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なぜ「AIを使う」従業員と「使わない」従業員がいるのか

  • 2026.4.15
AIを使う人と使わない人に分かれている / Credit:Canva

職場でこんな光景を見たことはないでしょうか。

ある人は当たり前のようにAIを使い、メールや資料を素早く仕上げる一方で、別の人は「自分には必要ない」とほとんど使おうとしない。

実はこの“分断”は個人の性格の違いではなく、社会全体で起きている現象です。

米国の世論調査会社ギャラップ(Gallup)が2026年に行った大規模調査によると、仕事でAIを使う人は増えているものの、それでも多くの人はほとんど使っていないことがわかりました。

なぜ同じ職場で、ここまで認識が分かれるのでしょうか。

目次

  • AIを使う人たち、仕事は速くなるが「働き方」はまだ大きく変わっていない
  • AIを使わない人たち、壁になっているのは“技術”だけではない

AIを使う人たち、仕事は速くなるが「働き方」はまだ大きく変わっていない

まず、AIを積極的に使っている人たちに注目してみましょう。

ギャラップの調査では、米国の就業者の半数が、少なくとも年に数回はAIを仕事に使っていると答えています。

中でも、毎日使う人は13%、週に数回以上使う人は28%に達しており、AIはすでに一部の人だけが使う珍しい道具ではなくなりつつあります。

そして、その効果はかなりはっきりしています。

AIを導入している企業では、従業員の65%が、AIによって仕事の生産性や効率が改善したと感じていました。

具体的には、メールや文章の下書き、長い資料の要約、アイデア出し といった作業で役立っていると報告されています。

特に効果を実感しているのは、管理職、医療職、技術職や専門職です。

これらの職種では、分析や意思決定、文章作成など「情報を扱う仕事」が多く、AIの得意分野と重なります。

また、リーダー層ではAIの効果を強く感じる割合が一般の従業員より高いことも確認されています。

しかし、ここで重要なポイントがあります。

AIは確かに仕事を速くしているものの、「仕事のやり方そのもの」を変えたわけではないという点です。

AIを導入している企業でも、「仕事の進め方が根本的に変わった」と強く感じている人は約1割にとどまっています。

これはどういうことかというと、AIはあくまで「個々の作業を効率化する道具」として使われている段階にあるということです。

たとえば、資料作成が速くなっても、承認の流れ、会議の進め方、役割分担 といった会社全体の仕組みが変わらなければ、組織としての働き方は大きく変わりません。

いまのところAIは、個々の作業を助ける段階にあり、会社全体の流れや役割分担まで作り替えるところにはまだ至っていないのです。

続いて、AIを活用しない人について、どんなことが分かっているか考慮しましょう。

AIを使わない人たち、壁になっているのは“技術”だけではない

便利とされるAIを、以前として多くの人が使わないのはなぜでしょうか。

調査によると、米国の従業員の約半数は、仕事でAIを年に1回しか使わないか、ほとんど使っていないと答えています。

しかも、社内でAIツールが使える環境にあっても、あえて使わない人は少なくありません。

その理由で最も多かったのは、「今のやり方で十分だから」というものでした。

実に46%の人が、これを理由に挙げています。

これは単なる頑固さではありません。

すでに自分のやり方で問題なく仕事が回っている人にとって、AIを導入することは「効率化」ではなく、「新しい手順を覚える負担」になる場合もあります。

さらに、AIを使わない理由はそれだけではありません。

約4割の人は、「倫理的にAIに反対している」「データのプライバシーに不安がある」「自分の仕事には役立たないと感じている」といった理由を挙げています。

また、実務上の問題も見逃せません。

AIはときに誤った情報を出すことがあります。

法律のように正確さが強く求められる分野では、こうした誤りは大きなリスクになります。

加えて、「使い方がわからない」という問題もあります。

AIは導入すれば自動的に効果が出るわけではなく、どこに使い、どこは人が確認すべきかを理解して初めて力を発揮します。

そのため、準備ができていない人ほど、AIのメリットを実感しにくいのです。

つまり、AIを使わない理由は単に「技術が難しいから」だけではなく、信頼、習慣、価値観、そして使いこなせるかどうかへの不安が重なっているのです。

さらに今回の調査では、AIを導入している企業で働く人の23%が、5年以内に自分の仕事がなくなる可能性を感じていました。

便利さを実感する人が増える一方で、AIが職場に入り込むほど、「この先、自分の仕事はどうなるのか」という不安も強まっていることがうかがえます。

AIは確実に職場に広がり、仕事を効率化しています。

しかしその一方で、人々の間には「使う人」と「使わない人」という分断が生まれています。

そしてその分断は、単なるスキルの差ではなく、AIという技術をどこまで信じ、どう仕事に取り込むかという考え方の違いから生まれているようです。

参考文献

Why some workers are embracing AI while others won’t use it, according to a new Gallup poll
https://techxplore.com/news/2026-04-ai-employees-gallup-poll.html

Rising AI Adoption Spurs Workforce Changes
https://www.gallup.com/workplace/704225/rising-adoption-spurs-workforce-changes.aspx

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。

編集者

ナゾロジー 編集部

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