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高3娘の大学進学。1,000万を用意した40代夫婦→『私大でも学費は問題ない』はずが…その後、二人を直撃した“想定外の事態”

  • 2026.6.12
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは、家計・資産形成・相続など、お金に関するご相談をお受けしている、マネーシップス代表 ファイナンシャルプランナー/IFAの石坂です。

子どもの大学費用について、「1,000万円準備しておけば大丈夫」と考えるご家庭は少なくありません。しかし、大学進学でかかるお金は、入学金や授業料だけではありません。受験料・交通費・宿泊費・入学前の準備費・下宿代・仕送りなど、進学先や住まい方によって負担は大きく変わります。

今回は、教育費を準備していたにもかかわらず、入学前後の支出で家計が苦しくなった40代夫婦の事例をもとに、教育費計画で見落としやすいポイントを解説します。

1,000万円あれば安心?入学前から始まる教育費の現実

事例のAさん夫婦は40代後半。

高校3年生の長女の大学進学に備え、学資保険や預貯金で約1,000万円を準備していました。夫婦は「私立大学でも4年間の学費はまかなえるはず」と考えていたそうです。

ところが、受験が近づくにつれ、想定外の支出が増えていきます。長女は第1志望の国公立大学に加え、私立大学を4校受験することになりました。大学入学共通テストの検定料は、3教科以上で1万8,000円、2教科以下で1万2,000円です。私立大学の受験料は1校あたり3万〜3万5,000円程度かかることも多く、Aさん家庭では受験料だけで約16万円になりました。

さらに、県外受験の交通費と宿泊費で約14万円が必要になりました。合格後は、入学金や前期授業料の支払いがすぐに発生しました。

※文部科学省の令和7年度調査では、私立大学の平均授業料は96万8,069円、入学料は24万365円、施設設備費は17万2,550円です。

Aさん夫婦は、ここまでは何とか想定の範囲内だと考えていました。

しかし、長女が県外の大学へ進学することになり、下宿費用が加わります。家賃は月6万5,000円。生活費として月8万円の仕送りも必要になったそうです。さらに、引っ越し代、敷金・礼金、家具家電、寝具、生活用品の購入で、入学前に約75万円が必要になりました。

結果として、受験から入学直後までの数か月で、100万円を大きく超える支出が集中。教育資金として1,000万円はあるものの、すぐに使える普通預金が少なかったため、ボーナスや毎月の生活費から補うことになりました。

授業料だけでは足りない…教育費計画の落とし穴

今回のケースの注意ポイントは、教育費を「大学4年間の学費」だけで考えていたことです。

たしかに、大学費用の中心は入学金や授業料です。しかし、実際には入学前からまとまったお金が出ていきます。

受験校が増えれば、受験料だけで10万円を超えることがあります。県外受験では、本人だけでなく、場合によっては親の交通費や宿泊費もかかります。

また、下宿を始める場合は、毎月の家賃や仕送りだけを見ていても不十分です。家賃6万円台の部屋でも、敷金・礼金・仲介手数料・前家賃などで、初期費用が数十万円になることがあります。そこに、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、机、寝具、カーテン、通信環境などをそろえる費用が加わります。

50万円〜80万円程度の初期費用がかかっても、不自然ではありません。

さらに見落としやすいのが、支払いの時期です。教育費は「合計でいくらか」だけでなく、「いつ払うか」が家計に大きく影響します。

入学金や前期授業料は、合格発表後すぐに納付期限が来ることがあります。第1志望の結果を待つ間に、併願校の入学金を先に支払うケースもあります。この場合、あとから別の大学へ進学することになっても、すでに払った入学金が戻らないことがあります。
つまり、1,000万円という総額を用意していても、定期預金や保険の満期時期が合わなければ、必要な時に使えない可能性があります。

教育費計画では、「大学4年間でいくらかかるか」だけでなく、「高校3年の秋から大学1年の春までにいくら必要か」を分けて考えることが大切です。

教育費は「総額」より「支払い時期」で考える

FPの視点からみると、教育費は3つに分けて準備することが重要です。

1つ目は、受験期の費用です。受験料、交通費、宿泊費、願書関連費用などは、高校3年の秋から冬にかけて必要になります。複数校を受験する場合は、30万円〜50万円程度を普通預金で用意しておくと安心です。

2つ目は、入学直後の一時金です。入学金、前期授業料、教科書代、パソコン代、スーツ代などが重なります。自宅外通学なら、引っ越し費用や家具家電代も加わります。この部分は、少なくとも100万円〜200万円程度を、すぐ使える資金として分けておきたいところです。

3つ目は、在学中の継続費用です。授業料、通学費、家賃、仕送りなどです。生命保険文化センターは、大学生にかかる教育費について、国立大学の自宅通学は4年間で約520万円・下宿は約800万円、私立文系の自宅通学は約710万円・下宿は約1,000万円と紹介しています。同じ大学進学でも、自宅通学か下宿かによって、負担は大きく変わります。

そのため、進学先を選ぶ段階で、学費だけでなく住まい方まで含めて家計への影響を確認しておく必要があります。

教育費は、準備した金額が多いか少ないかだけでは判断できません。大切なのは、受験、入学、在学中という流れに合わせて、使えるお金を配置しておくことです。

「1,000万円あるから安心」ではなく、「いつ、いくら、どの口座から出すのか」まで決めておく。それが、教育費で家計を崩さないための現実的な備えになります。


執筆・監修:石坂貴史
証券会社IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー・証券外務員)、マネーシップス代表。累計1,200件以上の相談対応に加え、金融記事の制作・校正・監修の対応を行っています。専門は「金融・経済、不動産、保険、相続、税制」。資産運用やライフプラン設計では、分散投資の考え方と人の心理を踏まえた行動設計をもとにサポートしています。
保有資格:証券外務員一種、2級FP技能士、AFP、NISA取引アドバイザー、日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、金融リテラシー検定

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