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「金利が高くてお得」“退職金1000万”を米ドルに換えて定期預金→3年後、60代女性が直面した“想定外の事態”【お金のプロは見た】

  • 2026.6.14
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出典元:photoAC(※画像イメージです)

皆さま、こんにちは。金融機関勤務のおがわ163です。20年間、金融機関の窓口で資産運用や家計相談に携わってきた経験をもとに、お金にまつわるリアルなエピソードをお届けしています。

「外貨預金は金利が高くてお得」という話を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。確かに円預金と比べて金利が高い場合がありますが、為替レートの変動によっては円ベースで損をするリスクがあることを、ご存じでしょうか。

今回は、外貨預金を始めた60代女性Aさんが直面した為替リスクのリアルをご紹介します。

「金利が高いから、外貨預金にしよう!」

2022年秋、1ドル=150円台になったころのこと。退職金の運用先を探していた60代のAさんは、銀行の窓口で米ドルの外貨預金を勧められました。

「円預金より金利がずっと高いんですね!」とAさん。当時の米ドル定期預金の金利は円預金と比べて非常に高く、Aさんは魅力を感じて1,000万円を1ドル=150円で米ドルに換えて外貨定期預金(1年もの)に預けることにしました。

「金利が高いから、1年後にはしっかり増えているはず」と期待に胸を膨らませていたAさん。しかし数ヶ月後、想定外の事態が起きました。

「円高になってきた…解約した方がいい?」

2023年初頭、円高が進み、為替レートは1ドル=130円台まで下落しました。

「今解約したら、円に戻したときに大損してしまう」とAさんは焦りました。1,000万円÷150円=約66,667ドル。これを130円で円に換算すると約867万円。約133万円もの損失が出てしまう計算です。

「解約しようかどうしようか…」と悩んだAさんでしたが、損が出るのが嫌で解約を断念。そのまま1年定期を継続することにしました。 その後も為替レートは上下を繰り返し、2023年秋には再び1ドル=150円台に戻りました。しかし2025年4月には再び円高が進み、約139円まで下落。その度にAさんは「解約しようか、もう少し様子を見ようか」と悩み続けました。

「様子を見ていたら、円ベースで増えていた!」

2026年6月現在、為替レートは1ドル=約159円となっています。

約66,667ドルを現在のレート(159円)で円換算すると、約1,060万円。預けた1,000万円より約60万円の為替差益が出ています。さらに約3年8ヶ月分の金利累計(年平均4〜5%で試算・税引前の概算)を円換算すると約178万円。ただし、外貨預金の利息には20.315%の源泉分離課税が自動で差し引かれるため、税引後の手取り利息は約142万円となります。税引後ベースでは、為替差益と合わせて合計約202万円のプラスになっていました。

「結果的にはしっかり増えていてよかった」とAさん。しかしその言葉の裏には、3年半以上為替の動きに一喜一憂し続けた日々がありました。「あの時円高で解約していたら大損していた。でも、このままずっと円安が続くとは限らないですよね?」とAさんは窓口担当者に聞きました。

「そうですね。為替は今後どう動くかわかりません。また円高になる可能性もあります。ただ、外貨預金の魅力の一つは円預金と比べて高い金利がしっかりつくことです。為替で差損が出る時期があっても、長期で保有することで金利が積み上がり、トータルでプラスになるケースも多いんですよ」と窓口担当者。

外貨預金を始める前に知っておきたいこと

今回のAさんのケースは、結果的に税引後ベースで約202万円のプラスになりましたが、為替リスクを十分に理解しないまま外貨預金を始めることの怖さも示しています。 外貨預金を検討している方は、以下の点を事前に確認しておくことをおすすめします。

・外貨預金は為替レートの変動により、円ベースで元本割れするリスクがある
・金利が高くても、円高になれば金利分以上の損失が出る場合がある
・為替で差損が出る時期があっても、高い金利が積み上がることで長期的にはプラスになるケースもある
・外貨預金には預金保険制度(ペイオフ)が適用されない
・預入時と解約時に為替手数料(為替スプレッド)がかかるため、実質的なコストを確認しておく
・「いつ円に戻すか」という出口戦略を事前に考えておくことが重要

外貨預金は短期的な為替差益を狙うものではなく、円預金より高い金利を活かした長期的な資産形成の手段として検討するのがおすすめです。「すぐに円に戻す必要がない余裕資金」で始めることで、為替の一時的な変動に一喜一憂せず、じっくりと資産を育てることができます。長期的な視点で外貨預金を活用したい方は、ぜひ窓口でご相談ください。


執筆:おがわ163
金融機関勤務(勤続20年)。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。窓口業務・資産運用相談の現場経験をもとに、生活に役立つお金の知識をわかりやすくお届けしています。

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