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「弁当持参って恥ずかしくない?」と笑われた日も、翌朝また台所に立った

  • 2026.5.5
ハウコレ

毎朝5時半に起きて、お弁当を詰める。それが私の日課でした。職場の同僚に笑われた日も、翌朝また同じように台所に立ちました。理由を誰にも話さなかったのは、同情されることが何より嫌だったからです。

昼休みの居場所

職場の昼休みは12時ちょうどに始まります。同僚たちが「今日どこ行く?」と声をかけ合いながら連れ立って出ていく中、私はいつも自分のデスクでお弁当を広げていました。

ある日、席を立ちかけた同僚がふと私の方を見て言いました。「弁当持参って恥ずかしくない?」。軽い口調で、きっと悪気はなかったのだと思います。近くにいた何人かも小さく笑っていました。「私は好きで作ってるので」。返せたのはそれだけで、箸を持つ指にぎゅっと力が入りました。

2つのお弁当箱

毎朝5時半に台所に立ちます。冷蔵庫のありものから副菜を2品ほど作り、前の晩に仕込んだ煮物やきんぴらと一緒に詰めていく。お弁当箱は、いつも2つです。

同僚の言葉は耳の奥に残っていました。確かに、毎日手作り弁当を持参しているのは職場で私だけ。周りの目が気になる瞬間がないと言えば嘘になります。それでも手を止めようとは思いませんでした。朝の台所に立つ時間は、誰かのために何かできている実感がある、大切な時間だったからです。

話せなかった理由

数日後、同僚が「一緒に食べに行こうよ」と声をかけてくれました。「お弁当あるので」と断ると、少し間を置いて「そこまでして節約?」と返されました。

笑ってごまかすのが精一杯です。本当のことを言えば、きっと場の空気が変わってしまう。気遣いや同情の目を向けられるのは、弁当を笑われるよりもずっと辛いことでした。だから何も言わず、ただ毎日お弁当を持って出勤する日々を続けていました。

そして...

帰り道、私はまっすぐ家には帰りません。途中で実家に寄って、朝作ったもう1つのお弁当を届けます。

半年前に体を壊した母は、ひとりで食事を用意する気力のない日が増えました。かつて毎朝私のためにお弁当を作ってくれていた母に、今度は私がお弁当を届ける番です。「ありがとうね」と小さく笑う母の顔を見るたびに、胸の奥がじんと温かくなります。

恥ずかしいなんて、一度も思ったことはありません。誰かのために台所に立てる朝があること。それだけで、5時半のアラームは苦ではなくなるのです。

(20代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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