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【特別インタビュー】デザイナー・大城健作が振り返る、「ポルトローナ・フラウ」との歩み

  • 2026.6.23
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ミラノにスタジオを構え、数々の世界的ブランドからプロダクトを発表する大城健作。昨年、自身のスタジオ設立から10年という節目を迎えた同氏。その独立のスタートを飾った最初のコラボレーション相手が、イタリアを代表するラグジュアリーブランド「ポルトローナ・フラウ」だった。その後も協業を重ね、数々のプロダクトを発表してきた大城に、「ポルトローナ・フラウ」との出合いやその魅力、デザインプロセスなどについて話を聞いた。

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初のコラボレーション、“レプリ”の誕生

1996年にイタリアへ渡った大城はミラノ工科デザイン学校を卒業後、ミラノやロンドンでキャリアを積み、2015年に自身のスタジオを設立。その頃の大城に声を掛けたのが、「ポルトローナ・フラウ」だった。「ミラノサローネで、担当者と話す機会があり、コンペに参加しないかと誘っていただいたんです」と大城は当時を振り返る。

<写真>オットマン“レプリ”各¥363,000〜

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これをきっかけに、大城はイタリア中部、マルケ州トレンティーノにある「ポルトローナ・フラウ」の工場とミュージアムへ向かった。そこで大城が目にしたのは、ブランドの豊かな歴史が詰まったアーカイブ。「(創業者のレンツォ・フラウがデザインした)“チェスター”などの名作から、現代のコレクションまで並べられていたのですが、そこには資料も多く展示されていたんです」と大城。特に印象に残ったのは、あるポスターだった。「女性がアームチェアに座り、タバコをくゆらせている場面を描いたポスターに目を奪われました。そこにエレガンスを感じたんです。この印象を現代的に解釈したらどうなるか——これが、オットマン“レプリ”をデザインする起点となりました」

<写真>1920年代に描かれた、「ポルトローナ・フラウ」のポスター。

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「ポルトローナ・フラウ」が誇る最高品質のレザーや高い職人技と、女性のエレガンスという組み合わせを考えたとき、大城の脳裏に浮かんだのはドレスだった。とはいえ、あまりに装飾的だと「現代的」にはならない。「そこで、デザインを本質的なところまで削ぎ落とし、職人技を際立たせることにしました。こうして生まれたのが、シンプルなドレスをベルトでキュッと締めたような形状です」。レザーが張られた“レプリ”を見ると、座面中央のボタンから4つのプリーツが伸びているのがわかる。布張りバージョンにはプリーツの代わりに縫い目が用いられ、それぞれの素材の魅力を特徴づけている。

<写真>布張りバージョンの“レプリ”サイドの縫い目がアクセントに。

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書道の所作に着想したデスク“イレン”

“レプリ”に続き、デザインしたのが“イレン”だ。壁掛け仕様とフリースタンディング仕様の2種類から選ぶことができるデスクの着想源となったのは、日本の書道の世界で使われる「意連(いれん)」という言葉。「文字をつづる際に意識すべき、文字と文字の間の連なりを意味します。これがないと、全体がバラバラになってしまいます」。大城はこれを念頭に置き、デスクに向かう際の所作に美しい流れや調和をもたらそうとした。

現代の人々がデスクに向かう姿を考えると、紙とペンではなく、パソコンの使用を前提にデザインすべきだと考えた大城は、デスク上にパソコンを収納できる仕組みを検討。「2枚ある台のうち、上の部分をスライドさせることでデスク上の空間をスムーズに拡張するシステムを開発しました」と大城は言う。

天板にはレザーを張ったが「脚部や構造に木材を使用しているため、硬い印象になる」と考えた大城は、柔らかさをもたらすためにデスクの両サイドをやや傾斜させた。「これにより、上質なレザーの表情が生かされ、『ポルトローナ・フラウ』らしさが生まれました」

<写真>“イレン”¥2,167,000

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屋外用ランプ“スパークラー”

“スパークラー”は、「ポルトローナ・フラウ」初のアウトドアコレクションの一環としてデザインされた屋外用ランプだ。大・中サイズのフロアランプと、小型のテーブルランプを展開している。

「屋外空間で何らかの世界観を演出するには、ある程度エリアを区切ることが必要。透明感のある光が『間仕切り』としての役割を果たしてくれたら、と考えてデザインしました」と大城。思い浮かべたのは、日本の夏の記憶だった。「線香花火の最後に残る、やさしく儚い光をイメージしました」

その有機的な形を実現すべく、断面0.5mmのポリプロピレン製の紐を使い、グラデーションをつけて粉末塗装アルミニウム製のフレームに編み込んでいった。「上部では隙間を狭く編み、下に進むに従ってそれが広がっていく。そして、そこからまた狭めながら編み進める、という形をとりました。光の雫のような形が実現できたと思います」

<写真>テーブルランプ“スパークラー”¥399,300

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広がる“レプリ”コレクション

オットマンから始まった“レプリ”コレクションは、その翌年にサイズのバリエーションを増やし、収納ボックス付きの仕様も登場した。2022年に発表されたアウトドアコレクションでは、エレガントなデザインはそのままに、通気性に優れたポリプロピレン素材を採用。屋外仕様へとアップデートされた。

さらに、2025年にはチェアとアームチェアをラインナップに追加。快適さとエレガンスを兼ね備えたデザインが話題を呼んだ。

「ひとつのプロダクトを発表して、その人気が定着して、そこから派生して新作が生まれるという流れは、とても自然でサステナブル。理想的です」と大城は言う。

<写真>“レプリ”のアウトドアコレクション。スツール各¥308,000〜 オットマン¥1,089,000

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大城は「ポルトローナ・フラウ」について、「これほどまでに強いアイデンティティを確立しているブランドは、ほかにないと思います。唯一無二のエレガンスを体現しているのではないでしょうか」と語る。

「『ポルトローナ・フラウ』には、自社工場がある。そして、素材も自ら厳選し、開発を進めています。技術力も非常に高い。その上で、余白のあるものづくりができているところが、すばらしいと思います」

現在、ポルトローナ・フラウ東京青山およびポルトローナ・フラウ大阪では、“レプリ”から“イレン”、“スパークラー”まで、大城が手掛けたコレクションがすべて展示されている。ぜひこの機会に、10年以上にわたるコラボレーションの軌跡を目にしてほしい。

<写真>昨年発売された“レプリ”の新作。チェア各¥407,000 アームチェア各¥517,000


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大城健作/Kensaku Oshiro

1977年沖縄生まれ。1996年にイタリアへ渡り、ミラノ工科デザイン学校を卒業後、ピエロ・リッソーニやバーバー&オズガビーのもとでキャリアを積む。2015年に独立。それ以降、「ポルトローナ・フラウ」や「B&B イタリア」をはじめとする国際的なブランドからプロダクトを発表する一方で、建築プロジェクトも手掛けるなど、幅広い分野で活躍する。

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