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3,200万でマイホーム購入した50代男性。「負担が軽くなる」“固定→変動金利”に変更…翌年、住民税通知で判明した“想定外の事態”

  • 2026.6.6
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、マネーシップス代表 IFAの石坂です。

住宅ローンの借換えでは、「今より金利が下がるか」に目が向きがちです。

たしかに金利が下がれば、毎月返済額や総返済額を抑えられる可能性があります。しかし、住宅ローン控除を受けている人は、借換え後も控除を続けられるかどうかを確認しておく必要があります。返済期間や借換えの目的を見落とすと、思っていたほど家計の負担が軽くならないこともあるためです。

今回は、50代会社員の事例から、住宅ローン控除と住民税の注意点を見ていきます。

金利差だけを見て借換えを決めた50代会社員

当時50代の会社員Aさんは、8年前にマイホームを購入しました。当初の住宅ローンは3,200万円、返済期間35年、当初固定型で金利は年1.5%でした。
現在のローン残高は約2,610万円。残りの返済期間は27年ほどです。Aさんには、住宅ローン控除の期間がまだ残っていました。

ある日、金融機関から借換えの案内を受けます。新しいローンは変動金利型で、優遇金利が適用され、金利は年0.95%になる見込みでした。残り27年で借り換えれば、毎月返済額は約9万8,000円から約9万1,000円前後に下がる見込みになります。

※記事内の返済額や残高は、元利均等返済、ボーナス返済なし、金利が一定という前提での一例です。金利は、借入時期、金利タイプ、金融機関の優遇条件などによって異なります。実際の金額は、金融機関、金利タイプ、諸費用の扱いなどによって変わります。

Aさんは「毎月の負担が軽くなるなら得だ」と考えました。借換え時には、事務手数料や登記費用などで合計45万円ほどかかる見込みでした。それでも、金利差による効果のほうが大きいと考え、借換えを前向きに進めます。

その後、返済期間を短くすれば総返済額をさらに抑えられると、過去に説明を受けたことがあったそうです。Aさんは老後までローンを残したくない気持ちもあり、最終的に借換え後の返済期間を9年6か月に設定します。この場合、毎月返済額は約24万円となり、当初の借換え試算より大きくなります。

しかしAさんは、金利低下と早期完済に意識が向き、住宅ローン控除の継続条件までは深く確認していませんでした。

翌年、Aさんは住民税の決定通知書を見て違和感を覚えます。前年までは、所得税から引ききれなかった住宅ローン控除の一部が、一定の範囲で住民税から差し引かれていました。ところが今回は、思っていたほど住民税の負担が軽くなっていなかったのです。

改めて確認すると、借換え後の返済期間が10年未満になっていたことに気づきました。

借換えで控除期間が延びるわけではない

住宅ローン控除の対象となるローンは、原則として10年以上の償還期間で返済するものとされています。
この「10年以上」は、単にローンを借りている期間ではありません。最初の返済から最後の返済までの期間を指します。

借換え後のローンも、この条件を満たす必要があります。Aさんのように借換え後の返済期間を9年6か月にすると、控除継続の条件を満たせない可能性があります。

また、借換えをしても、住宅ローン控除の期間が新しく延びるわけではありません。控除を受けられる期間は、居住を始めた年や住宅の種類などをもとに決まります。つまり、借換えで金利が下がっても、控除期間がリセットされるわけではないのです。

住宅ローン控除は、まず所得税から差し引かれます。所得税から控除しきれない金額がある場合に限り、一定の範囲で翌年度の住民税から控除されることがあります。そのため、控除条件に影響が出ると、所得税だけでなく住民税通知で負担感に気づく場合もあります。

借換え前に確認すべき3つの数字

住宅ローンの借換えを「金利が下がるか」だけで判断しないことが大切です。

毎月返済額が下がっても、手数料や税金への影響を含めると、思ったほど得にならない場合があります。

借換え前には、次の3点を確認してみましょう。

  • 金利差による返済軽減額
  • 借換えにかかる手数料や登記費用
  • 住宅ローン控除の継続条件と住民税への影響

たとえば、金利低下で今後の返済総額が70万円減るとしても、借換え費用が45万円かかるなら、単純計算で実質的な効果は25万円です。

さらに、住宅ローン控除が続かなくなる場合や、住民税からの控除額が変わる場合には、家計全体で見たメリットが小さくなる可能性があります。

返済期間を短くすること自体が悪いわけではありません。ただし、控除が続く前提で借換えを考えるなら、借換え後のローンが10年以上の償還期間であるかなどの確認は欠かせません。

また、固定金利型から変動金利型へ借り換える場合は、将来の金利上昇リスクもあります。特に50代以降は、定年までの年数、退職金、老後資金も関係します。「金利が下がるから得」と決めつけず、借換え費用と控除条件まで確認し、家計全体にとって本当に有利かどうかを判断しましょう。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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