日(アス)と太陽(ティーダ:沖縄の方言)が合わさった造語であるアスティーダ。沖縄からもたらした光は、日本スポーツの未来を切り開く道となる可能性を秘めている。

取材・執筆:向山純平

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