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美人女優と結婚した「ヤンキー系ツンデレお兄」不良、スター、研修医…優しさを隠す役が似合うワケ

  • 2026.8.5
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2019年12月、映画『午前0時、キスしに来てよ』公開記念舞台挨拶に登壇した片寄涼太(C)SANKEI

映画では、血のつながらない兄と妹。現実では、その妹役を演じた相手が人生のパートナーになった。GENERATIONS from EXILE TRIBEのボーカル・片寄涼太が映画に初出演したのは、2017年公開の『兄に愛されすぎて困ってます』だった。主人公・橘せとかを演じたのは土屋太鳳。片寄は、せとかの兄・橘はるかを演じた。

口が悪く、態度もぶっきらぼう。それでも誰より妹を心配している「ヤンキー系ツンデレお兄」だ。

映画公開から約6年後の2023年1月1日、片寄と土屋は結婚を発表した。二人は、互いを誠実な相談相手であり、刺激的な表現者だと説明している。映画初出演で演じた“兄”が俳優としての代表的な役となり、その作品で出会った相手が実生活のパートナーになる。片寄の俳優人生を振り返るうえで、これほど印象的な始まりはない。

映画俳優としての入口は「怖そうで優しい兄」

片寄は映画より先に、2014年放送のカンテレ・フジテレビ系ドラマ『GTO』で俳優活動を始めている。演じた桐谷優は、バスケットボール部のエースとして期待されながら部活動を辞め、不良グループと行動する高校生だった。爽やかなボーカリストという本人の印象とは違う、反抗的で影のある役での俳優デビューだった。

そこから映画初出演作『兄に愛されすぎて困ってます』で演じたのが、橘はるかである。はるかは、せとかに近づく男性たちを追い払い、恋愛を邪魔してしまうほど妹を大切にしている。

言葉だけを聞けば乱暴で、態度も素直ではない。ところが行動を追うと、すべてがせとかを守ろうとする気持ちにつながっている。片寄の整った顔立ちとクールな表情は、近寄りがたい雰囲気を作る。一方で、相手を見つめる目や、気持ちを言葉にできない間には、不器用な優しさがにじむ。この外見と内面の差が、片寄の俳優としての武器になっていった。

「悪そう」が「家族思い」に変わった瞬間

その魅力が、より重い物語の中で発揮されたのが、2019年放送の日本テレビ系ドラマ『3年A組―今から皆さんは、人質です―』だ。

片寄が演じた甲斐隼人は、クラスのリーダー格で、教師にも反抗的な態度を取る生徒だった。すぐに手が出そうな危うさがあり、序盤だけを見れば、教室の中でも特に怖い人物に映る。しかし甲斐には、ダンサーを目指していた過去があった。介護が必要になった母親と弟や妹を支えるため、夢を諦めて働こうとしていたのだ。

乱暴な態度の奥にあったのは、家族を放っておけない責任感だった。片寄自身も、甲斐を演じる際には家族やクラスメートを「守る」ことを意識していたと振り返っている。放送後には「結構いい子だったんだね」という反応が届いたという。この驚きこそ、片寄が得意とするギャップ役の面白さを端的に示している。

最初から優しい人物として見せるのではない。怖そう、冷たそう、何を考えているかわからないと思わせた後で、その態度の理由を見せる。印象が反転した瞬間、それまでの無愛想な表情まで違って見えてくる。

スーパースターの仮面にも隠された素顔

同じ2019年公開の映画『午前0時、キスしに来てよ』では、ギャップがより軽やかなラブストーリーへと変わった。

片寄が演じた綾瀬楓は、誰もが知る国民的スーパースター。人前では余裕があり、何でもさらりとこなす。一方、素顔は気さくで、少し変わった好みも持つ親しみやすい青年だった。ステージに立つ片寄自身も、多くの人から「王子様」「スター」と見られる立場にある。その片寄が、完璧なスターの表と、普通の青年としての裏を一人で演じるからこそ、設定に説得力が生まれた。

アイドルとして身につけた華やかさを消すのではなく、まず役の仮面として使う。その仮面を少しずつ外し、内側にいる不器用で人間らしい青年を見せる。これも『兄に愛されすぎて困ってます』から続く片寄らしい演技だった。

冷めた役にも残る内側の熱

2020年放送のTBS系ドラマ『病室で念仏を唱えないでください』で演じた研修医・田中玲一は、さらに感情の見えにくい人物だった。

田中は、救えない命に対して諦めを抱き、患者を救うために突き進む主人公・松本照円と衝突する。命に対してクールで、本心がどこにあるのかわかりにくい。それでも田中は、松本の熱さをただ否定しているわけではない。自分にはできない生き方に反発しながら、心のどこかでは憧れている。冷めた態度は無関心の証しではなく、殻を破れずにいる自分を守るためのものだった。

不良系ツンデレ兄、家族を守る反抗的な高校生、素顔を隠すスーパースター、熱さに憧れるクールな研修医。役柄は違っても、片寄が演じてきた人物には共通点がある。表面だけでは、本当の気持ちがわからないことだ。

“優しさの仮面”ではなく、仮面の下の優しさ

片寄は、最初から感情をすべて見せる役よりも、言葉と本心の間に距離がある役で魅力を発揮してきた。爽やかなアイドルという本人のイメージがあるから、不良役や無愛想な役との落差が生まれる。そして冷たい表情の奥にある情の深さが見えた瞬間、その人物を急に近く感じられる。

映画初出演作で演じた橘はるかは、その原点だった。妹への気持ちを素直に言えず、守る行動が乱暴な態度になってしまう。それでも最後まで、せとかを思う気持ちは揺らがない。その妹役だった土屋太鳳と出会い、二人は長い月日を経て夫婦になった。

片寄の映画俳優としての出発点と、人生の大切な出会いが同じ作品に刻まれているという事実は、やはり特別だ。“血のつながらない兄”から始まった映画俳優・片寄涼太。その後も彼は、優しさを簡単には見せない男たちを演じてきた。

クールな顔の下に誰より熱い思いがある。そのギャップを見せるとき、アイドル・片寄涼太の華やかさは、俳優としての強みに変わる。


※記事は執筆時点の情報です

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