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「お母さんがいなくなればいいのに」娘にそう言われた夜も、私は夕食の片づけを続けた

  • 2026.5.3
ハウコレ

反抗期の娘が放ったその一言は、覚悟していたつもりでも胸に刺さりました。でも私は何も言い返さず、流しに向かったのです。母親を続けるとは、そういうことなのだと自分に言い聞かせながら。

噛み合わなくなった日々

中学2年になった娘と、まともに会話ができなくなったのはいつ頃からでしょうか。その日も夜7時を過ぎて帰ってきた娘に「帰り遅かったね」と声をかけると、「別にいいでしょ」と素っ気ない返事が返ってきました。「よくないよ。連絡くらいちょうだい」と言えば、舌打ちのような息が聞こえるだけ。

小学生の頃は「お母さん、今日ね」と学校の話をしてくれていた子です。それが今は目も合わせてくれません。変わったのは娘だけでしょうか。私の言葉もいつの間にか小言ばかりになっていたのかもしれません。

返せなかった一言

夕食の席で、またぶつかりました。スマホを触っている娘に「ごはんの間くらい置いたら?」と言ったのがきっかけです。

「うるさい。お母さんがいなくなればいいのに」

箸を持つ手が止まりました。娘はそのまま自分の部屋に駆け込み、数分後、玄関のドアが乱暴に閉まる音がしました。追いかけようとして、やめました。今の私の言葉は、追いかけたところで届かないと思ったからです。

誰もいない食卓

残された夕食を前に、片づけを始めました。娘の分のお皿は手つかずのまま。ラップをかけて冷蔵庫にしまいながら、自分の母のことを思い出していました。

私も中学生の頃、母に似たようなことを言った記憶があります。あのとき母がどんな顔をしていたか、もう思い出せません。けれどきっと今の私と同じ顔をしていたのでしょう。食器を洗う手を止めずに、ただそんなことを考えていました。

洗い終えたあと、私は台所でノートを広げました。以前から気持ちを整理するために書きつけていた、誰にも見せるつもりのない走り書きです。今日のことを書き残しました。

そして...

夜10時を過ぎた頃、玄関の鍵がそっと回る音がしました。足音を殺して廊下を歩く気配。私は寝室の布団の中で目を開けたまま、その音を聞いていました。

翌朝、娘はいつもより少しだけ早く起きてきました。「おはよう」と声をかけると、小さく「おはよう」と返ってきたのです。それだけ。

昨日までとは、何かが違う気がしました。理由はわかりません。ただ、あの一言の重さを抱えながらも、私は今朝も娘の朝食を用意しています。それしか、できることがないから。

(40代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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