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職場での「絵文字」使用は、自分の評価に影響を及ぼす

  • 2026.4.28
職場での絵文字の効果は? / Credit:Canva

「このメッセージ、どう送るべきか…」

仕事のチャットでトラブルを伝えるとき、笑顔の絵文字をつけて柔らかくするべきか、それともそのまま送るべきか迷ったことはありませんか。

実はこの“ちょっとした判断”が、あなたの「有能さ」や「仕事の適切さ」の評価に影響している可能性があります。

カナダのオタワ大学(University of Ottawa)の研究チームによる最新の調査は、職場における絵文字の使い方が、想像以上に重要な意味を持つことを明らかにしました。

この研究は2026年1月29日付で『Collabra: Psychology』に掲載されています。

目次

  • 一番安全なのは「絵文字を使わない」ことだった
  • ネガティブな絵文字は使うべきではない

一番安全なのは「絵文字を使わない」ことだった

対面での会話では、私たちは言葉以外にも多くの情報を受け取っています。

相手の表情、声のトーン、ちょっとした間の取り方など、こうした「非言語的な手がかり」が、発言の意味や意図を補っています。

しかし、メールやチャットといったテキスト中心のコミュニケーションでは、それらがほとんど失われてしまいます。

その穴を埋めるものとして広く使われているのが「絵文字」です。

絵文字は感情やニュアンスを補う便利な手段と考えられてきました。

しかし、職場というフォーマルな環境でも同じように機能するのかは、これまで十分に検証されていませんでした。

そこで研究チームは、「絵文字が職場での印象にどのような影響を与えるのか」を明らかにするため、実験を行いました。

実験には243人の参加者が集められ、仮想の職場チャットを読んでもらいました。

提示されたメッセージは、3つの要素を組み合わせて作られています。

まず「文章の内容」は、ポジティブな報告、中立的な連絡、ネガティブなトラブル報告の3種類です。

次に「絵文字」は、笑顔😀、怒った顔😠、あるいは絵文字なしです。

さらに「送信者の性別」も設定され、男性か女性かが明示されました。

参加者はそれぞれのメッセージを読んだ後、その送り手がどれくらい「有能そうか」、そしてそのメッセージが職場でどれくらい「適切か」を評価しました。

その結果、いくつかのはっきりとした傾向が見えてきました。

まず重要なのは、「絵文字なし」は多くの場面で安全な選択だったことです。

特に職場らしい適切さの評価では、絵文字なしのメッセージや、文脈に合ったポジティブな絵文字を添えたメッセージが高く評価されました。

一方で、ネガティブな絵文字は全体的に評価を下げる傾向がありました。

さらに、単に「どの絵文字を使ったか」だけでなく、文章の内容と絵文字の感情が合っているかどうかも評価を左右していました。

では、私たちは職場における絵文字をどう扱っていくべきでしょうか。より詳細な結果から考えていきましょう。

ネガティブな絵文字は使うべきではない

この研究で特に注目されるのは、「絵文字の種類そのもの」よりも「文章との一致」が重要だった点です。

たとえば、ポジティブな内容のメッセージに笑顔の顔文字😀を添える場合や、シンプルな連絡に軽く笑顔を加える場合、評価は大きく崩れませんでした。

ただし、絵文字を付ければ必ず評価が上がるわけではありません。

また問題が顕著に現れたのは「不一致」のケースです。

たとえば「誰かがまたプリンターを壊しました」というネガティブな内容に😀をつけると、受け手には「なぜ笑顔なのか」という違和感が生まれます。

その結果、送り手の有能さが低く見積もられやすくなります。

これは、悪い知らせを柔らかく見せようとした絵文字が、かえって「本気なのか、冗談なのか、嫌味なのか」を分かりにくくしてしまうためだと考えられます。

内容と感情表現が一致しないと、受け手はメッセージの意図を読み取りにくくなります。

その違和感が、不誠実さや判断のまずさとして受け取られる可能性があるのです。

そしてネガティブな絵文字についても興味深い結果が出ています。

怒った顔の絵文字😠は、ネガティブな内容と組み合わせた場合にはある程度意味は通じます。

しかし、それでも「絵文字なし」の方が高く評価される傾向がありました。

さらに、ポジティブや中立の内容と組み合わさると、評価は大きく低下します。

つまり、ネガティブな絵文字は基本的にリスクが高く、使うことで印象を改善することはほとんどないと考えられます。

また、性別に関する結果も一部で見られました。

有能さの評価には大きな性差は見られませんでしたが、適切さの評価では、女性参加者が女性送信者のネガティブな表現、とくにネガティブ絵文字を含むメッセージをやや厳しく見る傾向がありました。

この研究から見えてくるのは、絵文字が単なる飾りではなく、「社会的な信号」として機能しているという点です。

特に職場のようにルールや期待が存在する環境では、感情表現のわずかなズレが、その人の信頼性や能力の評価にまで影響を及ぼします。

ただし、この研究は、実際の職場ではなく、仮想的なチャット文面を評価した点で限界があります。

上司と部下の関係、長年一緒に働いている同僚との距離感、企業文化の違いまでは十分に再現できていないのです。

それでも、この研究が示す原則は非常に明確です。

職場での絵文字は、「印象を良くする魔法の道具ではない」ということです。

参考文献

Should emojis be used in workplace communications?
https://www.eurekalert.org/news-releases/1123323

How emoji use at work can determine how competent your colleagues think you are
https://phys.org/news/2026-04-emoji-colleagues.html

元論文

Emojis at Work: The Effects of Emoji Use on Perceptions of Competence and Appropriateness
https://doi.org/10.1525/collabra.147309

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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