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「まだ控除で儲かるんでしょう?」4000万を変動で借りた30代、金利が0.7%を超えた日の誤算

  • 2026.8.2
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大手不動産会社に入社以来、10年以上の現場経験があり、宅地建物取引士の資格を持つライターのT.Sです。住宅ローン控除は、年末のローン残高に応じて税金が戻ってくる制度です。

少し前までは、支払う利息より戻る税金のほうが大きい「儲かる」借り方が広く成り立っていました。そこで今回は、金利上昇でその損益が反転したBさんの事例を紹介します。

金利0.4%台と控除率0.7%、利息より大きい控除

Bさん(30代後半・会社員)は2022年、新築マンションの購入で4,000万円を借り入れました。金利は一定周期で見直される変動金利で、当時は0.4%台です。

2022年入居分からの制度では、年末のローン残高の0.7%が所得税などから控除されます。金利0.4%台に対して控除率は0.7%ですから、年間で見ると支払利息より控除額のほうが大きい状態でした。

「ローン控除は儲かるから繰上返済はもったいない」という声は、SNSでも職場でも耳にします。Bさんも頭金を抑えて借入額を大きくする選び方をしており、当時の金利水準では筋の通った判断でした。

「儲かる」は俗説ではなく、制度改正の理由だった

住宅ローン控除で儲かるという構図は、俗説ではありません。控除率が1%だった時代、会計検査院の調べでは適用者の78.1%が金利1%未満で借りており、毎年の控除額が支払利息を上回っていると国への報告で指摘されました。

この指摘が、2022年入居分からの控除率0.7%への引き下げにつながっています。状況を変えたのが、その後の金利上昇です。Bさんの適用金利は見直しのたびに上がり、ついに0.7%を超えました。ある日の昼休み、同僚に聞かれます。

「まだ控除で儲かるんでしょう?」

「いや、うちはもう金利のほうが高いよ」

そう答えたBさんの家計は、控除より利息が大きい側に反転していました。

損益分岐は「借入金利0.7%」

Bさんは控除の残り期間と金利を見比べ、手元資金の一部を繰上返済に回す方針へ切り替えました。一方で、固定金利で借りた人や金利が0.7%を下回ったままの人には、いまも控除の恩恵が大きい構図が残ります。

控除額は、年末残高×0.7%が満額戻るとは限りません。所得税額などの上限があるため、源泉徴収票と控除証明書で実額を確かめてみてください。そのうえで金利の見直し通知が届いたら、適用金利と控除率0.7%を並べて確認しましょう。

損益が反転していれば、それは繰上返済や借り換えを試算する目安になります。

参考:
No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)(国税庁)
租税特別措置(住宅ローン控除特例及び譲渡特例)の適用状況、検証状況等について(会計検査院 平成30年度決算検査報告)



ライター:T.S(宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランニング技能士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


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