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夫の死後、“家に住み続ける権利”を相続した70代妻→預金は子どもに渡したものの…税理士から明かされた“想定外の事実”

  • 2026.6.6
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関でマネージャーを務めながら、家計のご相談に日々向き合っている中川です。

今回ご紹介するのは、ご主人を亡くされた70代のWさんと、お子さま2人の相続をめぐる体験談です。Wさんが自宅に住み続けられるように配慮したものの、配偶者に用意された大きな非課税の枠をほぼ使わないまま、家族全体の相続税が想定より数百万円多くなった経緯をご紹介します。

「自宅にはこのまま住み続けたい」一次相続での合意

Wさんは70代後半の女性。

ご主人を亡くされ、お子さま2人と一次相続(ご主人の相続)の話し合いを進められました。

ご家族が選ばれたのは、Wさんが今までどおり自宅で暮らせるようにしつつ、預金はできるだけお子さま2人に渡す形でした。2020年に新しく整備された仕組みを活用し、自宅については「Wさんが亡くなるまで住み続けられる権利」をWさんに、「自宅の所有権」をお子さま2人に分けて受け継ぐようにしました。

「自宅の評価が、住み続ける権利と所有権に分かれる分、私が受け取る財産は小さくなる。代わりに、預金を子どもたちへ多めに渡せると説明を受けて、納得しました」とWさん。

一次相続では、Wさんにもお子さまにも納得感のある分け方ができたと感じていたといいます。

申告期限が近づき、税理士の試算で目にした想定外の数字

ところが、申告期限が近づいて税理士から届いた試算には、想定外の数字が並んでいました。

配偶者(Wさん)が受け取った財産には、「配偶者の税額軽減」という大きな非課税の枠が用意されています。法定相続分か1億6,000万円のうち、いずれか大きい金額までは、配偶者の相続税が事実上ゼロになる仕組みです。

Wさんの場合、受け取られたのは「自宅に住み続ける権利」を中心とする1,500万円前後の財産。配偶者の税額軽減の枠と比べてごくわずかでした。一方、自宅の所有権と預金を多めに受け継いだお子さま2人には、お一人あたり数百万円規模の相続税がかかる計算に。

「私の税額軽減はほとんど使われないまま、子どもたちに税負担が集中する結果になったんです」とWさんは振り返ります。

配偶者の税額軽減を満額使う方法と比べると、家族全体で数百万円の差

仮にWさんへ預金をもう少し寄せて、配偶者の税額軽減を法定相続分まで活用していたら、お子さま2人の納税額はぐっと抑えられた計算だったといいます。

その差は、家族全体で数百万円規模。Wさんの二次相続(将来Wさんが亡くなったときの相続)まで含めて考えても、配偶者の税額軽減を満額使うほうがトータルでは有利でした。

「自宅に住み続けるために選んだ方法が、税額軽減を使い切らないことになってしまいました。同じ家族のお金で見ると、想定とは少し違う結果になったんです」

Wさんの二次相続では、Wさんの「住み続けられる権利」は消滅し、お子さま2人が完全な所有権を取り戻します。この権利の消滅は、相続税の課税対象には含まれません。

「住む権利を分ける」ときは、配偶者の税額軽減の使い方も合わせて検討を

これから自宅と預金の相続を考える方は、ぜひ下記のことを確認してください。

「自宅に住み続ける権利」と「自宅の所有権」を分ける仕組みは、配偶者が受け取る財産を抑える効果があります。一方で、その分だけ配偶者の税額軽減を使い切らない分け方になりやすい点に注意が必要です。

預金の配分、自宅の評価、配偶者の税額軽減の活用範囲は、それぞれが連動しています。資産の規模やご家族の構成によって、有利な設計は大きく変わるものです。税理士などの専門家を交えて、一次相続と二次相続の両方を見渡しながら検討してください。


執筆・監修:中川 佳人
金融機関勤務の現役マネージャー。1級ファイナンシャル・プランニング技能士。20年にわたり、資産形成や家計管理・住宅ローンなどの実務に携わってきた経験を活かし、記事の監修や執筆を行っている。専門的な内容を、誰にでもわかりやすく伝えることをモットーとしている。

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