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「絶対におやめください」鉄道各社が警察通報に踏み切る、乗客の“カスハラ行為”…その代償は?

  • 2026.7.30
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役鉄道会社社員の福本明文です。

スマートフォンの普及により、誰もが高性能なカメラを常に持ち歩く時代になりました。これに伴い、駅や電車の車内で急増し、対策が急務となっているのが無断撮影や関連するトラブルです。少し間違えば警察沙汰にもなりかねない、駅構内でのカメラを巡る深刻な事情についてご紹介します。

駅員への無断撮影は許されない「カスハラ」

現在、鉄道業界全体で深刻な問題となっているのが、駅員や乗務員に対してスマートフォンのカメラを向け、無断で撮影を行う行為です。これはカスタマーハラスメント(カスハラ)の代表的な例として厳しく問題視されています。

鉄道の現場に限りませんが、案内や対応を巡ってトラブルになった際、「態度が悪い、SNSにアップしてやる」「ネットで晒してやる」と脅し文句のようにカメラを突きつけ、動画を回すケースは決して珍しくありません。こうした行為は、対応する従業員に強い精神的苦痛を与えるものであり、本来の業務の妨げになります。

かつては「相手はお客様だから」と現場の駅員が強い指摘を躊躇してしまうこともありましたが、現在は対応を変えています。鉄道各社はカスハラに対する基本方針を次々と策定し、従業員を守るための厳正な措置を講じています。無断撮影に対しては撮影をやめるよう毅然とした態度で警告し、従わない悪質なケースや業務妨害にあたる場合は、直ちに警察へ通報するなど、厳正に対処する姿勢を示す企業が増えています。

さらに、身を守るための証拠保全や犯罪抑止を目的として、駅員や警備員にウェアラブルカメラを装着させる鉄道会社も増えてきました。駅員に対する悪意のある無断撮影は、決して黙認されるものではないという強い姿勢が示されています。

乗客同士の「晒し」が引き起こす代償

カメラに関する問題は、対駅員だけではありません。乗客同士の間でも、無断撮影によるトラブルが発生しています。

例えば、電車内でマナーの悪い乗客やトラブルを見かけた際、直接注意したり駅員に知らせたりするのではなく、その様子をスマートフォンでこっそり撮影し、SNSに「晒し目的」で投稿しようとする行為です。正義感や、ちょっとしたネットのネタ探しのつもりなど、軽い気持ちでの撮影の場合も少なくないようです。

しかし、これが相手に気づかれた場合、「今撮っただろう」「スマホを見せろ」「画像を消せ」という激しい口論やもみ合いに発展しかねません。車内でこうした喧嘩が起こり、電車が止まるような事態になれば、大勢の乗客に迷惑がかかります。実際に、筆者もこうした口論を見かけて止めに入ったことがあります。

さらに、他人の顔がはっきりとわかる状態でSNSなどに無断で公開する行為は、たとえ相手のマナーが悪かったとしても、撮影者自身が不法行為に問われる可能性があり、多大な法的リスクを伴います。

「自分は正しい」という思い込みによる行動が、結果として警察を巻き込み、自分自身が法的なトラブルに陥るという代償を払うことになり得るのです。

鉄道会社のルールとプライバシー保護

こうしたカメラやスマートフォンを巡るトラブルに対し、鉄道会社も明確なルール化と啓発を進めています。

例えば阪急電鉄では、公式ウェブサイトの「鉄道施設内での撮影について」という案内の中で、他のお客さまや従業員のプライバシーを侵害するおそれのある撮影や、迷惑となる撮影を明確にお断りする旨を記載しています。駅構内や車内は、老若男女、さまざまな事情を抱えた大勢の人が行き交う公共の空間です。カメラを向ける行為そのものが、周囲に不要な警戒心や不快感を与えてしまう可能性があることを忘れてはなりません。

便利だからこそ考えたい使い方

スマートフォンのカメラはとても便利なツールですが、一歩使い方を間違えれば、他人のプライバシーを侵害し、さらにはカスハラなどの加害行為に発展して、自分自身をもトラブルに巻き込む刃となります。

駅や車内において、「ネットのネタになりそうだから」「少し腹が立ったから」といった軽い気持ちでスマートフォンを向け、無断撮影を行うことは絶対にやめてください。また、そうした意図がなくても、混雑した車内で不自然な角度でスマートフォンを操作していれば、あらぬ疑いを招き、トラブルの火種になることもあります。

誰もが安心して鉄道を利用し、そして鉄道員が安全な運行業務に専念できるよう、駅や車内でのスマートフォンの取り扱いには、一人ひとりが十分な配慮とマナーを心がけていただくよう強くお願いいたします。


参考:
駅社員へのウェアラブルカメラの導入について(JR東日本)
4月16日、小田急線全70駅で駅係員にウェアラブルカメラを導入(小田急電鉄)
鉄道施設内での撮影について(阪急電鉄)


ライター:福本明文
大学卒業後、鉄道会社に総合職として入社し、同業界に15年以上従事。鉄道部門だけでなく、タクシーやバス、小売りといった関連事業にも幅広く携わる。現在はWebライターとしても、広報を担当した経験を活かし、コラム記事の執筆からSNSへのコンテンツ提供まで多岐にわたって活動中。


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