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「国の機関が保管してくれるなら安心」“遺言書”を法務局に預けた70代父→死後、家族が開封すると…待ち受けていた“想定外の大誤算”

  • 2026.6.13
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

近頃は、自分で書いた遺言書(自筆証書遺言)を法務局で預かってくれる制度ができました。「国の機関が保管してくれるなら安心だ」と、親に勧めた方もいるのではないでしょうか。

ところが先日、終活の勉強会で出会った専門家から、こんな話を聞きました。

「『法務局に預けたから完璧だ』と言い残したお父さんの遺言が、5年後の相続では半分しか使えなかった」というのです。

きちんと預けたはずなのに、なぜそんなことが起きたのでしょうか。

「法務局に預けたから完璧」父が遺した一言

そのお父さんは、70代の男性。

亡くなる5年前に、自分で遺言書を書き、法務局の保管制度を使って預けていたそうです。

自筆の遺言書には、これまで「自宅にしまったまま見つからない」「家族に書き換えられた疑いが残る」といったトラブルがつきものでした。

2020年7月に始まった法務局の保管制度は、そうした不安をなくすための仕組みです。窓口で形式に問題がないかを確認したうえで、原本を国が預かってくれます。

お父さんは、家族にこう言い残したといいます。

「これで揉めることはない。法務局に預けたんだから完璧だ」。

きちんと手続きを踏んだという自負があったのでしょう。

ただ、専門家はここで、私にこう説明してくれました。「法務局が確認するのは、あくまで『書き方』の部分なんですよ」。きちんと預けたという安心の裏で、お父さんが見落としていたことがあったのです。

開封して分かった「半分が空振り」の理由

お父さんが亡くなり、相続が始まりました。

遺言書は法務局にあります。家族は手続きを取り、その内容を確認しました。

そこには、こう書かれていたそうです。「自宅は長男に。A銀行の預金は長女に渡す」。

ところが、です。お父さんは遺言を預けたあと、施設に入るために自宅を売却していました。さらに、A銀行の口座も解約し、別の銀行にまとめ直していたのです。つまり、遺言に書かれた「自宅」も「A銀行の預金」も、亡くなった時点ではもう存在していませんでした。

遺言は、書いた財産が手元からなくなっていると、その部分は実現できません。せっかくの指定が、いわば「空振り」になってしまうのです。

問題はもう一つありました。お父さんは売却で得たお金で、新たに投資信託を購入していました。けれど、その投資信託について、遺言には一行も書かれていない。記載のない財産は遺言では分けられず、結局、長男と長女が話し合って決めるしかなくなったのです。

「揉めないように」と預けたはずの遺言で、きょうだいは遺産分割協議(相続人全員での話し合い)のテーブルにつくことになりました。残されたお子さんたちは、さぞ複雑な思いだったでしょう。

遺言は「預けて終わり」ではない

法務局の保管制度は「遺言書を安全に預かってくれる仕組み」であって、「中身を最新の状態に保ってくれる仕組み」ではありません。預けたあとに財産が変わっても、法務局から「書き直しましたか?」と連絡が来ることはありません。更新するかどうかは、あくまで本人次第なのです。

では、どうすればいいのでしょうか。ポイントは2つあります。

一つは、財産が大きく変わったら、遺言を書き直して預け直すこと。自宅を売った、口座を整理した、まとまった買い物をした─そんなときは、遺言の中身も合わせて見直す必要があります。

もう一つは、「自宅は長男に」と特定の財産を名指しするだけでなく、そこに書ききれなかった財産を誰に渡すかまで決めておくこと。この点は、司法書士などの専門家に一度相談すると安心です。

遺言は法務局に預ければ安心、とはなりません。財産が変わった場合は、必ず更新が必要です。ぜひ一度、ご実家の遺言が最新の状態になっているか、確認してみてください。


※相続や遺言の具体的な手続き・判断については、専門家にご相談ください。

参考資料:法務省「自筆証書遺言書保管制度について」

ライター:たるみくまお
リユース業界での買取窓口業務を経て、現在は技術商社に勤務する現役ビジネスマン兼Webライター。古物商許可証を保有し、ブランド品・高級時計の査定現場で数多くのお客様と向き合ってきた経験を持つ。現職では技術商社の最前線に身を置き、ITをはじめとする幅広い分野の知見を日々積み重ねている。また、過去に借金を抱えた経験から、マネーリテラシーの重要性を痛感し、現在も金融知識の習得を続けている。二次流通市場の裏側から、お金のリアルな話まで、現場で得た実体験をもとに等身大の言葉で発信中。

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