1. トップ
  2. エピソード
  3. 「それは分けておいて」彼が私の食材だけ別の袋に分けた、その日に感じた距離

「それは分けておいて」彼が私の食材だけ別の袋に分けた、その日に感じた距離

  • 2026.6.19
ハウコレ

目を覚ますと、彼はもう買い物に出かけていました。久しぶりの休日を、二人でゆっくり過ごすためです。やがて帰ってきた彼と一緒に、私は彼が買ってきた食材を冷蔵庫へしまい始めました。けれど袋を覗いたとき、思いがけないものが目に入ったのです。

二人分のはずだった、買い物袋

付き合って二年ほどになる彼とは、休みのたびにどちらかの部屋で過ごすのが当たり前になっていました。その日も彼の部屋で目を覚まし、二人でのんびり過ごすつもりでいたのです。

買い物から戻った彼は、いくつかの袋をキッチンの台に並べました。私は手伝おうと、その一つに手を伸ばします。卵やパン、ウインナー。いつも二人で食べるものが、当たり前のように入っていました。

ところが台の端に、もう一つ小さな袋が置かれていることに気づきました。中を覗くと、私が好きでいつも持参しているヨーグルトと、お気に入りの豆乳。私だけが口にするものばかりが、そこにまとめられていたのです。

「それは分けておいて」という一言

不思議に思いながらも、私はそのヨーグルトを手に取り、冷蔵庫へしまおうとしました。すると彼が、少し慌てたように声をかけてきたのです。

「それは分けておいて」聞き慣れない響きでした。どうしてだろうと思い、私は聞きます。「どうして分けるの?」彼はこちらを見ずに、短く答えるだけでした。「いいから、そのままで」それ以上は、何も説明してくれません。

私はヨーグルトを元の袋に戻すほかありませんでした。

別の袋に見えた、二人の線引き

私の食材だけを、別の袋に。一緒に食べるものは同じ袋に、私のものはこちら側に。まるで彼の中で、自分のものと私のものが、はっきり線引きされているように思えたのです。

このごろ二人で過ごす時間が増えて、いつか一緒に暮らせたらと、私は密かに思い描いていました。それなのに彼はむしろ、二人の暮らしを少しずつ分けようとしているのではないか。そんな考えが浮かんで、なかなか消えてくれません。

結局その日は、別の袋に入ったままの食材を受け取り、私は自分の部屋へ帰りました。

そして...

電車に揺られながら、私はその小さな袋を膝の上に抱えていました。中身は、いつも私が選ぶものばかり。それなのに、どうしてこんなに遠く感じるのでしょう。でも、と私は思い直しました。

彼が何を考えていたのか、私はまだ何も聞けていません。別れたいという素振りも、冷たい態度も、本当はどこにもなかったのかもしれない。一つの袋だけで彼の気持ちを決めつけてしまうのは、きっと違います。

次に会うときは、この袋を持って彼の部屋へ行こうと思います。分けられたものを、もう一度ちゃんと二人のものに戻すために。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

元記事で読む
の記事をもっとみる