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夜になると寝室に響く「ゴーッ」…数百万円安い中古マンションを買った30代夫妻が住み替えを決断するまで

  • 2026.8.1
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

マンション探しでは、隣の住戸や上階・下階から聞こえる生活音を気にする方は多いのではないでしょうか。

しかし、注意したい音はそれだけではありません。住戸の位置によっては、エレベーターや機械室などの共用設備から発生する機械音や振動音が室内まで伝わることがあります。昼間の内見では気付きにくく、住み始めてから初めて分かるケースも少なくありません。

今日は、室内の状態も良く、周辺相場より価格が抑えられていた中古マンションを購入した30代ご夫婦のお話です。購入当初は「良い買い物ができた」と喜んでいたものの、毎晩聞こえてくる“ある音”によって生活は一変しました。

相場より安く、室内も新築のようにきれいなマンション

数年前、30代のAさん夫妻が中古マンションの売却相談に来られました。

築年数のわりに室内は非常にきれいで、床やクロスに目立つ傷はほとんどありません。キッチンや浴室などの水回りもリフォーム済みで、丁寧に暮らされてきたことが一目で伝わる状態でした。

「これだけ状態が良ければ、売却もしやすそうですね」

査定のため室内を確認しながらお話しすると、Aさんは少し困ったような表情で切り出しました。

「実は、この家には購入してから初めて気付いたことがあるんです」

話を聞くと、このマンションは購入当時も周辺相場より数百万円ほど安く販売されており、Aさん夫妻は「条件の良い物件を見つけられた」と喜んで契約したそうです。

しかし、その“安さ”には、内見では気付きにくい理由が隠されていました。

毎晩寝室に響く「ゴーッ」という低い音

査定を進める中で、Aさんは売却を決意した理由を話してくださいました。

「住み始めて数週間した頃、夜になると寝室の壁の向こうから『ゴーッ』という低い音が聞こえるようになったんです」

最初はエアコンや24時間換気システム(室内の空気を常に入れ替える設備)の音だと思い、電源を切ったり設定を変えたりしたそうです。しかし、音は変わりませんでした。

昼間は車の走行音や周囲の生活音に紛れてほとんど気にならないものの、夜になって周囲が静かになると、寝室には低い機械音だけが響きます。

「ベッドに入ると、その音ばかり気になってしまって…」

眠ろうとするほど音が耳につき、ご夫婦は何度も寝返りを打つ日が続いたそうです。睡眠不足は仕事や日常生活にも影響。

「家に帰っても、またあの音を聞くのかと思うと気が重くなりました」

Aさんは当時を振り返っていました。

何度点検しても原因が分からなかった

気になったAさんはすぐに管理会社へ相談し、設備の点検を依頼したそうです。後日、管理会社や設備会社の担当者が共用設備を確認しましたが、設備に異常は見当たりませんでした。

機械音が聞こえるのは夜間だけで、点検は日中に行われることがほとんどです。そのため、担当者が訪れた時間帯には音が確認できず、原因の特定は難航しました。何度か相談を重ねる中では、

「生活音ではありませんか?」「気のせいかもしれませんね」

と言われることもあったそうです。それでも、夜になると寝室には毎日のように同じ低い音が響きます。

音の正体が分からないまま数ヶ月が過ぎました。ご夫婦は十分な睡眠を取れない日が続き、この頃から「この家に住み続けるのは難しいかもしれない」と考えるようになったそうです。

原因はエレベーター機械室との位置関係だった

入居からしばらく経ち、エレベーター保守会社による定期点検が行われたときに原因が分かりました。点検担当者が住戸の位置を確認すると、図面を見ながらこう説明しました。

「このお部屋は、エレベーター機械室に最も近い位置なんです。夜は周囲が静かになるため、機械音や振動が壁や床を伝って聞こえやすくなることがあります」

その言葉を聞いたAさん夫妻は顔を見合わせ、ようやく原因を理解したそうです。

「だから昼間は気にならなくて、夜だけ聞こえていたんですね…」

建物やエレベーターに故障があったわけではなく、住戸と共用設備の位置関係によって機械音が伝わりやすい部屋だったのです。

その後は防音シートを設置したり、家具の配置を変えたりとできる限りの対策を試しましたが、音が完全になくなることはありませんでした。

静かな夜ほど気になる機械音に悩まされる生活が続き、ご夫婦は最終的に住み替えを決断。そうして私のもとへ売却の相談に来られたのでした。

価格だけでなく共用設備との位置関係も確認したい

中古マンションでは、周辺相場より価格が安く設定されている理由が必ずしも「築年数」や「室内の状態」だけとは限りません。

今回のように、エレベーター機械室や受水槽、加圧給水ポンプ室などの共用設備に近い住戸では、設備の稼働音や低い振動音が室内まで伝わりやすい場合があります。昼間の内見では周囲の生活音に紛れて気付かなくても、夜になって静かになると初めて気になるケースも少なくありません。

中古マンションを購入する際は、室内の設備や価格だけで判断するのではなく、住戸がエレベーターや機械室などの共用設備とどのような位置関係にあるのかを不動産会社へ確認しておくことが大切です。

また、可能であれば夜間にも現地を訪れ、周囲の環境や室内で聞こえる音まで確認しておくと安心です。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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