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「その本の作者は」書店で隣に立ち手にした本の内容をつぶやき続けた男→正面向いたまま動かない姿に戦慄

  • 2026.6.25
「その本の作者は」書店で隣に立ち手にした本の内容をつぶやき続けた男→正面向いたまま動かない姿に戦慄

気配なく真横に立った男

仕事帰り、駅前の大型書店に寄って小説のコーナーをのぞいた日のことだ。

読みたかった作品を手に取り、隣の棚に並ぶ新刊の表紙を眺めていた。気になっていた装丁の本があり、手にとってじっくり帯のキャッチを読み込んでいた。

店内は平日の夜にしては空いていた。BGMの音だけが流れる静かなフロアで、客と客の距離もたっぷり取れる程度にしか人がいない。

だからこそ、近づいてくる人があれば足音や衣擦れで気付くはずだった。

そのとき、左隣に気配もなく人が立った。スーツ姿の中年男性だった。普通の客なら本棚に手を伸ばすか目線を本に落とすはずだが、その男はじっと真正面を向いたまま動かない。

手ぶらで、店内バッグも下げていなかった。

嫌な感じがして、私は一歩右へずれた。

手にしていた本の表紙を眺めていると、隣の男との距離もまた一歩分縮まっている。私が動いた分だけ、男も同じだけ動いていた。

さらに半歩右に避けてみると、男も同じ歩幅で半歩寄せてきた。

延々と続いた異常なつぶやき

横目でちらりと見ると、男はやはり棚を見ていない。

視線は私の手元の本に向いていた。そして口元だけが小さく動き、何かをずっと呟いている。

「その本の作者は…」

はっきり聞き取れたのはその一言だった。男は真正面を向いたまま、私が手にした本のあらすじや作者の経歴を、暗唱するように低い声で読み上げ続けていた。

本の中身を熟知している話し方だった。

私の指がページに触れたタイミングで声が止まり、私が次のページをめくると、また続きの内容を呟き始める。

リズムが完全に私の動きに合わせて変化していた。背筋が冷たくなり、手にした本を棚に戻そうとした瞬間、男のつぶやきも同時に止まった。

試しに、隣の棚にあった別の作家の本を手に取ってみた。

男はゆっくりと身体ごと向きを変え、また私の半歩左にぴたりと並ぶ。今度はその新しい本の作者の生い立ちや過去の代表作を、淀みのない口調で読み上げ始めた。

書店のスタッフのような知識量だったが、声には抑揚も感情もなかった。

怖くなって、私は本を置かずにそのままレジに向かった。会計を済ませて店を出るまでの数十秒、振り返らないようにするのが精一杯だった。

改札に着くまで、誰かの足音が後ろから付いてくるような錯覚がずっと残っていた。あの男が同じ作家のコーナーで毎日同じことをしているのか、書店スタッフが気付いているのか、もう確かめる気にもなれない。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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