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「おうちに公園ができた!」と大喜びだった子どもたち…40代夫婦の“SNSで憧れたベランダDIY”が招いた悲劇

  • 2026.8.2
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

最近SNSでは「ベランダに人工芝を敷くだけで、おしゃれなアウトドア空間になる」といったDIYが話題になっています。小さなお子さんの遊び場や、くつろぎスペースとして取り入れているご家庭も多いのではないでしょうか。

一方で、見た目を優先した施工が思わぬトラブルを招くケースもあります。

今日は、ベランダ一面に人工芝を敷いた結果、豪雨の日に下階住戸への漏水が発生し“損害賠償問題”にまで発展しかけたマンションでの出来事をご紹介します。

SNSで憧れた「ベランダ人工芝DIY」

これは、友人である40代のご夫婦、Aさん一家のお話です。

ある日、AさんはSNSで「ベランダに人工芝を敷くだけで、おしゃれなアウトドア空間になる」という投稿を目にしました。緑の人工芝が敷かれたベランダにはテーブルやチェアが置かれ、子どもが裸足で遊ぶ様子が紹介されており、自宅でも同じような空間をつくりたいと考えるようになったそうです。

休日になるとホームセンターで人工芝を購入し、ベランダ一面に敷き詰めるDIYを始めました。室外機の周囲も形に合わせて丁寧にカットし、できるだけ隙間ができないよう施工。

無機質だったコンクリートのベランダは、一面が鮮やかな緑に彩られた開放感のある空間へと生まれ変わりました。完成したベランダを見ると、お子さんは大喜び。

「おうちに公園ができた!」

休日には裸足で走り回ったり、小さなテントを広げて遊んだりと、家族で過ごす時間も増えていったそうです。

「こんなに雰囲気が変わるなら、もっと早くやればよかったね」

Aさんご夫婦は、満足そうに話していました。ただ、そのとき意識していたのは、あくまで見た目の美しさでした。

人工芝の下にある排水口(ベランダの雨水を流す設備)の位置や、落ち葉や砂ぼこりを掃除しやすい施工になっているかまでは、ほとんど気にしていなかったそうです。

豪雨の日、ベランダに広がっていた異変

人工芝を敷いてから数ヶ月が過ぎた頃のことです。台風の影響で、朝から激しい雨が降り続いていました。

夕方、雨が少し弱まったタイミングでAさんが何気なくベランダへ出ると、床一面に雨水がたまり、まるで浅いプールのような状態になっていました。

「こんなに雨が降れば、仕方ないのかな…」

そのときは特に気に留めることなく室内へ戻ったそうです。すると間もなく、玄関のインターホンが鳴りました。ドアを開けると、立っていたのは下の階に住むご夫婦でした。

「実は、天井から水が漏れてきているんです。一度ベランダを確認していただけませんか」

慌てて人工芝をめくると、排水口には落ち葉や砂ぼこりに加え、人工芝から出た細かな繊維が絡みつき、雨水がほとんど流れない状態になっていました。

その後、管理会社が現地を確認した結果、排水しきれなかった雨水がベランダにあふれ、建物内部へ回り込んで階下住戸へ漏水した可能性が高いと説明を受けました。

Aさんは、自分たちがおしゃれのために敷いた人工芝が原因だったことを知り、その場で言葉を失ったそうです。

下階住戸へ漏水。まさか損害賠償問題…?

後日、被害状況を確認すると、下階住戸では天井や壁紙に漏水被害が確認されたほか、室内に置かれていた家具や家電、洋服にも水が及んでいました。

その後は、管理会社や管理組合、双方の火災保険会社による現地調査が行われ、漏水の原因や補償内容について確認が進められました。

マンションでは、専用使用権のある共用部分の使用方法が原因で階下へ被害を与えた場合、状況によっては損害賠償責任を負う可能性があります。今回も、Aさんが加入していた火災保険の個人賠償責任補償(他人に損害を与えた際の補償)が利用できるかどうかを含め、保険会社を交えた協議が続きました。

「もしかして損害賠償を請求される…?」

Aさんは不安でしたが、幸い加入していた火災保険の個人賠償責任補償の対象となり、修繕費や家財の損害について補償が進められました。しかし、保険で解決すれば終わりという話ではありません。また、保険の契約内容や、被害の状況によっては、補償の対象外となるケースもあります。

「おしゃれなベランダにしたかっただけなのに、下の階の方の生活にまで迷惑を掛けてしまいました」

Aさんは、保険会社とのやり取りや現地調査への立ち会い、下階住戸への謝罪などが続き、精神的に大きな負担だったと振り返っていました。事故のあと、Aさんはベランダに敷いていた人工芝をすべて撤去しました。

人工芝はしっかり管理する

マンションのバルコニーは、雨水が排水口から適切に流れるよう設計されています。そのため、排水口が落ち葉や砂ぼこり、人工芝の繊維などで詰まると、大雨の際に排水しきれず、漏水事故につながるおそれがあります。

また、マンションによっては、管理規約(マンションでの生活ルール)でバルコニーへの施工や設置物について一定の制限が設けられている場合もあります。

人工芝などのDIYを取り入れる際は、次の点を確認しておくことが大切です。

  • 排水口を塞がない施工になっているか
  • 定期的に人工芝をめくって清掃できるか
  • 管理規約に抵触しないか

少しの油断が、下階への漏水や損害賠償問題につながることもあります。マンションでは、“おしゃれさ”だけでなく、建物全体への影響まで考えながらDIYを楽しむようにしましょう。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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