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『父の口座から葬儀代を…』200万円を引き出しに銀行へ→「残高は2,000万円」あるはずが…窓口で50代息子が“青ざめたワケ”

  • 2026.5.16
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

みなさま、こんにちは。元銀行員の金融ライター・池田です。

「家族に負担をかけないように」と、生前からご自身で葬儀費用を貯めている人も多いのではないでしょうか。しかし、資金の置き場所によっては、葬儀費用の支払いに間に合わないケースもあります。

今回は、葬儀費用を含む2,000万円をお父さまから相続したにもかかわらず、支払いに苦労したお客さまのエピソードを紹介します。

「葬儀費用は貯めてある」生前の父の言葉に安心していたAさん

「亡くなった父の口座からお金をおろしたいです」

数日前にお父さまが亡くなり、葬儀を終えた50代男性・Aさん(仮名)。

生前よりお父さまから「葬儀費用は貯めてある」と聞かされており、葬儀社に支払う200万円のご出金を希望されていました。

お父さまの預金残高は2,000万円あり、葬儀費用の支払いには十分な金額です。

しかし、Aさんは10日後の支払い期日までにお金を引き出すことができませんでした。

銀行預金は本人の死後すぐに下ろせるわけではない

銀行が口座名義人の死亡を確認した場合、その時点で口座は凍結されます。

凍結口座にあるお金を払戻すには、銀行で相続手続きを完了しなければなりません。

具体的には、以下のような書類の提出が必要です。

  • 銀行所定の相続手続き書類
  • 死亡した方の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書

すべての書類を提出後、払戻しまでは2〜3週間程度かかります。

今回の場合、Aさんの来店日から7日後が葬儀費用の支払い期日でした。

Aさんには相続手続きの完了を待つ時間的余裕がなく、結果としてご兄弟とともに貯蓄を切り崩して葬儀費用を工面しました。

また、Aさんのケースには当てはまらなかったものの、遺産分割協議が必要な場合や遺言書がある場合は、さらに銀行への提出書類が増えることも。

特に遺産分割協議が必要な場合は協議の成立まで相続手続きを進められないため、払戻しまでに相当の時間を要する可能性もあります。

2019年より「相続預金の払戻し制度」が施行

Aさんのように、「亡くなった家族本人の口座から葬儀費用を工面したい」という人は少なくありません。

2019年には、葬儀費用や当面の生活費のため、凍結口座から相続人が払戻しを受けられる「相続預金の払戻し制度」が施行されました。

当制度の特徴は、以下のとおりです。

  • 払戻しできるのは「相続開始時の預貯金額×1/3×払戻しを受ける相続人の法定相続分」まで
  • 1金融機関で払戻しできるのは最大150万円まで
  • 各相続人が単独で手続き可能
  • 遺産分割前でも払戻しを受けられる(払戻しを受けた分は、後日の遺産分割で「払戻しを受けた人が相続したもの」とみなされる)

Aさんが来店されたのは当制度の施行前であったため対応できなかったものの、こうした制度があることを知っておくと安心できるでしょう。

なお、葬儀費用が150万円を超える場合は、残額は通常の相続手続き完了後に払戻しを受けることになります。

スムーズにお金を動かすための「対策」を検討してみよう

相続発生時にスムーズにお金を動かしたい場合、生命保険を活用するのも有効です。多くの保険会社では、手続き書類が到着した日の翌日から5営業日以内に保険金が振り込まれます。葬儀費用の支払い期日は葬儀終了後から1週間〜10日以内が目安であるため、書類不備などがなければ問題なく期日に間に合うでしょう。

その他には、生前にあらかじめ必要資金を引き出しておくのも1つです。

「お金はあるのに使えない」という事態を防ぐためにも、生前に家族と資産の置き場所や引き出し方法を共有しておくことが大切です。


※本エピソードは特定の事例を基にしたものではなく、読者への情報提供を目的としたフィクションです。

監修・執筆:元銀行員・ikebu

元銀行員・行政書士資格保有の金融・法律ライター。一種外務員資格(証券外務員一種)、行政書士資格を保有。大学では法学部・法律学科に在籍し、卒業後は地方銀行に入行。
個人リテール業務において、投資信託・生命保険商品の販売を中心とする資産運用のサポートのほか、住宅ローンや相続などの幅広い業務に携わる。法人営業では、事業性融資や法人向けの運用商品販売を担当。
現在は金融・法律ジャンルを中心にライターとして活動。銀行員時代の経験や保有資格を活かし、専門的な内容を分かりやすく丁寧に解説することを得意とする。

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