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「旅行から帰ってきてから」と点検を先送りにした40代男性、夏の高速道路上で直面した“思わぬ事態”

  • 2026.7.29
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出典元:PIXTA(画像はイメージです)

元自動車整備技術アドバイザーの松尾です。

「警告灯が点いたけど、今は消えているから大丈夫だろう」

車のメーターに見慣れない警告灯が点灯すると、不安になる一方で、一度消えてしまえば「たまたまかな」と様子を見てしまう人もいるのではないでしょうか。しかし、警告灯が消えたからといって、車の異常まで解消したとは限りません。特に夏の帰省や旅行など、長距離を走る予定がある場合は注意が必要です。

今回は、私が以前、自動車整備関連の仕事をしていた頃に車の点検で対応した、40代男性のUさんのケースをご紹介します。

「たまに点くだけだから」と旅行を優先したUさん

Uさんは、私が自動車整備関連の職場に勤務していた際に、点検のため来店されたお客様です。40代の男性で、普段から仕事や買い物などで車を使用しており、夏休みに家族で遠方へ旅行する予定があるとのことでした。

ある日、Uさんから「最近、たまに警告灯が点くんですよ」と相談を受けました。

詳しく聞くと、エンジン警告灯やバッテリー警告灯が一瞬点灯するものの、すぐに消えてしまうとのこと。エンジンをかけ直すと、その後は普通に走れるため、Uさん自身はそれほど深刻には考えていなかったようです。

「警告灯が消えるなら、誤作動じゃないんですか?」

Uさんからそう聞かれましたが、私は、

「一度でも点灯したのであれば、原因を確認したほうがいいですよ」

と伝え、診断機を使った点検を提案しました。

その時点のお話を伺う限りでは、直ちに走行を中止しなければならないほどの症状が確認されたわけではありませんでした。しかし、警告灯が点灯した履歴が残っている可能性もあり、特にこれから長距離の旅行を予定しているのであれば、早めに原因を確認しておくことをおすすめしました。

ところが、Uさんには仕事の都合がありました。

「今日は時間がないので、旅行から帰ってきてから改めてお願いします」

そう言って、その日は詳しい診断を受けずに帰宅されたのです。私としても、旅行前に一度きちんと診断を受けるよう改めてお伝えしましたが、Uさんは「今は普通に走れているから大丈夫だと思います」とのことでした。

長距離走行と猛暑で異常が一気に悪化

その後、Uさんは家族との夏休み旅行へ出発しました。自宅から旅行先までは数百kmの距離。高速道路を使い、普段よりも長時間連続して車を走らせる予定でした。ところが、旅行先へ向かう途中、再び警告灯が点灯したそうです。

「また点いた。でも、しばらくしたら消えるだろう」

Uさんはそう考え、そのまま走行を続けました。

しかし、今回はこれまでと違いました。高速道路を長時間走行したことで車両内部の温度が上昇し、もともと抱えていたセンサー系統や充電系統の異常が進行。車両側が異常を検知し、エンジンの出力を抑える保護制御が作動したと考えられます。

次第にアクセルを踏んでも車が思うように加速しなくなり、最終的には走行を続けることが難しい状態に。

Uさんから私のところへ連絡があったのは、旅行先で車が動かなくなった後でした。

「すみません。結局、車が止まってしまいました」

話を聞くと、レッカーを手配して車を搬送することになったものの、旅行先の整備工場は休業日。さらに、ディーラーもすぐには対応できず、代車も簡単には見つからない状況だったそうです。

修理費だけでは済まない「旅先の故障」

結果的にUさんは、車をその場で修理できず、家族とともに公共交通機関を利用して帰宅することになりました。予定していた旅行日程は大きく変更。宿泊を延長したり、帰宅のための交通費が発生したりと、車の修理費以外にもさまざまな負担が生じました。

もちろん、警告灯が点灯した時点で、必ずしも重大な故障が起きているとは限りません。実際、Uさんの車も最初の点検時には、ただちに走行不能になるほどの状態ではありませんでした。しかし、「警告灯が消えた=故障が直った」とは限らないのも事実です。車両によっては、一時的な異常で警告灯が消えても、コンピューターに故障履歴が記録されている場合があります。センサーの不具合や発電系統の異常など、初期段階では症状が断続的でも、長距離走行や高温環境をきっかけに悪化する可能性もあります。

特に帰省や夏休みの旅行など、普段より長い距離を走る予定があるなら、「今は消えているから」と自己判断しないことが大切です。警告灯が点灯した経験がある場合は、出発前に整備工場などで故障診断機によるチェックを受けましょう。原因によっては短時間の点検で異常の有無を確認できることもあります。

また、旅行前にはロードサービスの連絡先をスマートフォンに登録しておくと安心です。自動車保険の任意保険にはロードサービスが付帯していることも多いため、レッカー搬送の距離だけでなく、故障時の宿泊費や帰宅費用などが現在も補償されるかも確認しておきたいところです。

旅先では、普段利用している整備工場にすぐ相談できるとは限りません。さらに、お盆や大型連休などは整備工場やディーラーが休業しているケースもあります。「警告灯が一度でも点いた」という小さなサインを見逃さず、旅行前に確認しておくこと。それだけで、見知らぬ土地で車が動かなくなり、家族旅行が思わぬトラブルに変わってしまうリスクを減らせるのではないでしょうか。


ライター:松尾佑人(二級ガソリン自動車整備士・二級ジーゼル自動車整備士資格保有)
新卒で自動車整備業界に入り、約8年間整備に従事したのち、現役メカニックに向けた故障診断アドバイザーや各種講習の講師として活動。年間約1,200件の技術相談に対応し、電気回路や配線図の読み解きを基盤とした電子制御システムの解説を得意としている。

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