1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 65歳で定年退職→「年金だけではカツカツ」再雇用を選ぶも…1年後、年金口座をチェックして60代男性が“驚いたワケ”

65歳で定年退職→「年金だけではカツカツ」再雇用を選ぶも…1年後、年金口座をチェックして60代男性が“驚いたワケ”

  • 2026.6.6
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさま、こんにちは。元銀行員の金融ライター・池田です。

近年の物価高の影響を受けて、「年金だけでは生活に不安がある」と感じている人も多いでしょう。実際に「元気なうちは働く」という選択をするシニアも増えており、年金を受給しながら給与を得ているケースも珍しくありません。

しかし、その場合は“働き損”といわれるボーダーラインを押さえておくことが重要です。

今回は、年金を受給しながら再雇用で働いていたものの、「ある制度」により手取り収入が減ってしまった60代男性の事例を紹介します。

「給与35万円+年金16万円」でゆとりある生活を目指した男性

60代の男性・Aさん(仮名)は、同い年の夫婦2人暮らしです。

会社員として働いていたAさんは、65歳を迎えると毎月16万円の年金を受給できます。一方で、長年専業主婦の奥さまは国民年金のみを受給することになり、年金額は毎月6万円の見込み。

「夫婦合わせて月22万円の年金ではカツカツになってしまう」

そう考えたAさんは、退職後も再雇用で働くことを決意しました。

年金額が減っている?月16万円→13.5万円に

その後Aさん夫婦は65歳の誕生日を迎え、年金の受給がスタート。

Aさんは再雇用で退職後も毎月35万円の給与を得ており、年金をそのまま貯蓄に回せるほど余裕のある生活を送っていました。

再雇用から1年を過ぎた頃、手付かずとなっていた年金口座をチェックしたAさん。すると、月16万円受給できるはずの年金が「13万5,000円」に減っていたのです。

「在職老齢年金制度」で年金カット

「在職老齢年金」とは、働きながら厚生年金を受給する人の「賃金+厚生年金」の合計が基準額を超える場合、超えた金額の半分の厚生年金が支給停止となる制度です。

基準額は2026年度より「65万円」となりましたが、当時は見直し前であったため「51万円」でした。

在職老齢年金の計算では、賃金部分に1年間の賞与が月換算で加算されます。

Aさんは年間132万円の賞与を受け取っており、当時の基準額である「51万円」を超えてしまっていました。

  • 給与35万円
  • 年間賞与132万÷12ヶ月=月換算11万円
  • 月換算の賃金:35万円+11万円=46万円
  • 年金月額:16万円(うち厚生年金10万円
  • 賃金と厚生年金の合計:月56万円⇒基準額51万円を「5万円」オーバー

基準額を超えた場合、その半分の厚生年金が支給停止となります。

今回のケースでは、5万円の半分にあたる「2万5,000円」の厚生年金が支給停止となり、月16万円の年金が13万5,000円に。

年間では30万円もの年金カットにつながってしまったのです。

2026年度から基準額が「65万円」に

先述の通り、在職老齢年金制度の基準額は2026年度から「65万円」に引き上げられました。

Aさんの場合、賃金と年金の合計額は月56万円です。新基準では基準額を超えていないため、賃金に変動がない場合、年金16万円をそのまま受け取れることになります。

退職後も働くことは家計の助けになりますが、金額によっては年金の一部が支給停止になる可能性も。思わぬ誤算を防ぐためにも、まずは制度を正しく理解するところから始めましょう。


監修・執筆:元銀行員・ikebu

元銀行員・行政書士資格保有の金融・法律ライター。一種外務員資格(証券外務員一種)、行政書士資格を保有。大学では法学部・法律学科に在籍し、卒業後は地方銀行に入行。個人リテール業務において、投資信託・生命保険商品の販売を中心とする資産運用のサポートのほか、住宅ローンや相続などの幅広い業務に携わる。法人営業では、事業性融資や法人向けの運用商品販売を担当。現在は金融・法律ジャンルを中心にライターとして活動。銀行員時代の経験や保有資格を活かし、専門的な内容を分かりやすく丁寧に解説することを得意とする。

の記事をもっとみる