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父は世界的アクションスター、それでも姓は“役名”から。イケメン俳優が新人賞、最強の敵を経て世界のゾロへ

  • 2026.8.1
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2017年10月、サマンサタバサのCM発表会に出席した新田真剣佑(C)SANKEI

二世俳優にとって、親の名前は強力な追い風であると同時に、簡単には消せない看板でもある。新田真剣佑の父は、国内外で活躍したアクションスター・千葉真一だ。父の名を前面に出せば、その出自はすぐに伝わる。しかし彼が自らの姓として選んだのは、「千葉」ではなかった。

「新田」。それは、芝居を志すきっかけになった役に由来する名前だった。有名な父の名ではなく、自分が演じた人物から新しい名前をつくる。その改名には、二世であることを消すのではなく、俳優としての出発点を自分で決めようとする意志が表れていた。

「綿谷新」が俳優として進む道を決めた

新田真剣佑は1996年、アメリカ・ロサンゼルス生まれ。千葉真一の息子として知られ、日本での活動を本格化させた当初は、姓を付けず「真剣佑」の名で出演していた。転機となったのが、2016年公開の映画『ちはやふる』シリーズだ。

演じた綿谷新は、競技かるたに情熱を注ぐ寡黙な青年。華やかなアクションや強い感情を前面に出す役ではなく、静かな視線やたたずまいで主人公たちに影響を与える人物だった。新田は役作りのため福井に滞在し、方言や競技かるたを学んだという。

父譲りの身体能力を披露するのではなく、言葉や間、抑えた感情で人物をつくることが求められた。この役で第40回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。本人にとって『ちはやふる』は、注目作への出演にとどまらず、日本で芝居を続ける決意を固めた作品になった。

2017年に所属先を移した際、芸名を「真剣佑」から「新田真剣佑」へ変更。「新田」は、綿谷新にちなんで付けたもので、原作者の末次由紀氏にも了承を得たと明かしている。役名をそのまま名乗ったわけではない。それでも、「新」という俳優人生の原点を、これから背負う姓へと変えたのである。

二世の看板ではなく、役がくれた名前で立つ

改名には、「千葉真一の息子」と呼ばれ続ける二世俳優ならではの状況も重なって見える。もちろん、父の影響を否定することはできない。アクションへ対応できる身体性や、アメリカで育った経験は、その後の仕事でも大きな強みとなった。

しかし、新田真剣佑という名前が示したのは、受け継いだものだけで俳優人生を説明させない姿勢だったのではないだろうか。

父の有名な芸名を借りるのではなく、自分が初めて俳優という仕事に強く引かれた作品を名乗る。二世であることから逃げるのではなく、何を自分の出発点にするのかを選び直したのだ。そして改名後、その名前は父とは異なる役柄によって広がっていく。

“静かな新”から、最終章の最大の敵へ

2021年公開の映画『るろうに剣心 最終章 The Final』で、新田が演じたのは雪代縁だった。佐藤健演じる緋村剣心から大切なものを奪おうとする、シリーズ最終章の最大の敵。『ちはやふる』の綿谷新が感情を内側に抱える人物だったのに対し、縁は怒りと復讐心を爆発させる。

剣と蹴りを組み合わせた激しい戦闘では、新田の身体能力が存分に生かされた。ただ動きが速いだけではない。長年抱えてきた憎しみを一撃ごとに乗せ、人気シリーズの最後に立ちはだかる存在としての重さをつくった。ここで披露したアクションには、千葉真一の息子という背景を思い出させるものもある。

だが、新田が立っていたのは、父の代役として用意された場所ではない。日本を代表する実写映画シリーズで、自ら敵役をつかみ取った場所だった。役からもらった姓で歩き始めた俳優が、今度は圧倒的な敵役によって、その名前を強く刻んだのである。

世界では「Mackenyu」として剣を握った

その先に待っていたのが、Netflixシリーズ『ONE PIECE』だった。新田が演じるのは、世界的な知名度を持つ剣士ロロノア・ゾロ。日本生まれの漫画を国際的なスタッフとキャストで実写化する作品において、麦わらの一味を構成する主要人物の一人を任された。

英語で芝居をし、三本の刀を操り、原作ファンが抱くゾロ像にも応えなければならない。アメリカで育った語学力、日本で磨いた演技、父から受け継いだアクションの素地。そのすべてが必要になる役だった。2023年に配信されたシーズン1は世界へ広がり、新田も「Mackenyu」の名で国境を越えて知られるようになった。2026年3月配信のシーズン2でも、ゾロとして物語の中心に立っている。

日本では、綿谷新にちなむ「新田真剣佑」。世界では、「Mackenyu」。

父の名前によって世界へ紹介された二世俳優ではない。自ら選んだ名前と、演じてきた役を携えて、世界配信作品の主要キャストまで進んだ俳優だ。『ちはやふる』で俳優としての道を定め、新人賞を受賞し、『るろうに剣心』では最終章の強敵となり、『ONE PIECE』では世界の視聴者が知る剣士になった。

新田真剣佑は、二世であることを捨てたわけではない。受け継いだ身体性や環境を生かしながら、自分の俳優人生を象徴する名前だけは、自分で選んだ。「新田」という姓は、父の存在より大きく見せるための看板ではない。

一つの役に動かされた青年が、その感動を忘れず、次の役へ進み続けるために掲げた名前なのである。


※記事は執筆時点の情報です

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